探蝶逍遥記

Hestina属2種終齢幼虫の特徴差異

 昨年11月にアカボシゴマダラとゴマダラチョウ蛹の特徴(外部リンク)について記事を書きました。今回は続編として終齢幼虫の特徴・差異について解説します。両種終齢幼虫の正面および側面画像を整理してまとめた絵をご覧ください。

+++画像はクリックで拡大されます+++
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 両種幼虫の識別に必要な4形質(A,B,C,D)について説明します。
<形質A(背面突起の数)>
 アカボシは4対(中胸、第2、4、7腹節)なのに対し、ゴマダラは3対(中胸、第4・7腹節)。
<形質B(尾端の開裂状況)>
 アカボシは一対の尾端がほぼ閉じた状態で二股に開裂しない。一方、ゴマダラは明確に二股状に開裂する。
<形質C(腹節側面:気門線付近の斜条紋)>
 アカボシは白色斜条が明確なのに対し、ゴマダラは斜条が殆ど目立たなない。
<形質D(腹脚側面基線上の斑紋)>
 アカボシはやや不明確な白色で破線状を呈す。ゴマダラは明快な黄色線。

 形質A・Bについては種々のwebsite、参考書等で記載がされている区別点です。一方、側面の斑紋についてはあまり指摘されていない判定ポイントだと思います。特に形質Dは決定的に異なる特徴でして、最近、管理人がHestina属の終齢幼虫に出会った場合は、真っ先に側面を観察することにしております。基線の色合いを見れば百発百中で同定可能だと思っております。実は形質A・Bだけで判定すると、判断に迷う個体が時々存在するからです。アカボシゴマダラ終齢幼虫で、その事例をご紹介しましょう。形質Aについての例外事例です。
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 上が一般的な個体、下が背面突起の発達が悪い個体です。下の個体の背面突起は3対(遠目には1対!)のように見えます。この個体は第2腹節上の突起が完全に消失し、あたかもゴマダラチョウの幼虫のように見えます。この場合でも形質Bを確認すると、両者共に尾端は開裂していないので、両者共にアカボシの終齢幼虫と判断できます。またアカボシの尾端についても微妙に開裂している個体もいて、尾端だけの確認ではアカボシ/ゴマダラの判定に迷う場合があります。突起の発達が弱く、かつ尾端が微妙に開裂していると、ゴマダラ幼虫と誤認する場合もありそうです。結局、上記A~Dの全形質を総合判断して同定すべきなのですが、手っ取り早い方法として、形質Dだけでの判定をお勧めします。形質Dの例外事例を管理人はまだ確認しておりません。もしもゴマダラ幼虫で基線が白色の個体を確認されている方がおりましたらご指摘下さい。

 更にA~D以外の識別ポイントとして体色差があります。アカボシは微妙に青味が勝った緑色なのに対し、ゴマダラは明るい緑色を呈します。この体色差はそのまま蛹の体色差にも反映されております。慣れてくると、終齢幼虫の色味を確認するだけで、両種幼虫を識別可能です。

 ところで上記同定方法はあくまで終齢幼虫に適用すべきもので、若齢幼虫には当てはまりません。若齢幼虫の判定方法については、管理人はまだ勉強不足でして、時期を見てまた記事にしたいと思います。
by fanseab | 2014-01-15 22:52 | | Comments(2)
Commented by yoda-1 at 2014-01-16 12:35
こんなに簡単なことなのですか。
現状どれが終齢なのか、今一歩自信のない私としては、亜終齢の比較もお願いしたいです。
アカボシの在来種と外来種での差異はないのでしょうか?
Commented by fanseab at 2014-01-16 20:40 x
<こんなに簡単なことなのですか
yoda-1さん、何でもそうですが、まとめて図示すると、見分け方が単純に見えますが、初めての方にとっては結構複雑で混乱しがちだと思います。小生も頭を整理する意味で記事にしてみました。
亜終齢、および在来種との差異については記述材料が不足しておりまして、機会がありましたらご紹介したいと思います。実は先年実施した奄美遠征で、奄美諸島亜種の幼虫画像撮影も目論んでんおりましたが、撮影できませんでした。いずれ撮りたいと思っております。
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