探蝶逍遥記

メスグロヒョウモンの産卵(9月下旬)

 ミドリヒョウモンの産卵を狙って多摩丘陵(東京都)に出かけました。夏眠明けの♀が山地から平地に降りてくる頃だろうとの読み。現地を着いてすぐに、ミドリではなくメスグロ♀に出会うものの、すぐに姿を見失いました。ミドリは午前中の吸蜜タイムでお花畑に来るはずなので、それらしきポイントを確認してみますが、いるのはツマグロヒョウモン♀とイチモンジセセリのみ。結局、相当広範囲に探索するもののミドリ♀の姿はなく、ガッカリです。そのうち、相当高い樹冠付近を飛翔するヒョウモン♂を目撃。

++横位置画像をクリックすると拡大画像を見ることができます++
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D71K-34(トリミング)、ISO=400、F7.1-1/1600、-0.7EV、撮影時刻:12時07分

 ボロボロの個体ですけど、斑紋から何とかメスグロヒョウモンと同定。時折接近するウラギンシジミを追撃しており、テリ張りをしていた様子。夏眠前にこのような高所でテリ張りする姿を目撃した事はなく、とても興味深い行動でした。その後、雑木林の林縁でフワフワ飛ぶ個体を目撃。一瞬オオミスジかぁ~と思いきや、メスグロヒョウモンの♀でした。
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D71K-34、ISO=400、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時17分

 先入観無しに見るとNeptisLimenitisに思えますね。葉上で暫く日光浴をしていた後、暗い林内に入っていきました。ひょっとして産卵行動かもしれないと追跡中、別のメスグロ♀がコナラの近くで怪しい行動。接近してみると、ヤッター!産卵です。
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D71K-34(トリミング)、ISO=400、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時20分

 産卵位置は地上高2m程の高さ。次に別のコナラに移動し、次第に高度を上げて産卵していきます。こちらは5m程の高さ。
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D71K-34(トリミング)、ISO=400、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時22分

 産卵したかの確認は最初の低い位置で実施してみました。しかし、コナラ樹肌の溝を丹念に探索するも坊主。どうやら産卵フェイント?だった様子。「産卵シーン」を撮影したと思ったのに、「産卵行動シーン」撮影だったのでガッカリです。その後も何回か産卵シーンを目撃しましたが、位置が高すぎて産卵有無を確認できませんでした。産卵場所の環境画像をアップしておきましょう。
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GXR@5.1mm、ISO=200、F4.1-1/180、-0.7EV、撮影時刻:12時46分

 南向き斜面で、コナラ、桜等が混じる雑木林。結構暗く藪蚊もそれなりにおります(笑)  しかし、産卵が確認できないのも悔しいので、翌日リベンジマッチを実施。産卵時間帯がわかったので、昼前に到着し、この雑木林の前で待機。すると、正午過ぎ、樹冠付近から音も無く、フワフワとメスグロ♀が舞い降り、吸蜜を開始です。
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D71K-34、ISO=500、F11-1/160、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時40分
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D71K-34、ISO=500、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時03分

 羽化してから、かれこれ3ヶ月以上経過しているはずですが、結構綺麗な個体です。それとストロボ照射で、表翅にブルーの幻光が出現し、メスグロ♀の美麗さを改めて見直した次第。この個体は十分に吸蜜した後、予想通り、産卵行動に移行。前日産んだコナラの隣の幹に産卵です。
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D71K-34、ISO=500、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時08分

 高さは1mちょっと。後で産卵確認するには理想的な高さです。その後、コナラを飛び去り斜面上の桜の大木に産卵。
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D71K-34(トリミング)、ISO=500、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時10分

 こちらも上手い具合に1.5m程の高さ。産卵後、先ほどのコナラから確認するも、こちらはまたしても坊主。暗い環境なのでストロボ照射が必須の状況で、そのストロボ光が刺激となって産卵を中断するのか?影響があるのかもしれません。仕方なく桜に移動してこちらを検します。しかし産卵場所を意外と確定できず、桜の樹肌に付いている緑青色の地衣類の斑紋パターンをジグソーパズルのように読み解いてようやく目的の卵を発見。
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D7K-85VR、ISO=400、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時02分

 画面中央、黄色の卵が確認できますでしょうか?ちょっと拡大してみましょう。
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D7K-85VR、ISO=400、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時01分

 仮に卵が淡青色とか淡緑色だったら、地衣類に紛れて卵の確認が相当困難であったはず。黄色の卵を産んでくれた母蝶に感謝です(^^) 前玉外しで拡大画像も撮影。
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D71K-1855改@52mm(トリミング)、ISO=200、F29-1/320、-1.0EV、LEDランプ、撮影時刻:12時09分

 卵はおむすび型で、底辺直径0.79mm、高さは0.83mm。先日ご紹介したウラギンよりもずんぐりとしており、縦隆起条と横隆起条の太さがほぼ同じため、印象がウラギンとはかなり異なります。産卵木の全景もアップしておきましょう。
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D7K-85VR、ISO=400、F3.5-1/200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時29分

 矢印が産卵位置です。

 2日間、夏眠明けメスグロ♀を追跡してみました。暗い林内を音も無く現れ、アサギマダラのようにフワフワ舞う姿は夏眠前とは大きく異なるものでした。メスグロ♀特異な斑紋のせいで、♀の姿は非常に目立ち難いものです。産卵時も含め、外敵からの眼を逃れるため、あのような独特な暗色斑紋になったのではないか?と思わせるものでした。当初目的としたミドリヒョウモンには出会えませんでしたが、想定外のメスグロの産卵行動をじっくり観察できて有意義な2日間になりました。ミドリの産卵は別の機会にチャレンジしたいと思います。
by fanseab | 2013-10-02 21:27 | | Comments(8)
Commented by ainomidori443zeph at 2013-10-03 08:46
ミドリヒョウモンの卵も黄色だったように記憶してます。アカボシ成虫と同じくらいの大きさなのに、卵はかなり小さいですね!
Commented by fanseab at 2013-10-03 23:54 x
愛野緑さん、ヒョウモン類の卵は大方黄色系みたいですね。ただ縦隆起の形状が微妙に異なっていて、フェチ心をくすぐります。ウラギンヒョウモンの撮影時にも感じましたが、ご指摘の通り、成虫の体躯に比較して、えらく小さい卵だと思いました。
Commented by clossiana at 2013-10-04 07:36
メスグロの産卵は木の幹をよじ登りながら産みつけていきますね。瞬時の早業ですし段々と高い位置へ移動しますから私は大慌てで撮らせてもらったことがあります。「やどりが」の最新号の報文を読ませて頂きました。せっかく蛹にまで辿り着いても羽化まで辿り着ける個体は少ないのですね。それと「春のつどい」でも言及されていましたように「幼虫を識別する法」を何とか見つけたいものですね。11月になりましたら貴フィールドに寄らせて頂くつもりでおりますので、その節は宜しくお願い致します。
Commented by dragonbutter at 2013-10-04 21:36
私も2年前にボロボロのメスグロヒョウモンが赤松の幹に産卵するところを撮りました。
卵を必死に探しましたが見つからず、正確には「産卵」ではなくて「産卵行動」でした。
そのうち卵も見つけたいものです。
Commented by fanseab at 2013-10-04 21:50 x
clossianaさん、連続コメント恐れ入ります。
そうなんです。連続して産み付けていく場合は、最初の産卵シーンを仕留めないと、どんどん撮影難易度が上がり、産卵の確認が不可能になります。
やどりがの拙文をお読みいただき、恐縮です。今年はクズの繁茂が著しく、報文で言及したポイントでの越冬幼虫個体数が少し少な目です。おいでの際はお気軽にお声かけ下さい。
Commented by fanseab at 2013-10-04 21:57 x
dragonbutterさん、貴殿の該当記事を拝見しました。あそこまでボロボロだと、既に産卵すべき卵が腹部に残っていなくて、本能から腹を曲げていることも想定されますね。今回は結構新鮮な個体ですから、状況は異なり、産卵しようとして思いとどまったのではないかと推測しております。多数回「産卵行動」を目撃しても結局1卵しか発見できなかったので、「産卵シーン」を撮影するのは結構難しいと実感したのでした。
Commented by kmkurobe at 2013-10-11 15:07
お久しぶりです。当家の桜の古木に先月ミドリヒョウモンが産卵してましたが、やはり苔の付着しているあたりに産卵していたようです。
同じ個体が地表でも産卵していました。
Commented by fanseab at 2013-10-11 22:48 x
kmkurobeさん、ちょっとご無沙汰しております。
ミドリも撮影ターゲットですが、未だ撮影に成功
しておりません。ヒョウモン類は卵から孵化した後、
樹木を降りて地表で越冬するのが多いので、産まれ
た幹に生えている苔はあまり意味ないのかもしれ
ませんね。ミドリもメスグロ同様、スミレの存在を意識
せずに産み付けるようで、孵化した初齢幼虫には
苦難の道が残されますね。
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