探蝶逍遥記

ミヤマシジミの産卵など(10月中旬)

 ミヤマシジミはご存じの通り多化性で、食草のコマツナギの花穂が付いている夏場は花穂近くや新芽に産みますが、最終世代は根際近くに越冬卵を産むとされています。産卵シーン撮影の難易度は越冬卵を産む場合で高く、挑戦し甲斐があります。昨年この目的で山梨のポイントを訪問したのは10月下旬でした。しかし、流石に遅すぎたようで産卵シーン撮影は叶わず、仕方なく越冬卵のみ撮影して帰宅した経緯があります。その反省を踏まえ、今年は2週間早めての出陣。現地9時15分着。この日は快晴ですが、風が想像以上に強く体感気温はかなり低め。予想通り蝶の活動が鈍く、ようやく飛び出したシジミを確認するとベニシジミ(^^; ミヤマの姿はありません。今年は夏場に気温高めで推移したので、最終化の発生は既に終わったのだろうか?とちょっと心配に・・・・。仕方なく先ずは越冬卵探し。昨年は1卵発見するのに30分ほどかかりましたが、今回は前回の経験が活きたのか15分ほどで数卵を発見。結局合計7卵(内3個は寄生卵)を見出しました。先ずは枝分岐に産まれた事例をご紹介しましょう。

++横位置画像をクリックすると拡大画像を見ることができます++
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D71K-85VR、ISO=200、F11-1/320、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時09分

 次は「根株」に産まれた事例。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=200、F11-1/320、-1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時19分

 コマツナギの古い株は拳の半分程ある太い根(個人的に「根株」と表現:台場クヌギならぬ台場コマツナギかな?)から分岐して枝が派生しています。そこに直接産んでいる事例。2卵ほどありました。お次は寄生卵の事例。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=200、F11-1/320、-1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時39分

 3卵共寄生されています。正常卵を超拡大撮影。
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D71K-85VR(トリミング+2コマ深度合成)、ISO=200、F29-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時52分

 直径は0.66mm。最近はヒョウモン類の卵を見慣れているので久しぶりに見るシジミの卵はとても小さいですね。特にミヤマの卵は体躯に比較してとても小さいので余計そう感じます。一通り卵撮影が終わった11時頃、ようやく気温が上昇してきて蝶影が少し活発に。ウラナミシジミ、ツバメシジミと共に待望のミヤマ♂も登場。流石にボロボロですが、何とか♀もいるだろうと期待が高まります。果たして11時30分過ぎ、ようやくボロ♀を発見。今日はこの子と心中する覚悟で付き合うことに。気温が低いせいか、開翅日光浴時間が長く、なかなか産卵行動には移行しません。それでもようやく枝先から根際に降下していく行動がスタート。
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D71K-85VR、ISO=400、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時37分
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D71K-85VR、ISO=400、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時42分

 2枚目のように触覚を下に下げて探るような動きをする点はシジミ♀の産卵に共通する行動パターンです。ご覧のように草被り必死の環境に潜り込んでいきます。もちろん、それは覚悟の上の撮影です。何とか粘ってようやく産卵シーン撮影に成功。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=400、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時59分

 母蝶の手前側にコマツナギがあり、その近傍の地面近くに産んでおります。ここで母蝶から目を離し、卵の捜索を開始。すぐに枯茎に産まれた卵を発見。
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D71K-85VR(左下囲み画像はトリミング)、ISO=400、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時01分

 産卵直後はご覧のように淡い翡翠色でとても綺麗。6月に撮影した同属のヒメシジミもやはり産卵直後は鮮やかな翡翠色をしておりました。卵表面をよく見ると、精孔付近に緑色の液体が残っております。恐らく母蝶腹端より放出された卵接着用液体が精孔部に残留したものと思われます。この後、超拡大撮影をトライすべく枯茎を移動中、折からの強風に煽られて越冬卵は地面に紛れて行方不明に(涙) 枯葉や枯茎に産まれた卵を観察する時は本当に注意せねばなりません。先ほどの母蝶の姿を追跡しますが、どこかに雲隠れ。仕方なくスレ♂開翅を撮影。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=400、F11-1/400、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時10分

 この個体左前翅の一部が大破しておりますので、破損が目立たないアングルで撮影しました。逆光で撮ると白い縁毛が大変綺麗ですね。ミヤマポイントで一通りの成果が出たのでクモガタヒョウモン産卵を狙って、別ポイントに移動しました。しかし、6月と異なり午後は日陰が優先し、ヒョウモン類の姿が全くありません。ガッカリしてターゲットを変更。今度はアサマシジミポイントへ移動。目的は越冬卵の再撮影。昨年撮影をしているのですが、思う所あって、再チャレンジです。昨年は初体験でもあり、最初の1卵を発見するのに2時間近く要しましたが、今回は前回の経験が活きて約15分で3卵ほど発見。いずれも地上高15cmほどのナンテンハギ茎上に産み付けられておりました。超拡大像を撮影。
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D71K-85VR(トリミング+3コマ深度合成)、ISO=200、F29-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時04分

 直径は0.83mm。ミヤマ越冬卵を観察した後ではかなり大きく感じます。なお卵直径はかなり個体変異があるようで、0.83~0.95mm程度の巾があるように思います。このポイントはセイタカアワダチソウの浸食が激しく、年々生息環境が悪化しておりますが、来年以降も継続的な成虫発生を期待したいものです。
by fanseab | 2013-10-19 22:25 | | Comments(6)
Commented by 22wn3288 at 2013-10-20 10:01
ミヤマシジミの産卵 お見事です。
産卵直後は翡翠色なのですね。
寄生されている卵が多いのにも驚きました。
Commented by 6422j-nozomu2 at 2013-10-20 11:26
最近、いよいよ学研的なブログになってきましたね。しかし、卵をアップで綺麗に撮影されていますね。特殊なレンズなんですか?
Commented by 虫林 at 2013-10-20 15:22 x
ミヤマシジミの産卵行動を写真に収めるのはかなり難しい
と思っていますが、しっかりと撮影できましたね。さすが
です。また、卵も撮影されていますが、卵は意外に綺麗で
驚きました。
Commented by fanseab at 2013-10-20 23:06 x
22wn3288さん、ミヤマは夏場に撮影のチャンスはあるのですが、暑いので敬遠しており、結局秋口の最終化での撮影になってしまいました。
この属はいずれも産卵直後は綺麗な翡翠色をしております。寄生率はどうなのでしょうか?ミドリシジミ越冬卵に比較すると少ないような気がしますが・・・。
Commented by fanseab at 2013-10-20 23:13 x
ノゾピーさん、「学究的」などとコメントを頂くとちょっとこそばゆいです(笑) 情緒的な画像を撮るのは違い、産卵シーンの撮影では♀の行動を論理的に予測して準備せねばならないので、どうしても記事の記述が学術的になってしまうのかもしれません。
でも蝶の開翅画像を撮るのが難しくてもチャレンジしたくなるのと一緒で、産卵画像撮影の醍醐味は追いかけた♀が予測通り産卵してくれることで、思わずガッツポーズが出ますね。卵の拡大撮影に使用するのはマクロレンズの先端に広角レンズを逆付するシステムです。詳しくはこちらをご覧ください。
http://fanseab.exblog.jp/17141749/

Commented by fanseab at 2013-10-20 23:20 x
虫林さん、ブルー3兄弟の産卵シーンはシジミの中でも撮影難易度がいずれも高いですね。特にコマツナギは枝ぶりが込み入っていて、越冬卵の産卵シーンは本当に苦労しました。もう少し個体数が多い9月下旬頃の方が楽でした。
卵の微構造はこの属のはいずれも彫が深くて見応えがあります。
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