探蝶逍遥記

鈴鹿のキリシマ君(8月上旬)

 ♂が活発化する時期を見計らい、鈴鹿で♂撮影に再トライです。前回ご神木を見出しているので現地6時着とやや遅めの出動。件のアカガシを叩くと何と、キリシマはおろか、トンボさえ飛び出しません(^^; どうやらどこかに移動した様子。ここでこのポイントはキッパリと諦めました。後述するように結果的にこの判断は正解でした。この後、保険の意味で事前確認しておいた3つの林道を攻めてみますが、アカガシの繁殖密度が低すぎるので、いずれもNGでした。さてどうしよう・・・と考え、全く別の山塊へ移動してみました。こちらは針葉樹の植林密度も少なく照葉樹も多く期待が持てます。果たして9時30分過ぎ、見慣れたキリシマ♂の飛翔が目に入ってきました。ただ単発で飛び、他個体との絡みもなく苦戦します。それでも何とか♂の姿を写すことができました。

++横位置画像をクリックすると拡大画像を見ることができます++
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D71K-34、ISO=400、F10-1/800、-1.0EV、撮影時刻:10時09分

 もちろん距離は遠いですが、それでも近年撮影したショットとしては近い方です(笑) 更に探索を続けるとアカガシの密度がかなり濃い小渓谷を発見。ここに足を踏み入れて長竿でペシペシやると低い枝先から♀が3頭いきなり飛び出しました!予想通り、良い環境のようです。♀撮影は失敗しましたが、少し奥に進んだ時、思わず息を呑みました。最大5頭の♂がもつれるように林内・林縁を飛んでいます。暗がりにポッカリ空いた空間では卍が成立し、その卍に突撃する♂がいるは、卍がばらけた後、3-4頭で追尾飛行が始まるやら、とにかく凄い♂の密度と活動です。暫くは撮影をせずにこの光景に見入ってしまいました。将に2006年に鈴鹿で見た光景の再現でした。さて、我に返って撮影の準備。とにかく静止する間もなく追尾をしかけるので、飛翔モードで狙ってみました。
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D71K-34(トリミング)、ISO=500、F4-1/4000、-1.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時41分

 タブノキの上を飛んでいる場面で、照葉樹林を飛ぶキリシマのイメージが撮影できてうれしいショットになりました。この日、驚いたことに卍はキリシマとしては相当長時間持続し、まるでメスアカの卍を彷彿させるものでしたので、300mmで卍にもトライ。
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D71K-34(トリミング)、ISO=500、F4-1/4000、-1.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時41分
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D71K-34(トリミング)、ISO=500、F4-1/4000、-1.7EV、撮影時刻:10時42分
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D71K-34(トリミング)、ISO=500、F4-1/4000、-1.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時44分

 1枚目は樹林内の茂みで卍飛翔をする2頭です。左個体の輝きはモルフォを彷彿とさせますね。2-3枚目は露出補正をアンダー過剰にしたためやや画面が荒れたのが難点。でも何とかキリシマ♂独特の裏面のディテールは表現できました。ある程度300mmで手応えを得たので広角飛翔にもチャレンジ。キリシマ♂は青白い輝きを魅せながら暗い林床を猛スピードで探♀飛翔していきます。この行動は他のゼフにはないもので、以前から何とか撮影したいと思っておりましたが、低速シャッターで何とか雰囲気が出せたのが次のショット。
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D7K-20(トリミング)、ISO=500、F13-1/160、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時38分

 ここでは中途半端に背景がブレておりまして、いっそのこと、流し撮りをすればもっとスピード感が出たかもしれません。ただキリシマのスピードに翻弄されて、そこまでカメラをコントロールすることはできませんね。暫く彼らの飛翔行動を観察しておりますと、ある特定の樹木(樹種不明:アカガシではない)の根元付近を舐めるように♂が飛んでいきます。恐らく♀が潜んでいそうな直感が働くのでしょう。薄暗い根元を探索する♂の姿も何とかキャッチすることに成功。
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D7K-20(トリミング)、ISO=500、F11-1/125、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時58分

 ビュンビュン飛び回る彼らも、もちろん占有位置を確保すれば暫し葉先に止まります。少し遠目のアカガシ葉上に止まった1頭。
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D71K-34(トリミング)、ISO=400、F11-1/1000、-1.0EV、撮影時刻:11時45分

 右前翅端が何故か外側に折れ曲がっています。バトルで曲がったとは考え難いので、羽化不全なのでしょうか?でもこの子、ハンディキャップを感じさせないバトルを展開しておりました。有難いことに接近戦でのチャンスは都合3回ありました。最初は金緑色が望める最高の状況でしたが、カメラを向けた瞬間、別の♂にアタックされてジ・エンド(^^; 本当にトホホ状態。この文章を書いている途中でも撮り逃がした悔しさが拭えません。2回目はほぼ正面から半開画像を撮影。しかしピンボケ(^^; やはり接近戦ではアドレナリン出まくりで冷静に撮影できません。そしてようやく3度目の正直で撮影できたのがこの絵。
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D71K-34、ISO=640、F11-1/800、-1.0EV、撮影時刻:11時21分

 ノートリで♂をこの距離感で撮影できたのは2006年以来7年振りです。このアングルから見込む表翅の色合いは、ほぼ飛翔中のキリシマのイメージに近いものがありますね。裏面の調子を整えようとストロボ照射で撮影をトライした瞬間、またまた別の♂襲撃に遭って、接近戦はお終い。♂個体数が多いとバトルに敗けた♂が低い位置に降りてきてくれるメリットがある反面、開翅中に他の♂に再攻撃されるデメリットがあって、なかなか上手くいきません。それでも再度まずまずの接近戦で♂閉翅が撮れました。
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D71K-34(トリミング)、ISO=500、F11-1/500、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時49分

 こうして子細に見ると、歴戦で翅が相当傷んでおり、右後翅の尾状突起は欠落しています。それでもキリシマ♂独特の裏面ディテールは大変魅力的です。正午頃、急に怪しげな雲が湧きたち夕立の接近が示唆されたのと、キリシマの活動も一旦収束したので、撤収いたしました。キリシマは仮に撮影できなくても、素晴らしい飛翔を見るだけでもスカッとした気分になります。今回は幸運にも「お宝スポット」を発見でき、タップリ2時間その姿を見ながら至福の時間を過ごすことができました。なお今回発見したポイントでは♀産卵も狙えそうなので、機会がありましたら、再訪したいと思っております。
by fanseab | 2013-08-04 21:46 | | Comments(6)
Commented by yoda-1 at 2013-08-04 22:04
これは独自開拓のポイントなのですか。
場所も素晴らしいし、切れのある飛翔画像の数々も素晴らしいです。
キリシマ♀雌を熱望するYODAとしては、このような場所にいきたいものです。
Commented by fanseab at 2013-08-05 23:10 x
yoda-1さん、ハイ、今回見いだした独自開拓ポイントです。
飛翔は卍でなければ相当厳しいのですが、それなりの個体数
と絡む時間が長かったので比較的楽に撮れました。
♀は♂の群飛する場所から少し距離を置いていることが多く、
♂に気を取られていると♀を発見しがたいことは事実です。
Commented by naoggio at 2013-08-06 13:02 x
遠征お疲れさまでした。
素晴らしいポイントが発見できて良かったですね。
キリシマの飛翔はおっしゃるようにスカッとしますよね。
正に胸のすく思いです。
でも、できればこんなふうに至近であの輝きを捉えてさらにスカッといきたい所です(笑)。
Commented by fanseab at 2013-08-06 21:17 x
naoggioさん、関西在住時によく通ったポイントは台風で壊滅的な打撃を受けたため、必死になってポイント開拓をしてみました。何とか落ち着いて撮影できる場所が発見できてホッとしました。しかし、脆く崩れやすい花崗岩で形成される鈴鹿山脈は豪雨の度に必ず谷の崩壊が進行していくので、今回見出したポイントが安定的に維持されるかは保証の限りではありません。
Commented by banyan10 at 2013-08-07 20:08
キリシマ素晴らしいですね。
最後から2枚目のような色で翅表を撮影したいと思っていますが、いつになることやらです。
飛翔もどれも見事です。
Commented by fanseab at 2013-08-07 22:24 x
BANYANさん、実は今シーズン、小生も静岡でトライしてみたのの、個体数が少なく、思い切って鈴鹿まで遠征してみました。♂の場合は静岡であろうが、鈴鹿であろうが、近距離に止まる場所の発見と確保が大事ですね。それと絶対に採集者と被らないスポットの確保が一番です。今回は何とかその目的に叶う場所を見出すことができました。飛翔は卍だと普通のゼフ並の難易度に下がるので助かりました。
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