探蝶逍遥記

ボルネオ・グヌンムル公園遠征記(19)タテハチョウ科・マダラチョウ亜科

 タテハチョウ科の最終回はマダラチョウ類です。先ずはガウラヒメゴマダラ(別名:ヒメゴマダラ、Ideopsis gaura daos)。全く止まる気配が無いので飛翔を撮影。                                   
                                                                  ++横位置画像をクリックすると画像閲覧ページに飛び、拡大画像を見ることができます++
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D5K-10.5-X1.4TC(トリミング)、ISO=400、F5-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月10日、12時38分
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D5K-10.5-X1.4TC(トリミング)、ISO=400、F5-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月10日、12時42分

 Ideopsis属の中でも例えばリュウキュウアサギマダラ(I.similis)はオオゴマダラ(Idea leuconoe)とは全く似ておらず、別物のマダラチョウと言えましょう。ところが本種、gauraは将にオオゴマダラのミニチュア版と言った風情で、「小さ目の(ヒメ)オオゴマダラ」を意図して「ヒメゴマダラ」と命名されたのでしょう。グヌンムルに滞在中、色々な遊歩道を歩きましたが、目撃したのは一箇所でのみ、都合2回遭遇しました。そこはジャングルを少し切り開いたオープンランド的環境になっていて、その林縁をこのマダラが好んでフワフワと飛んでおりました。つまり暗い林縁環境は好きではないようです。これと正反対に薄暗い林縁にフワリと登場したのはストーリーオオゴマダラ(Idea stolli virgo)。
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D7K-34、ISO=400、F8-1/100、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月11日、11時50分

 日本でも見られるオオゴマダラと異なり前後翅共に異常に細長い形状をしております。特に後翅の形は特異で、第5脈で著しく突出し、ここまで変形するとチョウトンボの翅に近いですね。このマダラはダナムバレーで一度目撃しておりましたが、撮影は今回が初めて。かなり高い位置を滑空しており、撮影後、再び暗い林内に消えて行きました。ボルネオには近似種のホソバオオゴマダラ(I.lynceus)も棲んでいますが、ここグヌンムルには分布上、stolliしかいないはず(lynceusは南西ボルネオのみ分布)なので、本種として間違いないと判断しました。一方、ルリマダラ類は大変貧弱な印象を受け、僅か2種類しか出会えませんでした。最初はクラメリルリマダラ(Euploea crameri crameri)♂。
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D7K-34、ISO=200、F5-1/160、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月10日、11時51分

 この子も高い梢で一休みしているところを撮影。クラメリとはシンガポール遠征以来(外部リンクの出会いでした。逆光で前翅が後翅から透けて見え、独特な前翅後縁部の形状、および腹端の構造から♂と判断できますね。帰国してからこの絵をピクセル等倍に拡大して気が付きましたが、クラメリの腹端のすぐそばの葉裏に鱗翅類が開翅して隠れています。ただこれがセセリ類か蛾なのかは判別できませんでした。次に国内でもお馴染みのツマムラサキマダラ(Euploea mulciber portia)♂。
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D7K-34、ISO=400、F10-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月10日、11時51分

 ロッジの目の前で、ノボタン類と思しき花から吸蜜しておりました。これでタテハチョウ科のご紹介はおしまいです。最後に今回、目撃・撮影できたタテハチョウ科全31種をリストアップしておきましょう。

<タテハチョウ科目撃・撮影種リスト(黄色字は目撃種)>
(1) リュウキュウムラサキ(Hypolimnas bolina philippensis)
(2) イワサキタテハモドキ(Junonia hedonia ida)
(3) ハイイロタテハモドキ(Junonia atlites atlites)
(4) リンボルギコノハチョウ(Kallima limborgi boxtoni)
(5) ソトグロカギバタテハ(Rhinopalpa polynice helionice)
(6) タイワンキマダラ(Cupha erymanthis erymanthis)
(7) アルキッペウラベニヒョウモン(Phalantha alcippe alcippoides)
(8) サテリタミナミヒョウモン(Cirrochroa satelita satelita)
(9) クラリッサビロウドタテハ(Terinos clarissa praestigiosa)
(10) ラリアチビイシガケチョウ(Chersonesia rahria rahria)
(11) ドゥリョダナコミスジ(Neptis duryodana duryodana)
(12) クリニアミスジ(Neptis clinia ila)
(13) ミナミイチモンジの一種(Athyma sp.)
(14) トラフタテハ(Parthenos sylvia borneensis)
(15) ペレアもしくはムンダコイナズマ(Tanaecia pelea lutala or T. munda munda)
(16) ドゥンヤリクイナズマ(Bassarona dunya dunya)
(17) パルダリスオオイナズマ(Lexias pardalis borneensis)
(18) デコラジャノメタテハ(Amnosia decora baluana)
(19) ルリモンジャノメ(Elymnias hypermnestra nigrescens)
(20) ムカシヒカゲ(Neorina lowii lowii)
(21) オルセイスコジャノメ(Mycalesis orseis borneensis)
(22) アナピタコジャノメ(M. anapita fucentia)
(23) シマジャノメ(Ragadia makuta umbrata)
(24) グラキリスヒメワモン(Faunis glacilis glacilis)
(25) キラタヒメワモン(F. kirata kirata)
(26) アウレリウストガリバワモン(Zeuxidia aurelius euthycrite)
(27) クルギウスルリワモン(Thaumantis klugius lucipor)
(28) ガウラヒメゴマダラ(Ideopsis gaura daos)
(29) ストーリーオオゴマダラ(Idea stolli virgo)
(30) クラメリルリマダラ(Euploea crameri crameri)
(31) ツマムラサキマダラ(Euploea mulciber portia)

<次回に続く>
by fanseab | 2013-03-02 20:56 | | Comments(8)
Commented by himeoo27 at 2013-03-03 13:09
マダラチョウの仲間は、アサギマダラを除くと
琉球列島で出逢う蝶のイメージがあるので
どの子も熱帯の香りがします。
それにしてもチョウトンボのようなストーリーオオゴマダラ
にはぜひ逢いたいなあ~!
Commented by Sippo5655 at 2013-03-04 21:18
こんな、水玉模様の翅の子がいるなんて(@-@)
それにしても、お洒落ですね~!
小さ目のオオゴマダラ・・・たしかに。
五線譜に散りばめられた音符のようです^^
Commented by MatsuHimeji at 2013-03-05 18:06
遊歩道という場所は、意外と生きものとの遭遇率が高いように思います。
チョウでない怪しげな蟲たちも、手すりのそこら辺にいたんだろうな~などと楽しく拝見しています。
薄暗い中をふわ~~んふわ~んと飛ぶオオゴマダラ、もぉ~うっとり♪
あんなふうに撮ってみたいですが、慌てるおばさんには勝算なしのような気もします。
↓のトカゲを侍らせたワモンチョウのその後が気になるところです。(笑)
Commented at 2013-03-05 18:07
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by fanseab at 2013-03-05 21:46 x
himeooさん、仰る通り、マダラチョウの仲間は本来熱帯アジアに分布の中心を持ちますから「本場」に行けば多数の種類が棲んでいます。しかし、意外と観察できる種類は少ないのが現実で、行く先々で異なる種類に出会うこともしばしばです。オオゴマダラの仲間も魅力的な種類が多くて困ります(笑)
Commented by fanseab at 2013-03-05 21:50 x
Sippo5655さん、「五線譜」ですか!上手い表現ですね。ご指摘の通り、オオゴマダラもガウラも五線譜が飛んでいるような感じがします。翅の模様は「四分音符:♩」や「八分音符:♪」の感じですが、飛ぶ姿・リズムは「二分音符」の如くマッタリ・ユッタリモードですね。
Commented by fanseab at 2013-03-05 21:55 x
MatsuHimejiさん、ご指摘の通り、遊歩道はトラップみたいなもので、ジャングルの中で巧妙に擬態していた昆虫や動物がその正体を現すために人間に発見されやすい場所ですね。
「怪しげな蟲たちも・・・」ハイ、これらの蟲については、別途ご紹介する予定でございます。
トカゲの脇のワモンは素早く林内に消え、トカゲ君もワモンを茫然と見送った後、彼も遊歩道から直ぐに消えました・・・。
Commented by fanseab at 2013-03-05 21:55 x
鍵コメさん、了解です。別途私信します。
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