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探蝶逍遥記

台湾遠征記(27)11月24日午前その1

 知本温泉滞在の最終日になりました。5時25分起床。しかしこの日も曇り空。ホテルの朝食は7時からのルールですが、6時45分頃から食堂に詰めて店員にプレッシャーをかけて定刻より少し早く提供してもらいました。バイキングの中身は前日までのホテルと異なり、やはり格が低くて選択肢が少なくガッカリ。その朝食風景です。                                                                                                                ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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GXR@5.1mm、ISO=200、F2.5-1/40、-0.7EV、撮影時刻:6時57分

 手前左はロールパン状饅頭(マントウ)。ピーナッツペーストとかジャムをつけて食しました。右のプレートは茹でキャベツ等の根菜の甘酢漬けみたいなもの。それと四角い味噌の塊のような食品がご覧になれると思います。小生は豆腐の甘辛煮だと思って一口食して絶句! ムチャ塩辛い味噌の塩漬けのようなもの。確実にロシアンルーレットの世界でした(^^; 奥のお椀は生ぬるい豆乳とお粥です。全般に期待できるものではなく、次回訪問したとしても、このホテルには絶対に宿泊しないでしょうね。

 さて、チェックアウトをして徒歩で知本森林遊樂區に向かいます。バス便もあるのですけど、歩きでもさほど辛くない距離です。途中、土産物屋に住みついている野犬が接近してきて恐る恐る歩きました。海外の野犬は狂犬病の恐れがあって怖いですからね。7時30分過ぎに公園ゲートをくぐり、ゆっくりとポイントに移動します。途中、遊歩道の一角にキシタアゲハのレリーフがありました。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F9.1-1/30、-0.7EV、撮影時刻:7時46分

 実物に出会うには遅くとも10月初旬頃には訪問しなければならないでしょう。なお、レリーフ上には亜種名として「ssp.kaguya」が記載されておりますが、最新のタクサとして「ssp.formosanus」の表記が正しいと思われます。この日は急階段を登るルートを避け、公園の東端に真っ先に出向きました。その途中、羽化直のタイワンキチョウ♀に♂がアタックをかけている場面に遭遇。蛹殻も見えている正真正銘の羽化直なので、交尾成立を期待してじっくり観察しました。
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D7K-34(トリミング)、ISO=400、F11-1/125、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時01分
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D7K-34(トリミング)、ISO=400、F11-1/125、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時02分

 しかし、期待も空しく交尾は成立せず。もう既に交尾済だったのかもしれませんね。オープンランド的な環境にヒヨドリバナの1種が植栽として植えられているスポットがあり、ここにルリマダラや他のマダラチョウ類が混飛しておりました。ホリシャルリマダラ(Euploea tulliolus koxinga)♀の飛翔シーンです。
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D7K-34(トリミング)、ISO=500、F4-1/2000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時13分

 少し後ピンですけど、前翅後縁がフラットである♀の特徴が良く出ているのでアップしておきます。逆に♂の特徴が出た飛翔画像撮影には失敗。この後、坂道をゆっくりと登り、2日目に訪れた蝶相豊富なスポットに足を運びました。遠くに白っぽいアゲハが吸水に来ております。慌てて接近して撮影したのがこの画像。
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D7K-34(トリミング)、ISO=400、F4.5-1/1250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時47分

 台湾遠征で初めて出会ったミカドアゲハ(Graphium doson postianus)でした。それにしてもボロ個体です。カメラマンに己の身を晒すのが恥ずかしかったのか?直ぐに飛び去っていきました。このポイントはセンダングサの群落なのですけど、例によって陽射しが無く、蝶影は乏しくガッカリです。唯一橙色のセセリが登場。タケアカセセリ(Telicota ohara formosana)の♂でした。ここではストロボ無・有の比較画像を示しましょう。
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D7K-34、ISO=400、F9-1/400、-0.7EV、下段画像のみ外部ストロボ、撮影時刻:9時05分

 下段の矢印で示した細い銀色線(翅脈で分断されている)が♂性標で、ストロボを照射することで明確に表現できることが分かります(画像クリックで拡大してご覧ください)。恐らく性標部の鱗粉は特殊な配列になっていてストロボ照射光に関して相対反射率が他の鱗粉よりは高いのでしょうね。台湾に棲むTelicota属♂3種(ohara, bambusae, colon)の同定はこの性標部分によるのが一番確実ですので、開翅個体をストロボ使用で撮れば、性標の特徴を把握し易いと思います。因みに3種の中ではoharaの性標巾が一番細いとされています。そのタケアカセセリの閉翅も撮りました。
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D90-85VR、ISO=400、F10-1/400、-0.7EV、撮影時刻:9時08分

 センダングサには全く蝶が飛んでこないと諦めていたら、1頭の大型シジミが飛来。ヒイロシジミ(Deudorix epijarbas menesilcles)の♀でした。
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D90-85VR、ISO=400、F10-1/400、-0.7EV、撮影時刻:9時09分

 しかし、これ、とんでもない汚損個体。尾状突起の欠損は言うに及ばず、なんと触覚まで双方共に途中から折れております。それでも今回台湾遠征で出会った唯一の本種♀ですので、記念に撮影したのでした。
<次回に続く>
by fanseab | 2012-11-12 22:07 | | Comments(4)
Commented by OTTO at 2012-11-13 19:33 x
ホリシャルリマダラの幻光がはっきりと捉えられていますね。
私は、沢山いるルリマダラを追いかけながら、一度としてこんなに前翅が全面輝く様子を写すことは叶いませんでした。
さすが、素晴らしい腕前です。
わたしもこんな写真の撮影ができるように腕を磨いていきたいと思います。

知本の保護区にはわたしも行きました。
キシタアゲハのレリーフなどには気がつきませんでしたが、広い区域なので、わたしが歩いたのはまったく別の方角だったのかも・・・・・汗;
Commented by fanseab at 2012-11-13 21:53 x
OTTOさん、ルリマダラの幻光を飛翔で撮ろうとすると、意外に翅裏ばかり撮れてしまうことに気が付きます。これはマダラチョウに限らず、飛翔中に閉翅状態で滑空する時間が長い蝶でしばしば経験します。たまたま開いた状態でも裏側から撮るはめになったり、幻光を捉えるのはやはり難しいのです。
知本遊楽區は仰る通り、広く、小生も限られた日数で全ての遊歩道を走破することは叶いませんでした。それにあそこは急傾斜の斜面で体力を使い果たしてしまうことが多いのも実情ですね。
Commented by dragonbutter at 2012-11-14 22:22
ホリシャルリマダラの紫は素敵ですね。
タケアカセセリの性標を拝見してアカセセリを思い出しました。
アカセセリオスの銀線が思うように撮れません。
羽化後すぐに剥がれてしまうからかと思っていましたが、今度出合ったら試しにストロボを使ってみようかな。
Commented by fanseab at 2012-11-15 22:32 x
dragonbutterさん、アカセセリの性標の件、試してみたことはありませんが、同じ効果が期待できるような気がします。
確かに剥離してその存在が目立たぬことがあるのかもしれません。やはり新鮮な個体で狙うべきなのでしょうね。
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