探蝶逍遥記

信州ゼフ探索(7月上旬) (3)ミスジチョウの産卵など

 この時期信州の林道を車で流していると、ミスジチョウの個体数の多さに驚かされます。地元神奈川だと、結構苦労して撮影するのに、こちら信州ではキタテハみたいに飛んでいて希少価値が目減りしてしまいますね(笑) 朝方からゼフの姿を追跡している途中、ミスジチョウ♀が明らかな産卵行動を示しておりました。これはチャンスとばかり、♀を追跡。すると、カエデ類でない葉に開翅して止まり、葉の先端に産み付ける行動を示しました。

++横位置画像をクリックすると拡大画像を見ることができます++
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D71K-34(トリミング)、ISO=640、F10-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時08分

 この葉はカバノキ科のクマシデ(Carpinus japonica)。残念ながらこの時は撮影後、葉先端の卵の確認を怠りました。最初は誤産卵行動かと思いきや、更に産卵を繰り返しました。次はやや曖昧な証拠画像。
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D71K-34(トリミング)、ISO=640、F10-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時09分

 産卵後飛び立った♀(画面左上)の右下、画面中央下にある葉の先端部(矢印)に青緑色の卵らしき姿が写っています。これまた卵にピンが正確に来ていないのが悔しいところです。この後、ほぼ1~2分間隔でクマシデ葉の先端に産み付ける行為を繰り返していきました。
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D71K-34(トリミング)、ISO=640、F10-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時10分
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D71K-34(トリミング)、ISO=500、F10-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時13分

 産卵の途中は定番の日光浴。
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D71K-34、ISO=200、F11-1/800、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時05分

 一連の行動は明らかに食樹と確信して産み付けているように見えました。因みに本来の食樹のカエデ類が近くにあって、暫くカエデに興味を示すかを注視しておりましたが、全く飛来しませんでした。実は過去にもクマシデへの産卵記録があって、そこで発見された卵・1齢幼虫が4齢まで生育したこと、およびクマシデと同属のアカシデ(C.laxiflora)から同様に卵・1齢幼虫が発見されたことが記載されています(※)。ミスジチョウがカバノキ科からカエデ科に食性転換してきたことの名残なのか?逆にカエデ科からカバノキ科へ食餌植物を拡大していく途中の生態なのか?面白い事実だと思いました。ミスジチョウ♀は正午頃には姿を消し、代わりに♂が目立ってきて盛んに探♀飛翔を繰り返しておりました。つまり♂に邪魔されない午前中の時間帯を見計らって産卵活動をしていたようにも思えます。
 さて、朝方、アイノやジョウザンを探索中、翅を開閉させながら草陰に潜んでいるミスジチョウ♀を発見。暑いので葉上から吸水しているのかと思って撮影してみると・・・・。
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D71K-34、ISO=200、F11-1/800、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時18分

 どうやらクサキリ幼体の死体腐液を舐め舐めしている所でした。獣糞とかにも来るNeptisですから窒素(N)分を補給していたのかもしれません。とても暑かったこの日、タテハ類の吸水も盛んでした。特に目立ったのがミドリヒョウモンの♂。
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D71K-34、ISO=640、F10-1/640、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時40分

コンクリートで被覆された法面からしきりに吸水しておりました。気温が最高値に達しそうな午後2時頃には綺麗なクジャクチョウも葉の茂みに姿を隠す光景も観察できました。避暑がてら信州に出かけた今回の遠征。それなりに暑さは厳しかったものの、ゼフやら大好きなNeptis属を沢山観察できて楽しい一時を過ごすことができました。

※福田晴夫他、1984. 原色日本蝶類生態図鑑(Ⅲ):p.157、保育社
by fanseab | 2013-07-13 23:30 | | Comments(4)
Commented by Sippo5655 at 2013-07-14 22:48
信州にはオオミスジがたくさん・・・
本当にたくさんいると、感覚が違ってしまいますよね。
この地域差に最近、あらためてショックを覚えてしまう私です。。
オオミスジも、フタスジチョウも、
もちろんコミスジだって、特に裏面の流麗さが大好きです。
ミドリヒョウモン 今季まだ会えてない;_;
このお写真 複眼まで緑に見えますね(*´∀`*)
Commented by fanseab at 2013-07-15 23:18 x
Sippo5655さん、信州で沢山出会えるオオミスジ・ミスジチョウには心癒やされますね。逃げてはまた戻って来る動きも面白いし、慣れてくると手乗りシーンまでサービスしてくれますからね。ミドリヒョウモンはストロボ照射で裏面が派手目に表現される傾向にあって、もしかすると複眼の色調まで影響を受けたのかもしれません。
Commented by clossiana at 2013-07-19 16:30
大変に興味深かったです。これは単純な誤産卵ではないのかもしれませんね。特に過去に4齢まで育ったのだとすればなおさらです。種は違いますが以前にエゾシロチョウがナナカマドへの産
卵が観察されたことがあるのですが、その時は羽化にはいたりませんでした。それで誤産卵だったのだろうと解釈されたのですが後で別の方が自然状態での羽化まで見届けたのです。それで今では食樹の一種とみなされています。この蝶ももし出来ましたら続報をお願いしたいです。無理にとは言いませんが。。
Commented by fanseab at 2013-07-21 22:18 x
clossianaさん、確か中国産Neptis属で、カバノキ科食いの種が確認されていたはずで、本来的に食ってもおかしくない食樹のようです。本文中には記載しませんでしたが、当地の♂はまるでコミスジみたいに小さい個体が多く、ひょっとしたらこの食性が関係しているのかしらん、と思ったりしました。再度訪れる機会がありましたら、確実な卵撮影とかしてみたいです。
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