探蝶逍遥記

ムラサキツバメ越冬集団の探索(11月下旬)

 一昨年独自発見した神奈川県南部のポイントに出向きました。2年前は最大8頭を含め合計4箇所の越冬場所を見出しました。ところが昨年同じ個所を訪れると単独個体越冬を見出すのがやっとの有様でガッカリいたしました。さて、今年はどうなのでしょうか? このポイントで集団越冬している葉に対し、マンションやアパートに倣って「1号棟」から「4号棟」までネーミングをしております。先ずは1号・2号棟を訪れてみると、全くの坊主。影も形もありません。これには落胆です。次いで3・4号棟ではなく、「5号棟」の可能性を求めて、再探索することにしました。以前♂の日光浴を良く観察した谷戸状環境の入口付近を綿密に当たってみることに。一番可能性のありそうなアオキやヤツデを探りますがおりません。ここにはいないだろうと思った丈の低いビワにふと目をやると、何とおるではないですか! やったネ!先ずは85mmマクロで押さえておきました。                              
 ++横位置画像はクリックで拡大されます++
f0090680_21294217.jpg
D7K-85VR、ISO=200、F14-1/100、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時11分

 合計4頭。高さはほぼ1m程度。ムラツの集団としては異例の低さです。彼らの頭上にある「庇」となる葉は短めで、この場所では10頭以上の集団形成は無理かもしれません。以前より、この谷戸付近に必ず集団が形成されているだろうと予想しておりましたが、まさかこんな場所に・・・と思うような低さでした。お次は魚露目で「5号棟」の住人をアップいたしましょう。
f0090680_21304185.jpg
D90-1855VR@55mm-gy8(トリミング)、ISO=200、F29-1/50、-0.7EV、外部ストロボ+スレーブ1灯、撮影時刻:10時25分

 この頃、少し陽射しが出てきた関係でムラツも活発化してきておりました。触覚が立っているのが何よりの証拠。そのうち、手前の1頭がサッと飛び立ちました。斑紋よりどうやら♀のようでした。残された3頭の様子です。
f0090680_2131149.jpg
D90-1855VR@55mm-gy8(トリミング)、ISO=200、F29-1/60、-0.7EV、外部ストロボ+スレーブ1灯、撮影時刻:10時28分

 巣の内部に魚露目レンズの筒を突っ込んで撮影しているため、ムラツを刺激しており、一番手前の個体は飛び立つ準備をしております。この個体はソロソロと「5号棟の玄関付近」にお出ましになり、いきなり全開です!♂でした。
f0090680_21312992.jpg
D7K-85VR、ISO=200、F5.6-1/320、-1.0EV、撮影時刻:10時27分

 鮮度はまずまず。このアングルだと右前翅はクロツやヤマト♀のような赤味がかった幻光を呈します。少しカメラを右に寄せて再撮影。
f0090680_21315887.jpg
D7K-85VR、ISO=200、F3.8-1/640、-1.0EV、撮影時刻:10時27分

 全体に紫色を帯びた暗緑色に変化します。もう少し真正面から覗こうとカメラを下に動かした途端に飛び立たれてしまいました。そのうち、巣に残っていたもう1頭も飛び出し、残るは1頭のみ。ムラツの越冬集団を観察していると、概ね奥の住人は不活発で、気温の上昇と共に仲間の殆どが飛び去っても越冬葉に居残るケースが多いように思います。最後に残った個体はパルピの形状からどうやら♂のようでした。魚露目でこの住人に最接近を試みました。
f0090680_21323227.jpg
D90-1855VR@55mm-gy8(トリミング)、ISO=400、F29-1/60、-0.7EV、外部ストロボ+スレーブ1灯、撮影時刻:10時50分

 以下、管理人と住人の想定問答。
住人:オイオイ、人の家に勝手に上がり込んで俺の鼻先にカメラを向けるとは失礼やで!お前さんはどこの誰やねん!
管理人:これは失礼いたしました。蝶の生態を紹介するブログ:探蝶逍遥記を管理しているfanseabと申します。皆様の生活を読者の皆様にご紹介しようと思ってカメラを向けている訳でございます。
住人:フーン。いきなりカメラを向けるカメラマンもけしからんが、世の中には俺らの暮らしを見て喜ぶ暇な連
中もおるもんやなぁ~。
管理人:あの~、もう一つお願いがあるんですが。
住人:なんやね。はよう勿体ぶらないで言わんかい!
管理人:あなた様を横向きポーズで写真を撮りたいのですが・・・、その方が虫の目レンズ的雰囲気が出ますので・・・・。
住人: わかった、わかった。これでエエんかい?

と、ブツクサ言われながら撮ったのが次のショット(^^)
f0090680_21351754.jpg
D90-1855VR@55mm-gy8(トリミング)、ISO=400、F29-1/60、-0.7EV、外部ストロボ+スレーブ1灯、撮影時刻:10時50分

 正直な所、2灯照射でも集団越冬状況のライティングはいつも大変に難しく、ストロボの位置調整に手間取っている間にムラツは刻々と葉上を移動していくので苦労します。

 さて、魚露目撮影の途中、何気なく足元を見ると、♀が全開日光浴しておりました。慎重に撮影。
f0090680_2136090.jpg
D7K-85VR、ISO=200、F6.3-1/250、-0.7EV、撮影時刻:10時34分

 尾突先端の白も揃っており、この時期にしては綺麗な個体に満足です。この後、後廻しにしていた3号・4号棟の状況を確認したところ、こちらも蛻の殻状態で全くの不発。総合的に考えると2年前よりは個体数が少ないのかもしれません。神奈川県内の他のポイントでは状況がどうなのか?時間があれば確認してみたいと思います。

+++++++++++++++++++++++++++++++++
<中央道・笹子トンネルの崩落事故の件>
既に報道されている通り、痛ましい事故が発生しました。事故で犠牲になられた9名の方の
ご冥福を心よりお祈り申し上げます。
管理人がこの事故の第一報を聞いた時、先ず想定したのは、甲州市側出入り口付近の土砂崩れでした。
同トンネルは、あの辺りを流れる日川が刻む急峻な渓谷にあるので、土砂崩れに車が巻き込まれたのかと思ったのです。ところがトンネル内天井板の落下とは! 
山梨は管理人のメインフィールドであり、これまでこのトンネルを何回往復したかカウントできないほどです。本当に何が起こるか想定外で恐ろしくなります。天井板で仕切って送風換気する方式は最近は廃れ、大きなファンを天井からぶら下げる方式が主流になっています。中央道では確か大月付近の中野トンネルだったか、このようなファンを目にします。管理人は実はいつもこのファンが落ちたら怖いな!と思って、ファンの下を通る時は気持ち加速して通り過ぎる習慣が身に付いております。あのファンを留めている懸垂金具のボルトが腐食していたら・・・・。考えれば考えるほど、怖くてトンネルは通れませんね。一刻も早く抜本対策を取って欲しいものです。
by fanseab | 2012-12-03 21:42 | | Comments(16)
Commented by cactuss at 2012-12-03 23:10
さすがに神奈川ではムラツの越冬集団が見つかりますね。
群馬のムラツの多い公園では定期的に落ち葉の掃除が行われていて、蛹の付いた葉が焼却炉行きなっている様です。
2度ほど観察に行きましたが、越冬集団を見つけることはできませんでした。
Commented by fanseab at 2012-12-04 00:35 x
cactussさん、確かにこのシジミについては群馬より神奈川の方が探索には有利でしょうね。ただBANYANさんの千葉ポイントでの記事を拝見するに、関東全域でこの秋は個体数が少なくて集団探索に不利なのかもしれませんね。貴殿と数年前ご一緒して観察した千葉での数10頭単位での越冬集団が懐かしく思います。
Commented by Garuda at 2012-12-04 06:32 x
昨年観察した大和市の公園には、この半月で4回ほど通いましたが、集団越冬どころか単独活動個体が1回現れたきりであとは全く見つかりません。
そろそろ諦めて藤沢、逗子、茅ヶ崎あたりに新ポイント探しに行こうかと思っています。

cactussさんの仰ってる定期清掃は原発事故を受けたものですかね?神奈川でも今年は公園の剪定・清掃の頻度が例年より多い気がしてるのですが。(気のせいかな)
Commented by 22wn3288 at 2012-12-04 08:32 x
集団越冬は居たのですね。
開翅の写真も綺麗です。
雌の紫の輝きは素敵ですね。
当地でも数が少ないようです。
会場でお話出来て良かったです。
Commented by OTTO at 2012-12-04 11:01 x
南のほうは、冬でも撮影・観察に困らない蝶たちがいるのでうらやましいです。
日曜日、新宿御苑で管理人さんの写真を拝見してきました。
見事な空中写真で、感嘆しておりました。

ところで、マンション住人とカメラマンさんの軽妙な対話。
とてもいいっす。笑

管理人さんのブログを拝見すると、なんか生真面目な学究肌の方かとお見受けしていたのですが、こんなユーモアもある方だったんですね。わは。
Commented by fanseab at 2012-12-04 22:07 x
Garudaさん、越冬集団探索お疲れ様です。
確かに年によって個体数の変動は著しいですね。定期清掃は
原発とは直接関係なく実施されているように思います。もちろん、
茨城県北部とか福島県南部では汚染除去目的で徹底的に枝打ちとかやっていると思いますが、関東南部ではそれほどではないと考えています。それより景気が悪くなるとむしろ公共事業費の
抑制で清掃作業の回数が減って、ムラツには好都合のように
思います。一方、剪定は萌芽促進の意味である程度頻繁に実施されるべきでしょうね。 
Commented by fanseab at 2012-12-04 22:10 x
22wn3288さん、ムラツの集団越冬場所は少し経験を積むと
いそうな場所の勘が働いて発見しやすくなります。♀の紫色は
実は大変表現が難しく、今回アップした絵も実際より青味がか
って、色再現性は不満足なのです。RAW現像ソフトを変えると
いいかもしれない・・・等と思っておるところです。
Commented by fanseab at 2012-12-04 22:13 x
OTTOさん、新宿には日曜日に来られたのですね。
小生の画像も見て頂いたとのこと、お恥ずかしい限りです。
ムラツは複眼の雰囲気が独特で一昔流行った「チョイ悪おやじ」
にピッタリなんですね。そこでどうしても関西人のノリを表現したく
悪戯してみました。
Commented by otto-N at 2012-12-05 19:37 x
先日はお話できて嬉しかったです。ありがとうございました。
千葉のムラツに行っていますが、昨年は15~6数頭、今年は3頭しか見ていません。本記事の孫孫引きから、以前は40頭超の集団が見られたとか。びっくりの画像でした。
公園なので、剪定、落ち葉掃除の影響があるとは思いますが、自然教育園でもムラツは1度見たきり。夏の異常気象の影響かなと短絡的に考えてしまいます。
翅の紫色は、私的には青っぽいほうが好きなのですが、どれが本来の色なのか判らなくなります。
Commented by himeoo27 at 2012-12-05 20:12
ムラサキツバメの♀の表翅の煌めき良いですね!
埼玉県南部では今年も個体数が少なくあまり観察
出来ていません。
Commented by fanseab at 2012-12-05 21:53 x
otto-Nさん、こちらこそ楽しいお話ができてよかったです。
そう、あそこの集団は今は幻の集団となってしまいました。もちろん、今後も諸条件が重なれば再現されるのかもしれませんが。
ムラツの場合は皆さん晩秋になってから真面目に観察されることが多く、最終化を産む直前の世代からの継続観察が疎かになっているため、どうしても秋口の個体数推移について推測ばかりになってしまいます。♀の紫色は見る角度によっても多少変わりますが、NIKONのデジ一を用い、RAWで撮影、SILKYPIXで現像するとどうしても青味がかる傾向にあります。個人的にはこの色は記憶色とはちょっと違うと思っています。
Commented by fanseab at 2012-12-05 21:55 x
himeooさん、この時期はどうしても紫三兄弟が注目されますね。ルーミスはちょっと難易度が高いですけど、ムラツも個体数変動があったりして、意外と狙って撮影できないことがあります。
今回も危うく坊主になるところでした。
Commented by 6422j-nozomu2 at 2012-12-05 22:52
もうムラツの越冬集団時期なんですね。関西でも大阪府南部では結構いるみたいです。チャンスがあれば行ってみようかな?♂♀の開翅撮影おめでとうございます。♂の表は角度によって色々に変化しますね。綺麗な紫色がなかなか撮影しにくい蝶ですよね。個体差もあるようですが。
Commented by fanseab at 2012-12-06 22:17 x
ノゾピーさん、集団越冬の個体数ピークは概ね今頃で、年を越すと激減してしまいますね。小生も関西在住時、大阪府南部を中心に必死に探しましたが、発見できませんでした。今から振り返ると探索ポイント(探すべき環境)についての知識が無かったからだと思います。ムラシもムラツも♂の個体数が♀に比較して少ないですね。ですので♂に出会えると必死に撮影しますが、いつも肝心な時に逃げられてしまいます(^^;
Commented by clossiana at 2012-12-08 18:41
今年のムラツの発生は千葉でも例年に比べて極端に少ないです。ムラツのみならずムラシもウラギンも少ないです。私は行ってはいませんが噂ではルーも少ないようです。ムラサキ3兄弟の全部が揃って少ないには一体、どうしたのでしょうね?仲間が飛び立っても居残っている個体が見られますのはムラツだけではなくてルーもそんな傾向が見られます。同じ条件下なのにどうしてだろう?とこれも不思議です。
Commented by fanseab at 2012-12-08 21:43 x
clossianaさん、本件に関しては貴殿のコメントを期待しておりました。そうですか、やはり千葉でも少ないのですね。ウラギンも少ないとなるとどんな影響なんでしょう。集団の中で最後まで残って飛び立たない個体はそれだけエネルギーの消耗も押さえて、最後のまで生き残るには有利な気がしています。何か先住権みたいなものがあって、その葉を最初に占有したもののみが許されるルールがあるような気がしてきます。
名前
URL
画像認証
削除用パスワード