探蝶逍遥記

房総半島産ヤマキマダラヒカゲの産卵(9月中旬)

 首題ヒカゲについては、過去春型・夏型含め都合4回参戦し、♂♀について色々な生態画像を採取して参りました。ただ交尾と産卵シーンは課題となっており、今年の5月は特に産卵シーンを狙って粘ったのですが、結局空振りに終わりました。今回は夏型でリベンジマッチです。
 先ずは夏型が集う林床に直行。想定はしていたものの、物凄い藪蚊の襲来です。予め防虫スプレーを体の露出部に散布したのですけど、効き目があるのか疑問の状態(^^; それでも刺されないので、どうやら効いていたようです。アズマネザサの林床は蜘蛛の巣の巣窟でもあります。レンズに付着すると厄介なので、一脚で露払いしながら進みます。すると早速1頭のNeopeが出現。シイタケ栽培用の榾木に止まりました。

++横位置画像をクリックすると拡大画像を見ることができます++
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D71K-34、ISO=400、F11-1/160、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時06分

 どうやら、ヤマキマの♀でした。それほど飛び古した個体ではなさそうです。暫く注視しておりましたが、まだ産卵行動時間帯ではないようです。更に林床を分け入っていきますと、アズマネザサが完全に剥ぎ取られ、地肌が凹んでいる場所を発見。明らかにイノシシの垈場のようです。ということは・・・・、そう、マダニの巣窟の可能性があります。藪蚊、クモの巣、マダニ。三重苦と闘いながら、捜索を続けます。今度は少し大きめで白い個体が飛び出しました。
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D71K-34、ISO=400、F11-1/200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時31分

 こちらは、サトキマの♀。本来、房総半島のヤマキマ/サトキマ混棲地域では、サトキマがヤマキマより先んじて出現するのですが、今年はどうも、両者の鮮度がほぼ同じで、混乱させられます。しかし、♀同士でサイズ比較をすると、概ねサトキマ♀の方が大きく、やや小さ目のNeopeを探せばヤマキマ♀であるケースが多いように思いました。ただ、ヤマキマの末期はヒカゲチョウ第3化の最盛期でもありまして、林床内には凄い個体数のヒカゲチョウが飛んでおり、飛び古したヒカゲチョウとヤマキマ♀を判別するのに結構苦労させられます。そうこうするうち、林床で明らかに産卵行動を取っているNeope♀と思われる個体に遭遇。脅かさないように追跡すると、林道に沿って飛び、林道脇にあるアズマネザサの小株で産卵をスタートさせました。先ずは証拠写真をパチリ。
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D71K-34、ISO=400、F11-1/200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時54分43秒

 この時点ではヤマ/サトを判別する余裕がなかったのですが、幸か不幸か、母蝶は一旦産卵を中断し、葉上で休憩。
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D71K-34、ISO=400、F11-1/200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時54分54秒

 間違いなくヤマキマ♀であることが判明し、ホッと一息つきました。観察を続けると、再度先ほど産卵した葉に乗り移り、産卵を再開しました。
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D71K-34、ISO=400、F11-1/200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時56分29秒

 2-3卵産み終えたかな?と思われた段階で、85mmマクロを装着したD7000に持ち替えました。しかし、この時点で相手に感づかれたか、母蝶は飛び去り、姿を見失ってしまいました。葉を裏返してみると、何と、1卵しか産んでおりません(^^; 
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D7K-85VR、ISO=400、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:16時35分

 葉に止まってからの継続時間をこれまでのサトキマの産卵シーン観察経験に当てはめてみると、最低5卵程度は産んでいたはずですが、意外でした。卵群を産み付けるのにはなにか不都合があったようです。産卵場所の全景です。
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GXR@5.1mm、ISO=200、F6.5-1/20、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:17時19分

 ここは以前から、産卵場所と想定していた箇所の一つでした。産卵した葉の地上高は25cm。北向きですが、ご覧のように夕方は一部夕陽が差し込むような場所です。サトキマ同様、比較的風通しの良い場所を好むと推定。更に母蝶を探しますが、個体数が少なくて苦戦。その代わり、ヒガケチョウの産卵シーンをゲット。
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D7K-34、ISO=400、F11-1/100、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:16時49分

 ヒカゲチョウの産卵シーンは昨年秋にも撮影しておりますが、今回は背景も抜け、夕刻らしい雰囲気も出せていい感じに仕上がりました。結局、ヤマキマ産卵シーンにはこの後、出会えず、日没近い17時30分過ぎに撤収しました。虎の子のヤマキマ1卵は予定通り、お持ち帰りして例によって卵の超拡大撮影を実施。
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D71K-85VR-24R(トリミング+上段3コマ/下段2コマ深度合成)、ISO=200、F29-1/320、-0.7EV、内蔵ストロボ+スレーブ2灯増灯

 卵の色は淡いブルー味のある緑色。サトキマとそれほど顕著な差異はありません。直径は1.48mm、高さ1.38mmで少し歪んだ球形です。表面には不規則は凹凸がありますが、ヒメウラナミジャノメに見られるような網目状構造とは異なります。当該卵は現在飼育中で、1卵では相当リスクが高いですけど、何とか蛹化(ヤマキマは蛹越冬)まで到達させたいと思っております※。何はともあれ藪蚊と格闘しながらのリベンジマッチ、何とか目的を果たすことができました。春型も同様な環境で産むのか?5月初旬頃は藪蚊の襲来もないので、できれば確かめたい点です。

※[飼育記録こちら外部リンク]
by fanseab | 2013-09-17 21:29 | | Comments(2)
Commented by clossiana at 2013-09-25 17:43
身近な蝶なのに今まで私はヒカゲチョウの卵や幼虫を見たことがありませんでしたが昨日、やっと産卵シーンを目撃しました。それを見て、今まで見つからなかった理由もわかりました。つまり地表すれすれの高さの小さな株に産卵していたからです。今までは、もっと探しやすい背の高い株ばかりを見ていたからです。ですので↑の写真も撮るのは簡単ではなかった筈だと理解出来る様になりました。
Commented by fanseab at 2013-09-25 21:23 x
clossianaさん、ご指摘の通りで、概ね低い位置に産む種類が多いですね。殆どイネ科であることも関係しているでしょうけど。葉被りしやすい低い位置は確かに撮影も結構苦労します。それでもヤマキマやサトキマのように卵塊で産み付けるタイプはギフチョウ同様、撮影は比較的余裕も持って行えます。
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