探蝶逍遥記

ミヤマチャバネセセリの産卵(9月上旬)

 横浜でのチャバネセセリ探索から15時頃帰宅しました。ゴマダラの産卵シーンには出会ったものの、チャバネに関しては消化不良の感があったので、多摩川縁でもチャバネの動向を探ってみました。すると、何とか1頭確認。

++横位置画像をクリックすると拡大画像を見ることができます++
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D71K-34(囲みはトリミング画像)、ISO=500、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時24分

 チャバネは閉翅状態での♂♀判定がイチモンジセセリより難しいです。前翅外縁が♂でも結構丸みを帯びるため、一目で♀と区別し難いのです。ここでは半開翅状態を真横から撮影しているので、♂前翅表にある細い性標部が前翅裏面では、少し盛り上がった構造(矢印)をしており、このアングルからも「この個体は♂」と判読できる実例になります。また、前翅1b室にある白斑(マル囲み部分)は♀にのみ出現し、♂では消失します。この2点から♂♀判定が可能です。ただ完全に翅を閉じてしまうと、両識別点がいずれも隠れてしまうので、腹部形状、もしくは複眼と翅のバランス感から雌雄判定をせねばなりません。この♂は縁毛が綺麗に揃っており、やはり多摩川でもチャバネは出始めであろうとの結論。♀産卵シーンはもう少し後でないと期待できそうにありません。

 さて、このチャバネを撮影したすぐ横にかなり汚損したミヤマチャバネセセリ♀が佇んでおりました。
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D71K-34、ISO=400、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時24分

 ミヤマチャバネについても第3化産卵シーンを期待してお盆過ぎから観察をしておりましたが、遭遇できておりませんでした。産卵時間帯は同属のチャバネが夕刻であることから、やはり16時前後にあるはずであり、この個体を少しウオッチすることに。実は8月下旬頃から、いつも歩いている多摩川沿いの散歩道で、ミヤマチャバネセセリ(第3化個体)の卵、それも産卵後間もないと思われる卵を複数確認しておりました。
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GXR@5.1mm、ISO=200、F9.1-1/18、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:15時27分(8月下旬)

 矢印が卵で、オギ(イネ科)の葉の縁に産み付けられております。この卵がミヤマチャバネだろうと推測した理由は、①ミヤマチャバネがオギを大変好むこと。②卵の色は乳白色で、イチモンジとは全く異なり、サイズもでかいこと。③産卵位置がチャバネ(通常根際に産むとされる)に比較して遥かに高い位置(概ね80cm)にある点です。しかし、確証はなく、何とか産卵現場を確認し、上記仮説を検証したかったのです。少し一回りして先ほどのミヤマチャバネ♀を探すと姿がありません。残念、逃げられたかぁ~とガッカリしていると、オギの周りをホバリングするセセリを発見。おぉ!紛れもないミヤマチャバネです。驚かさないように先ず1卵産んだ後に接近して撮影に成功!
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D71K-34、ISO=500、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時36分12秒

 画面右上方には既に産み付けられた卵が確認できます。このように母蝶はオギの葉の縁に産む特徴があります。この絵では腹端が葉被りになったので、次のチャンスを待ちました。産卵直前の拡大像です。
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D71K-34(トリミング)、ISO=500、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時36分26秒

 これもやや葉被りですが、イチモンジセセリ同様、暗赤褐色の産卵器官が確認できます(ただこの場面は結局産卵しておりません)。葉の縁に産み付ける関係上、♀は葉の縁を囲むように脚を廻し込んで支えるので、結果、葉が撓んで腹端がどうしても葉被りになりやすいのです。この点、葉の中央部(葉軸付近)に産むイチモンジセセリとは様相が異なります。今度は真横から撮るのを諦めて、斜め上方から見込んで撮影。
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D71K-34、ISO=500、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時36分56秒

 ここはバッタの食痕が残るような草臥れた葉に産んでいます。産卵直後の状態がこちら。
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D71K-34、ISO=500、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時37分03秒

 葉巾が狭いと、このように縁ではなくやや中央寄りに産むケースもあるようです。産んでいたオギの株の全景です。
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D71K-85VR、ISO=500、F11-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:16時06分

 このように繁茂したクズの葉から突き出るように生えているオギが好みで、画面上矢印の2卵以外にこの株では都合4卵産み付けられています。また、卵以外に3齢幼虫の巣が一つありました。例年10月下旬~11月上旬頃、終齢幼虫が食草から離れて蛹化しますが、食草から離脱時点では、概ね1株につき1頭の終齢幼虫が観察されます。つまり、1株のオギに複数卵産み付けられていても自然淘汰されて、1頭、多くても2頭しか終齢幼虫まで生き残れないのです。例によって、卵の超拡大画像を図示します。
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D71K-85VR-24R(トリミング+上段3コマ/下段2コマ深度合成)、ISO=100、F29-1/400、-1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:21時56分-22時30分(8月下旬)

 上から見込むと長円形状で、長径1.29mm、短径1.16mm。断面はほぼ半球状で、高さは0.75mm。底面近傍から垂直に伸びる縦条痕がありますが、高さ1/3程度で縦条痕は消え、規則的な網目状構造が表面を覆っております。精孔部の凹みはそれほど顕著ではありません。ここでイチモンジセセリとの形状比較もしておきましょう。
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撮影条件は同一

 ご覧の通り、ミヤマチャバネはイチモンジより2回りほどデカい卵です。色調も全く異なり、白いこともあって、遠くからも目立ちます。2m程度離れていてもミヤマチャバネの卵なら発見が可能です。目立たないイチモンジの卵は小さいし、老眼の管理人には観察が辛いものがあります。因みにイチモンジの卵は長径0.92mm、短径0.87mm、高さ0.51mm。

 ミヤマチャバネの産卵はゴールデンウイーク頃の第1化でも狙っていたのですが、惨敗でした。今回、何とか第3化母蝶の産卵シーンをゲットできて、本当に満足しております。
by fanseab | 2013-09-13 21:25 | | Comments(0)
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