探蝶逍遥記

ミヤマチャバネセセリの飼育メモ(蛹化まで)

 首題セセリの飼育は過去に第2化世代の終齢幼虫を採幼して育てたことがありますが、卵からのフルステージ飼育は今回が初体験です。先ずは食草のオギ(イネ科)に付いた卵の拡大像(再掲載画像)。

+++横位置画像はクリックで拡大されます+++
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D71K-85VR-24R(トリミング+上段3コマ/下段2コマ深度合成)、ISO=100、F29-1/400、-1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:21時56分-22時30分(2013年8月下旬)

 白くて比較的高い位置に産まれているのでフィールドでは良く目立ちます。昨年8月下旬から複数卵を採取して飼育に供しましたが、「黒化すれど孵化せず」のパターンが多く難儀しました。ようやく孵化してくれた1個体を大事に育てることに。なお、全ステージについてオギを食餌として与えました。初齢幼虫の姿です。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=200、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日: 2013年9月8日

 体長は3mm。図体の割に太い糸を吐いて、巣を造っております。孵化後は卵殻の底を除き、ほぼ食べ尽くしていました。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=200、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日: 2013年9月8日

 初齢の巣と食痕です。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=400、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日: 2013年9月16日

 屋外ではオギの葉の先端に造巣する場合が多いと思われ、このような端を一部折り曲げたパターンは珍しいと思います。9月13日に眠、翌14日に2齢になりました。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日: 2013年9月16日

 体長は7mm。尾端に半月形の淡褐色斑が出現しております。20日に眠、21-22日のいずれかで3齢になりました。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=400、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日: 2013年9月25日

 体長は16mm。3齢の巣と食痕もご紹介しておきましょう。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=400、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日: 2013年9月25日

 28日に眠、翌29日に4齢へ。
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D71K-85VR(トリミング+上段4コマ、下段3コマ深度合成)、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日: 2013年9月30日

 体長は16mm。10月9日に眠、翌10日に5齢(終齢)になりました。
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D71K-85VR(トリミング+2コマ深度合成)、ISO=400、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日: 2013年10月15日

 体長は30mm。この時点での巣と食痕です。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=400、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日: 2013年10月15日

 屋外の自然状態では、通常、巣は複数枚の食草の葉を綴って造りますが、今回の飼育では単独の葉を巻いて造巣しております。ここで2・4・5各齢における頭部の模様を比較することにします。なお、各齢頭部の拡大率は同一ではありません。
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D71K-85VR(トリミング+画像合成)、ISO=400、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ

 今回の飼育で一番確認したかった点は、終齢幼虫の特徴である頭部斑紋がどの齢で形成されるか?でした。この絵を見る限り、4齢でうっすらとした淡い模様が出現するものの、終齢になって初めてミヤマチャバネ特有の模様が形成されることがわかります。なお、初齢・3齢は2齢同様、ほぼ漆黒で斑紋は確認できません。また終齢幼虫頭部の斑紋は結構個体変異がある(外部リンク)ことを確認しております。恐らく4齢の斑紋もある程度の個体変異を伴うものなのでしょうね。

 終齢に入ってからは摂食のペースが遅くなり、11月5日になって、前蛹準備段階となり、7日に前蛹となりました。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=400、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日: 2013年11月7日

 体長は26mm。体の表面全体に白い粉を吹いたような状態になります。翌11月8日(孵化から61日経過)、無事蛹化いたしました。越冬世代幼虫の蛹化は屋外では11月上~中旬にかけてですので、飼育でも屋外と特段大差ない結果となりました。
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D71K-85VR(トリミング+3コマ深度合成)、ISO=200、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日: 2013年11月10日

 鮮やかな淡緑色が本種越冬蛹の特徴。野外での発見は相当ハードルが高いのですが、枯草の中からこの鮮緑色を見つけると、宝石を発見したような喜びを感じるものです。野外での蛹化事例も参考にご紹介します。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=200、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日: 2012年11月中旬

 クズの枯葉裏に蛹化した事例で、撮影のため、枯葉を裏返しております。ご覧のように枯葉の表面が真っ白になる位、緻密に吐糸するのが本種越冬蛹の特徴で、前蛹画像でご紹介したように蛹の周辺には微小白粉が散乱しております。実は野外で運よく蛹を発見できる場合、この白粉が目印になることが多いのです。現在、蛹はプラケース内で保管中でして、本年春、恐らくは4月上旬頃、羽化する予定です。
by fanseab | 2014-01-21 21:52 | | Comments(6)
Commented by 22wn3288 at 2014-01-22 08:35 x
ミヤマチャバネセセリの成長過程を見せていただき有難うございました。
素晴らしい成果ですね。
Commented by cactuss at 2014-01-22 20:15
飼育して、しっかり成長過程の写真を撮影されていて、すばらしいですね。
飼育は手間がかかるので、なかなか手が出せません。
Commented by himeoo27 at 2014-01-23 21:08
カブトムシや各種クワガタムシを飼育した
ことがありますが、ミヤマチャバネセセリ
は↑の記載によrと卵から孵化率が低そうで
すね!寄生されているのかな?
Commented by fanseab at 2014-01-23 22:19 x
22wn3288さん、生態図鑑に記載されている記述内容は色々と不備があるので、直接飼育で確かめないとならない点があります。今回は頭部模様の発現時期が確認が主目的でした。その意味では成果が出ました。
Commented by fanseab at 2014-01-23 22:21 x
cactussさん、貴殿にも色々とご協力を頂いている幼生期画像採集の一環として、飼育を無理して行ったことがあります。今回のミヤマチャバネは例の画像対象ではなく、小生の純粋な興味のために実施しております。確かに手間がかかりますが、野外で発見する時の食痕の確認など、飼育で得られる知見はまた格別です。
Commented by fanseab at 2014-01-23 22:23 x
himeooさん、卵の寄生事例は相当報告されており、小生もイチモンジの卵から寄生バエが出た経験があります。ただ今回は全く寄生種が出てくる訳でもなく、卵の温湿度管理不足等、他の原因で正常孵化率が低下した模様です。
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