探蝶逍遥記

メスグロヒョウモンの孵化(10月中旬)

 以前の記事でメスグロヒョウモンの産卵シーン(外部リンク)をご紹介しました。その際、卵の拡大像は前玉外し系で撮影を完了していたのですが、より拡大率を上げた画像を撮るべくstacked lens法での再トライを計画し、丁度2週間後に現地に赴きました。図鑑(※)によれば、卵は「10-14日で孵化する」との記述がありますので、既に孵化している可能性があります。桜の樹肌に産まれた卵の発見は容易ではないので、マクロ画像を印刷し、地衣類の位置照合をしながらようやく卵を発見。ヤレヤレ未だ孵化していなかったようです。結構苦労して深度合成像を撮影完了。

++画像をクリックすると拡大画像を見ることができます++
f0090680_14392620.jpg
D71K-85VR-24R(トリミング+3コマ深度合成)、ISO=200、F29-1/320、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時03分

 産卵直後、鮮やかな黄色を呈していた卵は黄金色に変わっていました。撮影中、どうも卵の形状が歪で、対称性に欠けるなぁ~と思っておりました。そして途中からやっと幼虫孵化の瞬間であることを理解できました。上の画像は将に卵殻を食い破ろうとしている瞬間なのでした!卵殻を食い破った幼虫はあれよあれよと思う間もなく、卵から脱出していきます。その連続画像です。
f0090680_22445173.jpg
D71K-85VR-24R(トリミング+2コマ深度合成)、ISO=200、F29-1/320、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時11分~18分

 凡そ20分かけて卵から完全に抜け出すと、直ぐに卵殻を摂食し始めました。
f0090680_2245175.jpg
D71K-85VR(トリミング)、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時25分~12時52分

 ほぼ1時間で卵殻を完食してしまいました。因みに孵化した初齢幼虫はちょっと目を離した隙にどこかに雲隠れしてしまいました(↑の画像(f))。無事地上にでも降りて越冬できると良いのですが・・・。なにせ、初齢幼虫は越冬中、無摂食で過ごすとされており、卵殻摂食は越冬前、最初で最後の食事だった訳です。現地を訪問する時間が仮に30分遅かったら、卵の超拡大撮影も叶わず、孵化の瞬間にも出会えなかったでしょう。今回は凄くラッキーだったと思います。

※福田晴夫他、1983、原色日本蝶類生態図鑑(Ⅱ)、P.97. 保育社、大阪
by fanseab | 2013-10-16 22:46 | | Comments(8)
Commented by 愛野緑 at 2013-10-17 19:58 x
すごい瞬間に立ち会えましたね!
たしかヒョウモン類は卵の中で幼虫のまま越冬すると図鑑に書いてあったと思うのですが、メスグロは違ったのですね。記憶違い?。引き続き観察出来ないのが残念ですね。
Commented by fanseab at 2013-10-17 22:21 x
愛野緑さん、飼育でも孵化瞬間は滅多に観察できないので、野外で観察・撮影ができたのはとても幸運でした。大型ヒョウモン類は卵越冬(幼体形成後)、初齢幼虫越冬の2タイプあるいは両タイプ混合のパターンがあるようです。なにせ2mmの幼虫ですので、孵化後じっくり幼虫を注視している集中力が無く、その間に逃亡されて、ジ・エンドでした。
Commented by 22wn3288 at 2013-10-18 09:01
羽化瞬間の連続写真 素晴らしいです。
貴重な写真ですね。
感心して拝見しました。
Commented by banyan10 at 2013-10-18 19:34
野外での孵化の瞬間をこのように拡大して撮影するのは素晴らしいですね。
撮影方法や条件が違うので、色の違いはよく分かりませんが、大きくは違っていないのかとも思います。今日は教えてもらってクモガタの卵を撮影してきましたが、茶色になっていてなかなか見つけられませんでした。
Commented by fanseab at 2013-10-18 21:48 x
22wn3288さん、フィールドに出ていると、色々と思いがけない出会いがありますね。今回もただただ、卵の拡大撮影をしたい・・・の思いで出かけて、撮影に没頭していて孵化の事は全く念頭にありませんでした。途中からようやく気が付く始末でした(^^;
飼育過程ではともかく、フィールドでの孵化記録は少ないと思うので必死に撮影しました。
Commented by fanseab at 2013-10-18 21:50 x
BANYANさん、孵化の途中は幼虫が静止することが殆どないので、そもそも深度合成は成り立たないのですが、何とか2コマ分ならズレなく合成できました。
ヒョウモンの卵は産卵直後でも見つけ難いし、それが継時的に茶褐色になったら本当にお手上げです。
Commented by kenken at 2013-10-18 22:26 x
このタイミングでの撮影とは凄いぞ、凄いぞ。恐れ入りました。
もう30分早くても、遅くても、卵殻摂食シーンは撮影できなかったのではないでしょうか。
小さな幼虫、ストロボで連写するとその熱の影響など大丈夫かと心配になりましたが、意外と平気なんでしょうか?
Commented by fanseab at 2013-10-19 22:32 x
kenkenさん、成虫羽化や卵からの孵化シーンは本当に運が左右しますね。この日は朝から疲労が残っていてややノンビリ出動でしたので、本当に後1時間遅ければ卵拡大撮影も孵化シーン撮影もできませんでした。ストロボ連射による熱の影響は特になさそうですね。
名前
URL
画像認証
削除用パスワード