探蝶逍遥記

ツバメシジミの飼育記録(蛹化まで)

 首題シジミの飼育を昨年秋に実施し、終齢幼虫までの経過を既に報告しました。今回はその後の経過報告です。越冬態勢に入った昨年11月10日以降、飼育プラケース内に食草のマルバヤハズソウの枯草を敷詰め、その中に越冬幼虫を入れました。こんな状況で、黄色矢印の位置に越冬幼虫(個体識別#2)が静止しております。

++画像をクリックすると拡大画像を見ることができます++
f0090680_2213501.jpg
D71K-85VR(トリミング)、ISO=100、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:3月31日

 屋外での越冬環境をシミュレートした状況下に置いたわけです。それにしても幼虫の体色はヤハズソウの枯葉そっくりで見事に同化しております。幼虫の拡大像です。
f0090680_221452.jpg
D71K-85VR(トリミング)、ISO=100、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:3月31日

 この時点では越冬スタート時と体色や皮膚表面の状況に変化がなく、無事越冬が完了したと思われました。なお、冬期間、プラケース内にはティッシュペーパーを湿らせて入れ、ティッシュが乾燥したら少し加湿する手法を採用しました。個体#1は本年3月30日に冬眠から覚めたようで、それまで静止していたヤハズソウの枯葉の上から湿ったティッシュの上に移動して静止しました。
f0090680_22143469.jpg
D71K-85VR(トリミング)、ISO=100、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:3月31日

 この頃、多摩川縁の発生地を訪ねてみると、マルバヤハズソウの新芽が出ておりましたので、これを摘まんでプラケース内に入れておきました。実は越冬世代のツバメシジミ幼虫が越冬明け後、摂食するか否かは全く不明でした。飼育をする際、頼りにしている図鑑(※)には、「終齢越冬は晩秋摂食をやめ・・・(中略)越冬する」とだけ素っ気なく書かれており、越冬後の摂食挙動については一切触れられておりません。ですので越冬明けの摂食も考慮に入れて、念のため新芽を供給しておきました。しかし、その後プラケースに入れたヤハズソウの新芽を摂食する気配はなく、4月10日頃、プラケースの隅に移動しました。そして4月14日に無事蛹化しました。
f0090680_22152284.jpg
D71K-85VR(トリミング+2コマ深度合成)、ISO=200、F13-1/160、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:4月15日

 この時点で既に屋外でもツバメ成虫は発生しており、室内飼育にしては随分と遅い蛹化だなと思いました。その後4月24日になって、やや蛹が黒化してきましたが、その後全体が黒化したものの結局羽化に至らず死亡しました。こうなると寄生の疑いも出てきたので寄生蜂(蠅)の発生も予測してプラケースの蓋をして継続観察しましたが、寄生種も発生せず、どうやらウイルス等の病死だろうと判断しました。一方、個体#2は4月に入っても冬眠から覚めず、結局幼虫は干からびて変色し、死亡しました。実のところ、越冬前にツバメ幼虫の温・湿度管理は相当難しいだろうと予測しておりましたので、一頭が無事蛹化した時は嬉しかったのです。しかし、羽化まで行き着かなかったので、何か問題があったのでしょう。素直に屋外放置すればよかったのかもしれません。恐らく夏場に飼育すれば小学生でも羽化まで簡単に辿りつける種類でしょうが、越冬幼虫に対しては相当な飼育ノウハウを必要とすることを改めて痛感いたしました。

※原色日本蝶類生態図鑑(Ⅲ)、pp302-305. 保育社
by fanseab | 2013-05-23 22:19 | | Comments(2)
Commented by himeoo27 at 2013-05-25 21:47
ツバメシジミの越冬幼虫は良く枯葉に擬態して
いるので私には自然界では見つけるのは難し
です。さらに飼育も困難ではお手上げですね!
Commented by fanseab at 2013-05-27 20:39 x
himeooさん、飼育は夏場なら簡単だと思います。
越冬幼虫は小生でも野外ではまず見つけられないと思います。
この手の擬態は凄いですね。
名前
URL
画像認証
削除用パスワード