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探蝶逍遥記

ヤマキマダラヒカゲ房総半島産亜種の飼育メモ(想定外の羽化!)

 昨年9月に現地で採卵してきた首題ヒカゲ飼育観察の続報です。既に蛹化まではご報告済(外部リンク)です。

 その後、拙宅で一番低温かつ恒温で保管可能なトイレ内に飼育プラケースを放置。プラケース内に入れたティッシュペーパーを時々点検し、ティッシュが乾燥したら水分を補給する手法で保管してきました。ところが昨年末にチェックすると、どうも蛹の体色が全般に黒化! そのうち翅の部分にキマダラ模様がうっすらと確認できるようになりました。腹節も緩み、羽化が迫ったと直感、ケースの蓋を明け、羽化に備えました。
ヤマキマダラヒカゲ房総半島産亜種の飼育メモ(想定外の羽化!)_f0090680_1782954.jpg
D71K-85VR(トリミング+4コマ深度合成)、ISO=400、F11-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻: 9時36分(2013年12月31日)

 そして何と、部屋の整理等で忙しい大晦日の午後2時頃羽化しました! 慌てて近所のフィールドから食草のアズマネザサを調達し、屋外で何とか羽化直の姿を記念撮影できました。
ヤマキマダラヒカゲ房総半島産亜種の飼育メモ(想定外の羽化!)_f0090680_1784396.jpg
D71K-85VR、ISO=400、F11-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻: 14時20分(2013年12月31日)

 やや小ぶりの♂で、裏面斑紋濃淡全般にメリハリがあることから春型の特徴が出ている個体だと思います。
 一昨年飼育したサトキマの場合、トイレで今回と同様な越冬蛹保管方式で無事冬越しに成功し、きちんと春に羽化してくれました。ヤマキマも同じ方式でOKだろうと思っておりましたが、何故か休眠覚醒が起きてしまったようです。トイレ内は正月時点で日中12℃程度。もしかすると蛹化後、10℃を下回る環境に放置しておかないと休眠状態から覚めるのかもしれません。かといってゼフ越冬卵のように冷蔵庫保管したら乾燥過多になるやもしれず、ヤマキマ越冬蛹の保管・管理は案外デリケートなのかも。

 ところで、この子は寒さ厳しき折、屋外に放す訳にもいかないので、時々黒砂糖と酢から作成した合成樹液を与えながらトイレ内で飼っております。もっとも寒いので終日ガラス戸にじっと掴まったままで微動だにしません。この状態でどの程度生存できるのかじっくり観察したいと思います。
by fanseab | 2014-01-11 17:11 | | Comments(8)
Commented by himeoo27 at 2014-01-11 19:22
羽化直後の「ヤマキマダラヒカゲ」綺麗ですね!
年末も押し迫って羽化するとは、やはりサトキマ
より寒さに強いのかな?
Commented by fanseab at 2014-01-11 22:10 x
himeooさん、たまたまプラケースを開いたタイミングが良く、蛹の黒化に気づきましたが、1週間遅れていたら羽化不全とか悲劇が起こっておりました。
季節外れの羽化ですが、まぁ、単純に耐寒性の多少とは言い切れないと思っております。飼育下で、短日条件が長日条件に変わる場合もありますが、今回は屋外よりも短日条件が厳しくなっていて、日長の影響ではないと思っております。
Commented by Sippo5655 at 2014-01-13 21:24
うわ、、
真冬の羽化ですか。
でも 無事蝶になれたのだから 
なんとか幸せを感じて 生きて欲しいです。

我が家の庭には3匹のアゲハのさなぎが越冬してます。
庭に出るたび、「羽化しないでね・・」って祈ってますが
この寒さでは、あり得ないでしょうね^^;

キマダラヒカゲさん
日々のお世話も大変でしょうが、幸せに
過ごさせてあげてくださいね(*^-^*)
Commented by fanseab at 2014-01-13 23:16 x
Sippo5655さん、真冬の羽化にビックリされられましたが、ヤマキマ本人はもっとビックリしたでしょうね。何とか一日でも長く生かせてやろうと努力しております。明日で羽化後2週間を経過しております。体力を消耗しない状態ですので、ひょっとすると1ケ月近く生き延びるかもしれません。
Commented by 22wn3288 at 2014-01-14 08:48 x
羽化直後のヤマキマダラヒカゲは綺麗ですね。
今の時期羽化するしは びっくりです。
気温の条件が合ったのでしょうか。
長く生きられるといいですね。
Commented by ダンダラ at 2014-01-14 13:18 x
小生もこの冬にサトキマダラヒカゲの3化を野外で観察しましたが、羽化の条件には休眠打破の条件が問題になると言うことを感じました。
休眠するかしないかは、幼虫時代の日長に左右され、休眠が打破されていれば、後は積算温度が条件に達すれば羽化するのだと思います。
そこで気になるのが、貴殿が撮影に使用されているストロボ光についてです。
ほんの短い時間の発光ですが、光の強さはかなりのものだと思います。
光中断が起こっている可能性というのはないでしょうかね。
Commented by fanseab at 2014-01-14 21:19 x
22wn3288さん、羽化直のヤマキマダラヒカゲを撮影したのはもちろん、これが初めてです。時期が時期だけに本当に驚きました。
本日の時点でとても元気(と言っても微動だにしません)です。少なくとも後1週間は生きると思います。
Commented by fanseab at 2014-01-14 21:24 x
ダンダラさん、問題提起有難うございます。幼虫時代に照射されたストロボ光の影響までは、想定しておりませんでした。恐らく過去に同光の影響を評価する実験もされていないでしょうね。一昨年~昨年同じように飼育し、同様な撮影方法で記録したサトキマダラヒカゲでは6個体全てで休眠打破は生じませんでした。いずれにせよ、系統的な実験をしてみないと結論は出ませんね。
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