探蝶逍遥記

ミヤマカラスシジミの産卵(8月中旬)

 猛暑に耐え切れず、富士山麓の高原で避暑がてらの撮影です。現地には7時15分に到着。このポイントに入るのは初めてで、先ずは産卵木のクロツバラがどこにあるのかを探します。それらしき灌木が直ぐに見つかったので、一脚でちょっとペシペシやってみると、いきなりミヤマカラスが飛び出しました。別の灌木を同じように試みるとここでも1頭が飛び出し、なるほどこれがクロツバラかぁ~と納得。冬場には真っ黒に色付くクロツバラの実もこの時期は緑色です。

++横位置画像をクリックすると拡大画像を見ることができます++
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GXR@5.1mm、ISO=100、F6.5-1/100、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:8時16分

 先ずは飛び出して葉上に止まった♀個体を撮影。恥ずかしながら管理人にとって♀のファーストショットです。
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D71K-34、ISO=400、F10-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:7時30分

 帰宅してから画像をチェックすると、ストローを出して葉上から吸水しているようです。ストローの色は真っ黒ですね。朝方の時間帯に傾斜日光浴をするのは、この属に共通する性質のようです。広角で撮ってみました。
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GXR@5.1mm、ISO=200、F6.5-1/500、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:7時41分

 これも♀ですが、相当に大破した個体。それでも探してみると、鮮度の良い個体もおりました。
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D71K-34、ISO=400、F11-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時55分

 ♀は本当に食樹に執着して離れようとしませんね。まるでキリシマの♀がアカガシに固執するのとよく似ております。一方、♂は流石に超スレ個体ばかりでした。
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D71K-34、ISO=400、F9-1/500、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時50分

 これだけスレ品になっても前翅の性標(膨らみ)がハッキリとしているので、♂♀判別が楽で助かります(もちろん腹の形状も細くて♀とは異なります)。

 さて、目的の産卵がスタートするのは正午前後だろうと推測し、一旦このポイントを離れクロシジミのマイポイントに移動しました。クロシジミは10時過ぎから産卵する場合もあるので時間の節約のための移動です。ところが現地に着いてみると、どうも様子がおかしいのです。管理人の記憶が曖昧になったのか、ポイントを探し出せません。相当歩き回ってある風景を見た時、急にガックリきたのです。何とマイポイントは開発で完全に消失しておりました。トホホ・・・。数年前にようやく独自開発したポイントだけに、落胆で疲れがドッと出ました。仕方なく正午過ぎにミヤマカラスポイントに戻りました。クロツバラをチェックしていくと、早速怪しげな挙動をしている♀に出会いましたので、この個体を追跡していくことに。昼間のクソ暑い時間帯に傾斜日光浴なんぞをしております。その後、急に葉から移動し、触覚を上下させ始めました。シジミ類に共通する産卵行動開始の合図です。
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D71K-34、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時35分

 葉先でUターンすると枝に移動し、腹端を曲げたまま産卵態勢を取っていきます。
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D71K-34、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時38分

 こうした態勢も他のシジミ♀と類似しております。腹端の様子を拡大してみましょう。
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D71K-34(トリミング)、ISO=200、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時38分

 枝の窪みに赤褐色の産卵器官を伸ばしております。この場所には不具合があったらしく結局パスして産卵しませんでした。この時点で300mmだと葉被り必死な状況に気づき、急遽85mmにレンズ交換。何とか産卵シーンをゲットできました。
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D71K-85VR、ISO=200、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時41分

 腹部を枝に巻きつけるようにしてレンズと反対側に産み付けたようです。産卵スタートから6分程経過した後、急に下草に落下し、暫しの休息タイムに入りました。
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D71K-85VR、ISO=200、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時43分

 暑さを避けての休息のようです。その後、サッと飛び立って別の株に移動し、ここで2分ほど産卵行動を取った後、数メートル先の株に移動。この後、母蝶の姿を見失ってしまいました。最初の株に戻って卵を探索すると、見つけることができました。産卵状況です。
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D71K-85VR、ISO=200、F10-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時48分

 翡翠色の卵が枝の中央に産み付けられております。産卵位置は地上高95cmで方角は北向きです。因みに産卵木の株高は1.5mほど。この時はいずれも丈の低い株に連続して産卵しておりましたが、丈の高い株にも同じように産むのかは今後確認していきたいと思います。例によって超拡大像も撮影。
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D71K-85VR-24R(トリミング+3コマ深度合成)、ISO=200、F29-1/320、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時23分

 直径は0.73mm。表面微構造は独特で、ゼフ卵のような特徴ある彫刻が目立たず、非常にノッペリとした印象を与えます。事実、拡大像を撮影中、ピントの山を掴むのに相当苦労しました。シジミ卵の拡大像をこれまで数多く撮影してきましたが、一番合焦に苦労させられました。また母蝶が産卵時に接着剤として使用する糊状物質が一部卵の左上に被さっているようです。卵の色合いもまた独特で、甘党の管理人としては、上質の求肥で作られた蓬餅を連想してしまいます。京都の老舗和菓子屋さんの店先に並んでいるような錯覚も起こしますね。何とか目的の産卵シーン・卵拡大撮影にも成功したのと、お盆のUターン渋滞に巻き込まれるのを嫌って即撤収いたしました。

 さてポイントの草原にはジャノメチョウが腐るほど飛んでおりました。この子の産卵シーンもいつか撮りたいものですが、ミヤマカラスシジミに比較して相当難易度が高いと思われ躊躇してしまいますね。この日は♀のアザミ吸蜜シーンだけを撮りました。
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D71K-34、ISO=200、F11-1/400、-1.0EV、撮影時刻:8時07分

 どんなジャノメ類でも♀は風格があっていいですね。それと「ミヤマ」繋がりでミヤマチャバネセセリの♀もアップしておきましょう。
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D71K-34、ISO=400、F11-1/640、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時05分

 拙宅近くの多摩川縁ではそろそろ本種の第3化が飛ぶシーズンですが、涼しい高原で見るのも格別です。炎天下の多摩川での撮影は骨が折れますからね。またこのポイントではホソバも結構散見しましたが、発生末期で♂♀共にボロボロだったことも付け加えておきましょう。
by fanseab | 2013-08-16 20:30 | | Comments(6)
Commented by khaoyai_m2 at 2013-08-17 13:05
こんにちは!
狙って行って撮ってしまうなんて、さすがですね。
そして、美味しそうな卵ですね。
卵の写真の深度合成いつ拝見しても、お見事です。
僕にはとてもできそうにありません。
Commented by fanseab at 2013-08-17 21:17 x
カオヤイさん、こんばんは。
シジミチョウの場合は比較的ゆっくりと産卵行動を取ってくれるので、撮影は易しい部類に属しますね。産卵時間帯はブログ仲間の皆さんの画像データを参考にある程度絞られてくれば、「狙って撮る」ことも不可能ではありません。このシジミに比べればキタキチョウとかシロチョウの方がよほど難しいと思います。
現地での深度合成画像は結構撮るのがしんどくて、特に真夏の草原で撮るのは集中力が切れて困ります。しかし越冬中は色が白く変色するので、産卵後でしか、この「美味しそうな」感じで撮るチャンスがありません。
Commented by banyan10 at 2013-08-18 19:31
僕も昨年撮影しましたが、産卵直後の卵は綺麗な色ですよね。
望遠と短いレンズ、産卵位置によってそれぞれ有利な場合があるので使い分けが難しいですね。
Commented by fanseab at 2013-08-18 20:45 x
BANYANさん、昨年の貴殿の記事を参考に出かけてみました。お蔭様で何とか新鮮な卵拡大像も撮影できました。一応敏感な事も考えて最初は300mmで狙い、鈍感ならば85mmで撮る作戦でした。産卵態勢に入ってしまえば産卵に集中していて、コンデジを接近させてでも撮れそうな雰囲気でしたね。
Commented by himeoo27 at 2013-08-18 21:05
産卵シーンを何とか撮影出来ても
卵を直ぐに見落してしまう私としては
流石としか言いようのない画像ばかり
です。
Commented by fanseab at 2013-08-19 22:01 x
himeooさん、産卵シーンの撮影と卵の撮影は確かに両立しないことが多いですね。更にシジミチョウの場合は産卵ポーズを取るけれど、実際には産卵しない場合も多いので、「産卵したと思われる箇所」を探しても卵が無いケースがあるのです。今回も産卵ポーズは10回以上やっていたと思いますが、卵は1卵しか見つけられませんでした。時間があればもう数卵は発見できたかもしれませんが、帰りの渋滞も気になってそうもいきませんでした(^^;
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