探蝶逍遥記

ヤマキマダラヒカゲ房総半島産亜種の飼育メモ(蛹化まで)

 9月中旬に首題ヒカゲ(Neope niphonica kiyosumiensis)の産卵現場を観察(外部リンク)し、その際産まれた虎の子の1卵を拙宅に持ち帰り、飼育を行ってきました。その後無事蛹化いたしましたので、記録がてらご紹介することにします。孵化は9月18日。初齢幼虫の姿です。

+++横位置画像をクリックすると、拡大画像をご覧になれます+++。

f0090680_12433317.jpg
D71K-85VR(トリミング+2コマ深度合成)、ISO=200、F11-1/400、-1.0EV、外部ストロボ、撮影月日:9月18日

 体長は4mm。体色は淡いベージュ。摂食すると緑色に変化します。2日後の姿です。
f0090680_12434986.jpg
D71K-85VR(トリミング+上段3コマ/下段2コマ深度合成)、ISO=200、F11-1/320、-1.0EV、外部ストロボ、撮影月日:9月20日

 食痕もご紹介します。
f0090680_12435973.jpg
D71K-85VR(トリミング)、ISO=200、F11-1/320、-1.0EV、外部ストロボ、撮影月日:9月20日

 サトキマ初齢幼虫が集団で摂食する際、ネザサの先端部より食い始めるのに対し、この子は中齢幼虫と同様に縁から食べています。9月23日に眠に入り、25日に2齢になりました。
f0090680_12441883.jpg
D71K-85VR(トリミング+上段のみ3コマ深度合成)、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:9月25日

 体色が淡褐色に変化し、ジャノメの幼虫らしく頭部と尾部に一対の突起が出ました。体長は6.5mm。29日に眠、翌30日に3齢に。
f0090680_12444499.jpg
D71K-85VR(トリミング+上段4コマ/下段3コマ深度合成)、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:10月3日

 体長は15.5mmまで成長。Neope属らしい幼虫の姿になりました。後で詳細を述べますが、この時点で房総半島産ヤマキマの特徴である、背線に破線状濃淡が付くパターンが出現。なお、「ヤマキマ幼虫は暑さに大変弱い」との報告があったので、3齢頃までは飼育プラケースを夜間のみ屋外に放置し、朝方回収して部屋内再保管するよう、一手間かけてみました。10月4日に眠、翌5日に4齢に成長。
f0090680_12452191.jpg
D71K-85VR(トリミング+上段4コマ/下段3コマ深度合成)、ISO=400/200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:10月8日/9日

 撮影日の時点で体長は19mm。体色、斑紋は3齢とさほど変化はありません。10日に眠、翌11日に5齢(終齢)に到達。
f0090680_12474829.jpg
D71K-85VR(トリミング+上段4コマ/下段3コマ深度合成)、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:10月21日

 体長は33mm。4齢に比較して斑紋が淡くなりました。サトキマ同様メタボ体型なのですが、サトと比較するとややスリムな印象です。ここで、3齢以降に明確になるサト/房総半島産ヤマの斑紋比較をしておきましょう。アップした画像は4齢での比較。
f0090680_12454057.jpg


 先に触れたように、房総半島産ヤマは背面中央を走る背線(A)が濃淡の強弱が付いて、断続的になること。特に第4腹節あたりの黒点が目立ちます。一方、サトは背線がほぼ連続しています。次に背線のすぐ両脇を断続的に走る亜背線(B)がサトでは明確ですが、房総半島産ヤマでは拡散して不明確になります。それと体色が全般にヤマは淡い印象です。もちろん、房総半島産でも個体変異があることは当然ですが、静岡、山梨、栃木、鹿児島産ヤマキマ幼虫(いずれも名義タイプ亜種)には出現しない形質のようです(※)。
※高橋真弓、蝶と蛾、38(4):251-258、1987

 さて、ここで各齢幼虫頭部の形状・斑紋変化をまとめてご紹介しましょう。撮影倍率は一定になるよう調整しております。
f0090680_1246128.jpg


 いわゆる「猫顔」になるのは2-3齢の期間だけで、「耳」が完全に消失してしまう5齢は何とも味気ない姿になります。個人的に一番可愛さがあるのは2齢だと思っておりますが、皆様は如何でしょうか? その後、5齢幼虫は順調に発育し、10月25日に前蛹になりました。
f0090680_1246333.jpg
D71K-85VR(トリミング+4コマ深度合成)、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:10月25日

 体長は19.5mm。ネザサの葉裏ではなくプラケースの壁面から垂下しました。尾鉤の発達が弱いので、蛹化時に脱落することが心配でしたが、無事27日に蛹化いたしました。
f0090680_12464652.jpg
D71K-85VR(トリミング+3コマ深度合成)、ISO=200、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:11月18日

 体長は15mm。昨年飼育したサトキマ蛹よりは少し小さ目。ヤマキマ蛹は「翅面の黒班が全般に明確にならない」特徴があるようですが、サトキマ蛹の翅面斑紋も結構個体変異があるので、上記形質はヤマキマ名義タイプ亜種等も飼育して確認してみないと実感できませんね。
 なにはともあれ、虎の子の1頭を飼育し、何とか蛹まで到達しました。サトキマ飼育の経験に倣い、来年春までは室内で保管しようと思っております。無事羽化してくれればいいのですが。。。。

※羽化の記事こちら外部リンク
by fanseab | 2013-11-23 12:48 | | Comments(6)
Commented by himeoo27 at 2013-11-23 15:57
虎の子の房総半島低地性ヤマキマダラヒカゲ卵1個
無事蛹化おめでとうございます。
幼虫の顔は、どの齢も可愛いですね!
Commented by fanseab at 2013-11-23 22:26 x
himeooさん、コメント有難うございます。
お蔭様で何とか蛹までこぎつけました。
幼虫の顔は全体に癒し系で、ゆるキャラの要素が
たっぷりあると思います。
Commented by Sippo5655 at 2013-11-23 22:43
ラスト2枚、ふとミジンコを連想してしまいました!
幼虫さんの正面顔、とても興味があります。
この子は・・ まったり癒し系かな(*´∀`*)
Commented by fanseab at 2013-11-24 22:46 x
Sippo5655さん、確かに先入観なく眺めると、蛹の姿にはミジンコを連想するかもしれませんね。幼虫の顔は集団として眺めた方がより可愛くなりそうです。
Commented by clossiana at 2013-11-28 14:05
以前のchochoensisさんのブログ上の記述などからサトもヤマも蛹化の際には必ず落ちてしまうのだと思っていました。でもぶら下がったままの蛹もあるのですね。勉強になりました。それにしても貴重な1頭が蛹まで到達出来て良かったですね。
Commented by fanseab at 2013-11-28 21:15 x
clossianaさん、昨年サトキマを飼育した際の経験からすると、6頭蛹化した中で3頭は蛹化時に落下しましたが、残りは無事垂蛹のままでした。蛹化の最終段階で、脱皮殻を振りほどく際に尾鉤が外れることが多いのだと思います。虎の子の一頭、後は無事羽化してくれればありがたいです。
名前
URL
画像認証
削除用パスワード