探蝶逍遥記

外来甲虫「オオタコゾウムシ」の幼虫

 先日、拙宅近くの多摩川縁でモンキチョウの越冬幼虫探索をしておりました。多摩川縁で本種幼虫が利用する食草はシロツメクサもしくはカラスノエンドウと推測しておりまして、この日はシロツメクサに絞って根気良く群落の根際を探索しました。しかし目的の幼虫が探し出せず諦めかけていたその時、コロコロと小さく丸まった鱗翅類と思われる緑色の幼虫を地表より発見。

+++画像はクリックで拡大されます+++
f0090680_22191986.jpg
D71K-85VR(トリミング)、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時53分
f0090680_22193069.jpg
D71K-85VR(トリミング)、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時55分


 体長はせいぜい6mm程度。背面には赤色に縁取られた鮮やかな白線があります。一見してシロチョウではなくシジミチョウ幼虫の雰囲気。ただこの時期マメ科を食う幼虫越冬のシジミでこれほど鮮やかな緑色を呈す種類はありません。蛾の幼虫かな?と思って帰宅して調べてみると、何と、ゾウムシの1種、オオタコゾウムシ(Donus punctatus もしくはHypera punctata)の幼虫でした。その和名から「太田」氏の発見した「コゾウムシ」なのか・・・と勝手に推測しましたが、そうではなくて、「大きい」「タコゾウムシ」の意味でした。初めて耳にする昆虫の和名解釈は難しいですね。中点や句読点を入れて、「オオ・タコゾウムシ」と表記してあれば、当初管理人が犯した判断ミスはなくなるのでしょうけど。

 さて、更にネットで調べてみると、この昆虫は環境省が調査中の侵略的外来種リスト候補種」(外部リンクにリストアップ(No.320)されている問題種であることも判明。何でも国内では1978年に初めて神奈川県で発見され、現在はどうやら全国的に分布を拡大した様子。原産地は欧州でその後アメリカに分布を拡げ、ここ日本に到達してきた昆虫。欧州原産だけあって寒い冬場も幼虫で越冬し、しっかりクローバーを摂食可能な強者でした。結局この日、目的のモンキチョウ幼虫は発見できなかった一方、オオタコゾウムシ幼虫は複数個体発見できました。モンキチョウと言えば多摩川河川敷でももちろん普通種ですが、食草シロツメクサの競合種である外来甲虫が案外モンキの個体数に影響を与えているかもしれません。アカボシゴマダラがあっという間に関東全域に分布を拡げたように、我々蝶屋の眼につかない場所でオオタコゾウムシのような外来昆虫が徐々に在来昆虫を駆逐していく・・・・。鮮緑色の幼虫を眺めながら、改めて侵略的外来種の怖さを知らされました。
by fanseab | 2014-01-28 22:25 | 甲虫 | Comments(4)
Commented by 虫林 at 2014-01-28 23:15 x
オオタコゾウムシの幼虫は外来種なのですね。個体
数が多いようで、これから広がるのでしょうか。
貴重で興味深い記事でした。いつか成虫も見せてく
ださい。僕も探してみたいと思います。
Commented by fanseab at 2014-01-29 21:45 x
虫林さん、オオタコゾウムシは恐らく貴殿のフィールドでも既に河川敷あたりに広く分布している可能性がありますね。あるwebsiteには「成虫越冬」の記述がありました。ひょっとすると越冬態が多様で、幼虫越冬と成虫越冬が混在するのかもしれません。ですので成虫についても機会を見て探してみます。幼虫越冬の場合は春先に繭を作って蛹化する筈で、繭の撮影もできればと思います。
Commented by katawara at 2014-02-03 12:08 x
オオタコゾウムシに反応してしまいました。
シーズンオフにもかかわらず、積極的にブログ更新をされておられますこと、見習うべきなのでしょうが、生来の怠け者の私は、ほぼ休眠状態に入っております。
今から15年ほど前(1998年5月)に愛知県でアルファルファタコゾウムシ(レンゲの害虫)を調査した際にシロツメクサで本種幼虫を見つけています。
アルファルファタコゾウムシがウマゴヤシ類やスズメノエンドウを好むのに対して、オオタコゾウムシはシロツメクサのみからしか発見できませんでした。
G.W.前後にシロツメクサの喰痕を目安に探すと幼虫が簡単に見つけられます。言われてみれば、東海地方でも増えているかもしれませんね。
Commented by fanseab at 2014-02-03 22:04 x
katawaraさん、ご無沙汰です。
飼育メモなんぞは、人様にお見せすると言うよりは、自らの記録として書いているので、「積極的なブログ更新」とコメントされると、こそばゆい思いもいたします(^^;
アルファルファタコゾウムシの存在もネットでオオタコゾウムシを検索する過程で知りました。拙宅近くにレンゲ畑がないので、こちらは見たくてもちょっと難しいかもしれません。オオタコの幼虫は芝生の張り替え作業で各地域への拡散を早めたようです。
名前
URL
画像認証
削除用パスワード