探蝶逍遥記

サトキマダラヒカゲの飼育記録:その3(羽化)

 昨年9月下旬に採幼した首題種飼育の続編です。
卵から3齢までをその1(外部リンクで、
4齢から蛹化までをその2(外部リンク)」で各々ご紹介しました。今回は羽化の記録です。

 飼育プラケース内には冬季の間、湿らせたティッシュペーパーを入れ、これが乾いたら、水分を補給する手法を採用し、拙宅トイレ内で保管しておりました。当初、5頭の半数を屋外放置することも計画しておりましたが、手間暇かかるので、結局全頭室内飼育を継続いたしました。これまでの蛹越冬種の飼育経験から羽化は4月上旬頃になるだろうと推測。ところが、3月8日に1♂が既に羽化、プラケース内で☆状態になっているのを発見し、驚きました。慌てて、蛹の黒化状態チェック頻度を週1回から、2-3日毎に変更しました。最初に発見した1♂(個体識別#1)は恐らく3月上旬に羽化したものと推測しました。
 #1の羽化に引き続き、#2の蛹の体色が3/20過ぎに黒化し、3/22には腹節が緩んで羽化直前の兆候を示しました。

++横位置画像をクリックすると拡大画像を見ることができます++
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D71K-85VR(5コマ深度合成+トリミング)、ISO=100、F11-1/320、-1.0EV、外部ストロボ、撮影月日:3月22日

 そして3月23日に♀が羽化しました。
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D71K-85VR、ISO=100、F11-1/80、-1.0EV、外部ストロボ、撮影月日:3月23日

 残念ながら羽化の現場には立ち会えませんでした。撮影時には既にムチャ活発で、ジオラマ風に撮影しようとの管理人の目論見は無残にも外れ、味気ないカーテン背景の絵になってしまいました(^^; 引き続き#3、#4が3/25に羽化(共に♀)。#3の画像です。
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D71K-85VR、ISO=100、F13-1/40、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:3月25日

 この時は何とか食草のネザサ葉上に止まらせての絵が撮れました。残りの1頭は大幅に遅れて(当初の予想時期に近い)4/5に♂が羽化しました。
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D7K-85VR、ISO=200、F9-1/25、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:4月5日

 ティッシュに人工樹液(酢を添加した砂糖水)を湿らせ、これを美味しそうに吸っている光景です。吸わせる時に前翅端をつまんだため、前翅端付近の裏面鱗粉が少し剥離しております。何はともあれ、これで5頭全てが無事羽化しました。最初の1頭の羽化時期判断を間違えて、お☆様にしてしまったのは残念でした。当初、越冬蛹の湿度管理に不安を持っておりましたが、かなりいい加減な湿度管理方法でも無事羽化に辿りつけることが理解できました。更に蛹化時に懸垂器から脱落して翅面が少し変形した状態で固化した蛹は羽化不全になったりしないか?懸念があったのですが、それも心配無用だったようです。考えてみれば自然状態でも蛹化時に地面に落下する個体も多いでしょうから、結構タフな蛹なのでしょう。蛹期は105日(#1)~140日(#5)でした。できればサトキマに引き続き、房総産ヤマキマダラヒカゲの飼育にチャレンジしたいと思っております。
by fanseab | 2013-04-20 12:10 | | Comments(8)
Commented by Garuda at 2013-04-20 12:49 x
無事羽化おめでとうございます。
冬の間に、お逢いした地点から上流に向かって1km近い範囲に点々と残る目印のビニールテープの数に脱帽しておりました。凄い探索力、と。
Commented by yoda-1 at 2013-04-20 20:14
おお素晴らしいです。
常にティッシュを湿らせておけばよいのですか。
トイレの気温とのことですが、仮に暖かい部屋に置き放しだと何か違ってくるのでしょうか?
人工樹液を吸う姿がなんともかわゆいものですね。
ところで、ヤマとサトの人工交雑実験は誰か実施していましたでしょうか?
是非ご教示ください。
Commented by fanseab at 2013-04-20 20:33 x
Garudaさん、コメント有難うございます。
フルステージもしくは準フルステージ飼育の醍醐味はやはり成虫羽化の瞬間ですね。翅がきちんと伸びたことを確認すると、育て終えた・・・実感が湧いてきます。特に幼虫・蛹越冬種については色々と神経使います。
<ビニールテープの数に脱帽・・・
ハハハ、恥ずかしいものを見られてしまいましたね。もちろん全てサトキマの物ではなく、複数種のチェックマークでございます。
Commented by fanseab at 2013-04-20 20:41 x
yoda-1さん、小生は蛹越冬種の飼育管理は初心者同然ですから、湿度管理についてコメントできる立場にはありません。確かギフチョウは相当に難しいと聞いております。単にティッシュを湿らせておけばOK・・・ではなかったはずです。サトキマの冬季蛹管理はさほど困難ではないことを見出したのが今回の成果でありました。恐らく春型から生まれた幼虫を梅雨時に管理する方が難易度高いのではと推定しております。
暖房の効いた低湿度高温環境では乾燥耐性が低く干からびるリスクを想定しております。
人工交雑についての文献は小生未だ未確認です。
yodaさん、本邦初実験にトライしてみますか?
Commented by himeoo27 at 2013-04-21 08:53
サトキマダラの翅の模様はアースカラーがパッチワーク
状に上手く配置されて素敵ですね!
飼育はクワガタムシと異なり難しそうに思いました。
Commented by fanseab at 2013-04-21 18:08 x
himeooさん、サトキマもじっくり眺めると綺麗でしょ!特に春型は後翅裏面の白黒コントラストにメリハリが付いて、素敵なんです。
貴殿はクワガタの飼育経験が豊富だと思いますが、サトキマ越冬世代の飼育はオオクワ並みに容易だと思います。少なくとも温度管理に神経を使うミヤマクワガタより遥かに容易なので、一度チャレンジされたら如何でしょう。
Commented by chochoensis at 2013-04-29 10:11
fanseabさん、さすがです!!!写真1・2も拝見しましたが、小生の写真よりもはるかに精密で鋭い観察にいまさらながら驚いています。こういうシリーズをぜひ、続けて欲しいです、自然観察万歳です!
Commented by fanseab at 2013-05-01 22:38 x
chochoensisさん、コメント有難うございます。
飼育記録は無理をせず、これからも続けていくつもりです。幼生期に各齢毎に画像を採取するのは骨が折れるので、結構きつい作業ですね。
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