探蝶逍遥記

ボルネオ・グヌンムル公園遠征記(16)タテハチョウ科・イチモンジチョウ亜科②

 イチモンジチョウ亜科の二回目はデコラジャノメタテハ(別名:ジャノメスミナガシ、Amnosia decora baluana)のご紹介です。本種はDanum Valleyで初めて出会い(外部リンク)、とてもインパクトを受けたタテハです。今回は比較的個体数に恵まれたこともあり、♂♀含め、撮影を堪能することができました。最初は葉裏に全開して静止した♂。
                     
 ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D90-85VR、ISO=400、F13-1/40、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月13日、9時12分

 ご覧のように前翅端をよぎる青白帯が特徴です。飛翔中はまるで巨大なホタルガが飛んでいるように見えます。しかも飛び方までヨタヨタとぎこちなく、ホタルガにそっくりなのです。概ね10mほど飛ぶと、すぐに葉裏に隠れるので、飛行中目線を切るとまず再発見は不可能。隠れる葉の高さは1m~2m程度。公園の遊歩道の高さと同レベルのため、目線より明らかに下になって、ベタ開翅画像を撮るのが非常に難しいタテハです。次は同じく葉裏に隠れた♀。
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D7K-34、ISO=100、F6.3-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月10日、11時40分

 通常はこんな絵を撮るのがやっとの世界(^^; かなり敏感なタテハですが、吸水や吸汁中鈍感になるのは日本のスミナガシと同じ。遊歩道で吸水(吸汁?)中の♂です。
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D7K-34、ISO=640、F10-1/125、-1.0EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月12日、13時18分

 何とか表翅と裏面を同時に写し込むことに成功。この遠征では毎日どこかで必ず本種に遭遇しましたが、いずれも単発的で、すぐにジャングルの中に逃げていくため、なかなかまとまって写すチャンスがありません。ところが、最終日、何やら個体数が多い場所に偶然遭遇し、じっくりと撮影することができたのです。最初に気が付いたのは樹上で繰り広げられていた♂♀求愛ダンスでした。
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D7K-34、ISO=400、F11-1/125、-0.3EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月13日、8時54分
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D7K-34、ISO=400、F11-1/160、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月13日、8時55分

 ♂(右)と♀(左)がお見合いする形で、♀が全開し♂が回り込もうとすると、♀も回転して交尾拒否の姿勢を取ります。これ、完全にオオムラサキ♂♀の求愛ダンスと同じスタイルでした。この求愛行動は1分以上続いておりました。求愛シーンに偶然遭遇したのには実は仕掛けがあって、求愛ダンス現場のすぐ下に樹液酒場があり、ここに多数のdecoraが集っていたのです。遊歩道の通行の邪魔になると判断したのでしょう、切断した幹から白い樹液がたっぷりと出ておりました。管理人が熱帯アジアでこのような樹液酒場を見たのは今回が初めてです。最初は♂の吸汁シーン。
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D7K-34、ISO=400、F10-1/125、-1.0EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月13日、9時00分

 この画像は本年初頭の記事でご紹介させて頂きました。前翅を貫くライトブルーの帯は白飛びしやすく、難しい撮影対象です。次に♀の吸汁シーンを対角魚眼で撮影。
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D90-10.5-X1.4TC、ISO=400、F13-1/50、-0.7EV、外部ストロボ+スレーブ1灯、撮影年月日・時刻:2012年3月13日、9時07分

 ジャングルの中に出来た樹液酒場。そこに群れる♀と♂(中央下)。右上から焚いた補助光が少し強すぎたのを除き、ほぼアウトプットイメージ通りの作画が出来ました。今回遠征で撮影した画像の中でもお気に入りの絵になりましたので、通常より大き目の画像でご紹介しました。是非、画像をクリックして雰囲気を味わって下さい。この♀個体とは別の♀が下草付近をゆっくりと飛び回っているのに気が付きました。直感的に産卵行動と判断し、暫く追跡してみました。
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D7K-34、ISO=400、F10-1/100、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻:2012年3月13日、9時01分

 低木に産んだ様子もあったので、葉裏や葉上を調べましたが卵は発見できませんでした。このタテハの食草はイラクサ科のキミズ(Pellionia scabra)とされており、それほど丈の高い草本ではありません。もう少し時間があれば卵や幼虫も見つけることができたかもしれません。最終日で慌ただしいスケジュールだったことが悔やまれました。それでも課題だった♂撮影のみならず、求愛や樹液吸汁シーンなど、想定外の画像まで撮れて、このタテハを堪能させて頂きました。次回は本種のみならず、ボルネオ特産のボルネオスミナガシ(Stibochiona schoenbergi)にも是非出会ってみたいものです。
<次回に続く>

★2/20追記:画像拡大機能の件
 今日、投稿した記事を読んでいてビックリ!画像をクリックすると、「画像閲覧ページ」なるものが出てきて、その画像を更にクリックしなければ拡大画像を見ることができない仕組みに変わっていた。これまではワンクリックで画像拡大できたのに~・・・と恨み百倍。結局、アフィリエイト広告を読ませたいエキサイト側の策略であります。「エキサイト向上委員会」なるお知らせは殆ど百害あって一利なしのことが多く、変な仕掛けを作ると必ずエラーが出現し、サーバーがダウンしたりロクなことはありません。これまでは「横位置画像はクリックで拡大されます」と書いてきたけど、これからは、「横位置画像をクリックすると、画像閲覧ページに飛び拡大画像を見ることができます」と書かねばなりません。あ~っしんど!!

★3/21追記:同上
 ↑のようなクレームがエキサイトに沢山届いたと見えて、エキサイト側から画像拡大方式をオプション式にして、単純一発拡大できる選択肢が提案されました。もちろん、このモードを選択したので、これまで通り、画像をクリックすれば拡大画像が一発で表示されるようになりました。
全くお騒がせもんでした。
by fanseab | 2013-02-19 21:45 | | Comments(10)
Commented by otto-N at 2013-02-19 22:25 x
オス、メスともすばらしく綺麗なタテハですね。
こういうのがいるかぎり、東南アジアに通い詰めることになってしまう気持ちがよく判ります。
私がビックリして撮ったのは、カンボジアでのオナガアカシジミくらいでしたが。
「集い」で、ニセコでスキーもされていたことを知り、ちょっと嬉しくなりました。
Commented by MatsuHimeji at 2013-02-19 23:28
♂♀求愛ダンス、素晴らしいです!
魚眼で撮影された画像、大きくして拝見すると・・・滴る樹液にコバエもいたりして、背景の林冠の切れ間からの差し込む光の筋には既視感があり、息苦しい程の湿気も感じられて臨場感たっぷりですね。
これはぜひ壁紙にさせていただきたいです。
日々念ずればきっと行けそうな気がしてきます。(笑)
Commented by OTTO at 2013-02-20 18:11 x
デコラジャノメタテハ。美しいですね~
オスのブルーの鮮やかな帯も素敵ですが、メスのクリーム色の取り合わせも地味ながら落ち着いた美しさに充ちています。
オスメスの組み合わせは、この種が持つ紋様の全体が完成するといったある種の完結感みたいなものを感じますね~。
いつもながら写真の見事さにも感服・・・・^^
Commented by fanseab at 2013-02-20 21:49 x
otto-Nさん、本種は前翅の帯模様がなければ極めて地味なタテハです。逆に言えば、前翅の帯が最大の魅力で飛翔中も相手を認識するのに役立っているのではないかと思います。
仰るように、異国で初めて異形の蝶に出会うと興奮しますよね。オナガアカシジミは別名ハタフリシジミと言って、独特の飛翔方法に驚かされます。集いの参加、お疲れ様でした。
Commented by fanseab at 2013-02-20 21:52 x
MatsuHimejiさん、求愛ダンスシーンに出会えたのはラッキーでした。魚眼画像は補助光を色々と試す時間があったなので、何とか良い仕上がりになりました。壁紙に使って頂ければ光栄です。グヌンムルは最近、海野さんもキナバル国立公園と掛け持ちのツアーを企画されているようですね。ご家族を説得しての(笑)吉報を期待しております。
Commented by fanseab at 2013-02-20 21:55 x
OTTOさん、このタテハを「美しい」と言って下さると、本人(デコラ)達も喜ぶと思います。図鑑上ではそれほど目立つタテハではないですからね。♀は実の所、同所的に生息するヒメワモンに極めて似ていて擬態ではないですが、斑紋の収斂を感じさせてくれます。
Commented by naoggio at 2013-02-20 22:18 x
この蝶、オスも美しいですがメスも相当なものですね。
色といい模様といい申し分ないです。殊に前翅の黄帯のギザギザ感がたまりません。
どの写真も見事ですが魚眼の1枚は本当にお見事です。
存分に楽しませて頂きました。
Commented by fanseab at 2013-02-21 22:52 x
naoggioさん、コメント有難うございます。
仰るように♀の方が斑紋も変化に富んでいます。
何回か通うと好みの蝶が出来てきて、それが
普通種であってもきっちり撮ってやろうとの
想いが出てきます。デコラはそんなタテハの
一つで成果が出て満足しております。
Commented by ごま at 2013-02-22 12:58 x
魅力的な蝶ですね。水色の帯がなんとも素晴らしいです。
見にいきたくなってしましますね。
日本の蝶が一段落したら、出かけたいと思います。
まずは入門コースの台湾ですかね。
Commented by fanseab at 2013-02-22 23:45 x
ごまさん、このタテハは飛んでいる姿がユニークだし、葉裏に隠れる挙動も見逃せません。標本からは想像できない魅力タップリの蝶です。貴殿も後2年もすれば日本の蝶はほぼ制覇されるでしょうし、アジアの蝶にも是非チャレンジしてみて下さい。そう、先ずは台湾か香港あたりからトライするのが良いと思います。
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