探蝶逍遥記

Hestina属第4化(11月上旬)

 拙宅の玄関前には樹高2.5m程のエノキが植えてあり、毎朝ポストから新聞を取り出す際にアカボシやゴマダラチョウの幼生期観察を行っております。拙宅で初めてアカボシ幼虫を見出したのは2006年の8月下旬のことでした(外部リンク)
 それから早7年。今では川崎は言うに及ばず関東全体に分布を拡げてしまいました。アカボシが進出する以前は、上記エノキに付くHestina属幼虫はもちろんゴマダラチョウのみでした。
 多摩川縁が主たる活動域のゴマダラですが、時々住宅街近くまで飛来して産卵を行ないます。ただその頻度は低く、このエノキでゴマダラ幼虫が確認されるのは2年に一度程度でした。ところが、今年は秋口になって、一度に母蝶が多数の卵を産みつけたようで、これまでで最も多くの終齢幼虫・蛹を確認でき、続々と羽化しております。ゴマダラは概ね9月上・中旬に第3化の発生ピークを迎えますので、現在羽化しているのは第4化に相当します。一方、アカボシも同じくこの時期の羽化個体は第4化です。因みに拙宅で記録された第4化の最遅羽化日はゴマダラで12月9日、アカボシで12月2日です(外部リンク)

 先ずはアカボシの10月の羽化記録をまとめてみましょう。
1日(1♂)、4日(1♂)、6日(1♂2♀)、7日(1個体:性別不明)、9日(1個体:同左)、13日(1個体:同左)、14日(1♀)、15日(1♂1♀)、16日(1♀)、19日(1♀)、
23日(1♂)、27日(1♀)、31日(1♀)

 以上合計16個体。実はここ数年の観察経験から、例年10月の羽化個体は稀で、今年は異常に多い羽化数でした。一方、ゴマダラは10/25に1♂。その後、11月に入って1日(1♀)、2日(1♂)、3日(1♂)の3個体が羽化しました。ゴマダラ♂♀の羽化画像をアップしておきましょう。

++横位置画像をクリックすると拡大画像を見ることができます++
f0090680_2330366.jpg
D71K-85VR、ISO=400、F11-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時24分
f0090680_23304521.jpg
D71K-85VR、ISO=400、F8-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時25分

 この2-3日、肌寒い日が続いており、上記羽化個体も直ぐには飛び立つことができず、日中、気温が20℃近くになって、ようやく飛び去っていきました。多摩川縁でいつもゴマダラやアカボシがテリ張りをやっているポイントでもこの時期は全くその姿を見ることができません。恐らく気温が低いこともあって、第4化の活動は極めて不活発で、ひっそりとその生涯を終えていくのでしょう。現在、アカボシ・ゴマダラ両種中齢・終齢幼虫がエノキに付いており、これらがいつ羽化するのか(できるのか)を注目しているところです。

 なお、今回アカボシとゴマダラの蛹形状を比較するべく、少し真面目に蛹画像を撮影してみました。
f0090680_23312995.jpg
D71K-85VR(アカボシ:トリミング+2コマ深度合成、ゴマダラ:トリミング+4コマ深度合成)、ISO=400、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影:10月中旬

 両種の識別点は下記にまとめられます。
(1)色調
 アカボシは青白色を基調とした緑色。白く粉を吹いたような表面性状のため青白く見えます。一方、ゴマダラは黄色味を帯びた緑色。腹節背面稜や前翅内縁部が黄色く縁取られるため、黄色味が強く印象づけられます。
(2)体長
 アップした画像は各々のスケールが異なりますが、ゴマダラチョウの体長(31mm前後)はアカボシ(34mm前後)よりも短い。
(3)背面稜の突起
 よく言われるようにアカボシの方が強く突出します。また(1)で触れたように、ゴマダラの背面稜突起は黄色であることも特徴の一つ。
(4)腹節~尾鉤部までの形状
 ゴマダラチョウでは腹節部が強く屈曲して尾鉤部に連なります。これに対し、アカボシでは腹節全体がより滑らかに曲り尾鉤部へ移行する印象。この結果、背面稜のアール(回転半径:カーブの強弱指標)を比較すると、ゴマダラはアールが短い。

 終齢幼虫についても複数の識別点がありますが、それはまた別の機会に記事にします。

★11/7追記★

 11月6日の夜、別のゴマダラチョウ♀個体が羽化いたしました。この個体の裏面はかなり白化が進行しておりましたので、先にアップした個体と比較して図示します。
f0090680_21352488.jpg


 なお、昨年12月に室内で羽化した個体は裏面が完璧に白化(外部リンク)しておりましたので、今回の個体はそれに比較すればまだ黒色部が残留していることになります。
by fanseab | 2013-11-03 23:32 | | Comments(4)
Commented by himeoo27 at 2013-11-04 20:47
我が家の周りの公園や庭にあるエノキの幼木から
アカボシゴマダラやゴマダラチョウの幼虫が良く目
に飛び込んできます。
楽しんで観察していると、それらの食樹が雑木とし
て伐採されて継続して幼虫や蛹が見れないのは、
残念です(涙)。
ベランダにエノキの樹植えてみようかな?
Commented by fanseab at 2013-11-04 21:36 x
himeooさん、そうなんです。マンションの植え込みとかニッチな場所に生えているエノキ幼木によくアカボシは産卵しますが、園芸担当業者によりすぐ「管理伐採」されてしまいますね。でもアカボシは相当にタフで、しつこく繁殖を拡げてしまいました。それが問題なのですけどね。
ベランダへの移植はご家族に歓迎されるなら、是非トライされると良いと思います。
Commented by Sippo5655 at 2013-11-09 22:42
エノキの幼木って、いたるところにあるんですね、
注意深く探してわかりました。
最近はエノキの幼木を見つけるたびに、アカボシか
ゴマダラの幼虫を探してしまいます^^;
10月の初旬、ある幼木にアカボシの幼虫がいました。
そのうちの1匹だけが終齢だったんです。
お庭にちょうどエノキの幼木が届いたので
連れ帰ってみました。
数日後、終齢は蛹化の気配、、
でも、様子がおかしくて、
頭をぶんぶん振るばかり、、
何時間待ってもお面が脱げません。
今もそのまま庭に置いてあるのですが
もう★になってしまったのでしょうか。
もしかして、庭に届いたエノキの葉に殺虫剤でもふりかけてあって、それを食べておかしくなってしまったのではと、
安易に連れ帰ったことを反省しています・・・;_;
Commented by fanseab at 2013-11-10 22:24 x
Sippo5655さん、前蛹段階の脱皮失敗って、飼育していると偶にありますね。密閉容器内で飼育していて、ウイルスに罹患して弱った場合等が原因と推定しております。ご指摘のように殺虫剤の可能性もあるかもしれませんし、寄生で弱った可能性も否定できません。複数個体をお庭のエノキに移植していずれの個体も同じような末路を辿るなら、殺虫剤の影響かもしれません。
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