探蝶逍遥記

イチモンジセセリの産卵(8月下旬)

 セセリ類で最普通種と言えばイチモンジで決まりでしょう。ところが8月まではそれほど個体数は多くなく、産卵撮影のチャンスは意外とありませんでした。久しぶりにホームグラウンドの多摩川縁を散策してみると、いるいる!あたり一面イチモンジセセリが飛んでおります。虫屋は「虫が湧く」等の表現はあまり使わないでしょうが、将にイチモンジセセリが「降って湧いてきた」感覚です。そこいらじゅうで求愛シーンが観察できます。

++横位置画像をクリックすると拡大画像を見ることができます++
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D71K-85VR、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時41分

 左側2頭の♂が♀の奪い合いです(^^)
♂A:「オイ、割り込みはいかんで!ワテが先にプロボーズしたんやで」
♂B:「アホ!どっちが先だろうが、気に入ったもん勝ちやろ・・・」
もちろん、お決まりの結末でA,B共にフラれてしまいましたとさ。
 交尾も観察(右が♀)。
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D71K-85VR、ISO=200、F11-1/200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時48分

 ♀はスレた個体であり、複数回交尾の可能性がありますね。さて、目的の産卵行動はこれまでの経験から夕方だろうと推定し、15時過ぎから♀の様子を観察しておりました。概ね16時頃、産卵活動がピークを迎えるような感じでした。もちろん季節や照度が違えば産卵時間帯は多少ずれるのでしょう。最初は300mmで撮影。
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D71K-34、ISO=400、F11-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:16時17分22秒

 ここは葉裏に産んでおります。葉のカーリングの仕方とその時の母蝶の止まる位置関係で葉の裏に産むか表に産むかが決定されるようです。産卵の瞬間の拡大像です。
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D71K-34(トリミング)、ISO=400、F11-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:16時17分45秒

 腹端から赤褐色の産卵器官が突出し、葉に押し付けております。触覚を葉に押し付けているのは体のバランスを取るためなのでしょうか? アップした1枚目と2枚目の撮影間隔は23秒で、実はこの間にもう一回産卵行動を取っております。イチモンジセセリの産卵はかなり継続的に行われていきます。1卵産んで一休みするタイプではなく、次から次へと産んでいくので、それなりにシャッターチャンスがあります。またPapilio属のように産卵態勢を取ってから僅か1秒程度で産卵が完了するのとは異なり、イチモンジの場合は産卵態勢セットから産卵完了まで約2.5秒程度あるので、撮影アングルを微調整できる余裕があるのは助かります。85mmマクロでも撮影。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時45分

 その時の産卵状況です。
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D71K-85VR(トリミング)、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:15時45分

 イチモンジの卵は産卵直後からくすんだチョコレート色で、遠目には目立たず、産卵現場を確認していないと、先ず卵だけ探索しての単独発見は不可能ですね。ストロボを当てたこの画像ではやけに卵が目立ちますが、実際はもっと地味な感じです。この卵は拙宅に持ち帰り、後日超拡大像撮影を実施。
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D71K-85VR-24R(トリミング:上段のみ3コマ深度合成)、ISO=100、F29-1/400、-1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:22時12分

 精孔部が凹んだ饅頭型です。底辺直径0.92mm。高さは0.46mm。表面には網目状の微構造を有しております。拡大撮影に関し、最初は前玉外しでお茶を濁すか・・・と考えておりましたが、前玉外し撮影をトライすると、何と表面に微細構造を発見したため、真面目に超拡大撮影を実施した次第。実は現在、イチモンジよりもチャバネセセリの卵を必死に探しているのですが、母蝶がなかなか見つかりません(^^; 概ね100頭のイチモンジを検すると1頭チャバネが混在している程度です。もう少し秋が深まればチャバネの個体数も増加することが期待できるので、今は時間待ち・・・の心境でございます。
by fanseab | 2013-08-30 21:51 | | Comments(10)
Commented by yoda-1 at 2013-08-31 10:02
かなり綺麗なピンクですね。
この秋口、YODAの未熟な観察力でも頑張って見つけてみたくなりまいた。午後4時ぐらいがいいのですね。
Commented by thecla at 2013-08-31 15:12 x
普通種でもいざ探すとなると難しいですよね。イチモンジセセリの交尾なんて撮ってません。
チャバネも探さなきゃと思うのですが、この暑さで不戦敗、来週の探索会で頑張ります。
Commented by fanseab at 2013-08-31 22:21 x
yoda-1さん、卵は肉眼で見た色合いと拡大した画像の色合いは大分印象が異なりますね。
yodaさんの観察力ならすぐに撮影できると思います。ご指摘の通り、夕刻の時間帯がポイントです。
Commented by fanseab at 2013-08-31 22:23 x
theclaさん、実はイチモンジではなくチャバネ産卵を目指して必死に探していたのですが、まだ個体数が少なすぎです。例の探索会でも♀産卵は夕刻の可能性があるので、直接産卵現場を押さえるのは難しいかもしれません。 強制産卵の技術がないので、困りますね。
Commented by Garuda at 2013-08-31 23:06 x
イチモンジセセリ、本当にうじゃうじゃ居ますねえ。あれだけ居るとよく動く個体に目移りして産卵♀なんて目に入りません。
一方でウラナミシジミはまださほど増えていないようです。あれは9月に入ってからでしょうか?
他には、ミヤマセセリがだいぶ痛んできていていますが、ギンイチモンジセセリは先週が出始めでしたから、そろそろ綺麗な♂の発生ピークでしょうか。

秋に向けてコムラサキポイントの様子見をしてきたのですが、夏の間に犬の散歩させに来る人もあまり居なかったようで、ポイントに至る踏み分け道が消えかかっていて閉口しました。
Commented by himeoo27 at 2013-09-01 08:29
イチモンジセセリの産卵シーンまだ未見です。
暑さ対策をして16時頃myポイントで探して
みたいです。
Commented by MatsuHimeji at 2013-09-01 20:07
なぁ~るほど!
あのような怪しい縦列や並列は、恋の鞘当てだったんですね。
闇雲にセセリチョウを撮ってる中に、ここで見せてもらった卵らしきものが写っていて、思わせぶりな振舞いの意味がやっとわかりました。
そうと分かっていれば、卵もマクロで撮っとけたのに、残念です。
藪っ蚊対策をして、16時頃のため池で再挑戦してみます。
Commented by fanseab at 2013-09-01 21:15 x
Garudaさん、仰る通り、ウラナミシジミはまだ個体数少ないですね。クズの花に付いている卵もまだ少ない状況です。この夏は酷暑だったのとマスコミの「熱中症予防キャンペーン」が効いたのか、犬の散歩を控える人も増えたのでしょうね。まぁ、犬の散歩はともかく夏草の茂りがムチャ凄いので、川の畔まで辿りつくことができず、ギンイチの探索も厳しそうです。
Commented by fanseab at 2013-09-01 21:17 x
himeooさん、夕方に産卵時間帯が来る蝶はなかなか産卵シーンを観察するチャンスがありませんね。少し曇っている日の方が熱中症にならずに観察できるかもしれません。チャレンジしてみてください。
Commented by fanseab at 2013-09-01 21:20 x
MatsuHimejiさん、求愛シーンの観察は個体数が多ければ多いほど、頻度が高まりますね。セセリの中には昼頃産む種類もいるので、イネ科の草から草へタッチしながら飛行する個体がいれば、それはセセリの♀の可能性が高いです。天気が良すぎる日は西日がきつくて、景色のコントラストが強く、蝶を見逃ししやすいので、曇った日の方が撮影・観察にはお勧めです。
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