探蝶逍遥記

クモガタヒョウモンの産卵など(10月中旬)

 夏眠明け大型ヒョウモン類の産卵撮影シリーズです。今回は産地が意外と限定されるクモガタ狙い。このヒョウモンは夏眠前に目撃できたポイントでも、夏眠後は必ずしも観察できない場所が多いように思います。恐らく夏眠後、低標高地に移動する等の習性があるためでしょう。そんな不安を抱きながら、東京都の某林道に向かいました。拙宅を出発する時から上空はドンヨリとした雲に覆われ、とても蝶が飛び出す雰囲気ではありません。現地に着いても状況は改善されませんが、それでも11時30分頃からやっと薄日が差し始め、キタキチョウが最初に舞い始めました。少し開けた草地で待機していると、超オンボロのメスグロヒョウモン♀が飛来し、杉の幹や人工物に産卵を開始。

++横位置画像をクリックすると拡大画像を見ることができます++
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D71K-34(トリミング)、ISO=400、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時47分
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D71K-34(トリミング)、ISO=400、F11-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時12分

 しかし、確認できる高さでの産卵位置を詳細に観察するも卵は確認できません。やはり「空打ち」だったようです。余命いくばくもない♀個体の場合、腹部に産むべき卵が無くなっていても本能で腹端を曲げる動作をするのかもしれません。今シーズン、10回以上のメスグロ産卵シーンを観察しておりますが、卵を確認できたのは僅か1例に過ぎません。相当な確率で実際には産まない「空打ち」が多いように思います。
 さて、このメスグロを追跡している最中、褐色の大型ヒョウモンが飛来。開翅休息しました。
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D71K-34(トリミング)、ISO=400、F10-1/800、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時01分

 待望のクモガタ♀です。夏眠後もこのポイントに存在することがわかって一安心。しかも夏眠後とは思えない綺麗な個体。この子が産卵したら見栄えのする絵が撮れるなぁ~と翅算用していると、こちらの期待を見透かすように、林の奥に消えていきました。その後今度はボロ♂がアザミに吸蜜にやって参りました。
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D71K-34(トリミング)、ISO=400、F10-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時35分

 因みに夏眠明け♂個体は初撮影です。その後さきほどとは別個体の♀が飛来。今度は灌木の低い位置に止まった後、地這いを始めました。産卵行動のスタートです!しかし崩落しやすい地質の急斜面に足を取られ、灌木にカメラを引っかけたりして姿を見失ってしまいました。ガッカリして約30分後、ふと再度その斜面を覗きこむと地面をガサゴソ歩き回っている、同じ♀個体と再会!
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D71K-34、ISO=400、F10-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時25分

 地面をウロチョロしながらの産卵行動を確認。今度もブッシュと格闘しながら何とか産卵の瞬間を撮影できました(^^)
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D71K-34(トリミング)、ISO=400、F10-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時31分

 ここでは小さなスミレの葉裏に直接産み付けたようです。残念ながら翅面がレンズ光軸と平行になってしまい、クモガタ産卵と明確に認識できないアングルです。産卵された卵の状況もご紹介しましょう(撮影のため葉を裏返しております)。
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D71K-85VR、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時51分

 ヒョウモン類に共通する淡黄色ですが、メスグロに比較すると淡い色合いです。産卵の途中は定番の開翅日光浴。産卵後一旦高い位置へ移動して開翅するのではなく、地面に留まり日光浴するのが特徴のように思います。
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D71K-34、ISO=400、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時31分

 この後、産卵行動に移行するのですが、面白いことに後翅をブルブルと激しく震わせた後、徘徊行動する点です。まるで母蝶が「さぁ、これから産むわよ~!」と気合を入れる武者震いのようにも見えます。今度は定番の枯葉に産んだシーン。
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D71K-34(トリミング)、ISO=400、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時35分

 今度も先ほどと同様、閉じた翅面がレンズ光軸と平行になってしまい、おまけに腹端の様子も把握できないB級画像になってしまいました(^^; 背の高いブッシュがどうしても邪魔になってしまうのと、どうも太陽光線に対して翅面を平行に揃えた閉翅状態で産卵する習性があるらしく、こちらの期待するアングルで撮影することができません。ツマグロやウラギンでも葉被りの問題は生じますが、クモガタは遥かに撮影難易度が高いと感じました。もっとも、クモガタも開けた草地で産卵するケースもありそうで、そのような場合はもう少しまともな画像が撮れるのでしょうね。枯葉裏に産み付けた状況です。こちらも先ほど同様撮影の都合で枯葉を裏返しております。
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D71K-85VR、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時05分

 一連の産卵行動を観察した場所の近景です。
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GXR@6mm、ISO=100、F6-1/125、-0.7EV、撮影時刻:14時00分

 風通しの良い南向き斜面で、地肌はかなり崩落しやすく、ここにスミレ類が生えています。今回は証拠画像を撮影できませんでしたが、明らかに♀は前脚連打行動を行っており、確実にスミレの位置を認識した上で、周囲の枯葉等に産み付けておりました。枯葉に産まれた卵を拙宅に持ち帰り超拡大撮影を実施。
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D71K-85VR-24R(トリミング+上段3コマ下段4コマ深度合成)、ISO=200、F29-1/320、-1.0EV、外部ストロボ

 最大直径1mm、高さ0.91mm。これまで撮影したヒョウモン類卵では最大です。それでも成虫の体躯を考えたら小さい卵だと思います。縦隆起条は20本。横隆起の高さはメスグロよりも低く、ツマグロ卵の雰囲気に似ております。ただ塔頂部で急に細く収束する「おむすび型」ですね。大型ヒョウモン類産卵シーンでは本来、ミドリを優先して撮影したかったのですが、意外と出会えず苦戦しております。11月までに何とかミドリとできればオオウラギンスジの産卵シーンをゲットしたいと思っております。しかし台風の連続接近予報が出されており、どうなることやら。。。。撮影の成否は天候に左右されそうです。この歳になって「照る照る坊主」を作りたい心境になってまいりました(爆)
by fanseab | 2013-10-22 21:43 | | Comments(8)
Commented by banyan10 at 2013-10-23 19:08
クモガタの産卵、一回目の挑戦で卵を2つもゲットするのはさすがですね。
ちゃんとスミレに産む場合もあるのですね。
ミドリやメスグロは少し時期が遅いと思いますが、台風後に少し探してみたくなりました。
Commented by fanseab at 2013-10-24 22:56 x
BANYANさん、これまでのウラギン、メスグロ、ツマグロ産卵行動の観察経験が活きて、何とか初回で仕留めることができました。もちろん出来栄えは満足しておりません。ヒョウモン類各々種類毎に微妙な行動差があるのが面白いですね。確かに台風が曲者で、天気が早期に回復してくれると良いですね。気温が低すぎると♀の産卵行動は期待できませんから。
Commented by ダンダラ at 2013-10-28 09:46 x
クモガタの産卵シーンは難しいですね。
私も自分のものを見直してみましたが、腹端がはっきりわかる写真はありませんでした。
チャンスものものが少ないと思いますが、狙って撮影されるあたりは流石です。
Commented by fanseab at 2013-10-28 23:19 x
ダンダラさん、貴殿も「難しい撮影対象」となれば、少し気が楽になりますね。ややこしい環境に潜り込んで産卵する習性はなかなか興味深いですけど、撮影は大変です。次回は何とか腹端を横方向から撮れるようにトライしたいですね。
Commented by clossiana at 2013-10-29 14:56
いつものことですが今回も素晴らしい写真で凄いです。
少し気になりましたのは卵の拡大写真の脇の糸です。
これは卵を固定する為なのですかね?こんな糸があるとは。。驚きでした。これは拡大写真の賜物ですね。
Commented at 2013-10-29 14:58
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by fanseab at 2013-10-30 22:03 x
clossianaさん、この糸は母蝶が付けたものではなく、後から付着したゴミの可能性もあります。通常、タテハ類♀が卵接着用に腹端から出す液体がこのような糸状に変化する可能性もあるかもしれませんが。もう少し観察事例が増やす必要がありますね。
Commented by fanseab at 2013-10-30 22:04 x
鍵コメさん、了解しました。
貴ブログのコメント欄で回答いたします。
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