探蝶逍遥記

ヤクシマルリシジミの卵撮影(11月上旬)

 久しぶりにヤクルリ撮影のため、愛知まで遠征してきました。低気圧が東に去って風が穏やかになることを期待するも、この日は終日強風が吹き荒れておりました。期待した♀の産卵シーンは風の影響か母蝶が全く姿を見せずガッカリ(^^; 仕方なく、卵探索です。ここのホストは園芸用のバラ。蕾と新芽を探して合計3卵発見。最初は蕾に付いていた1卵の状況です。                                                                                       ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-85VR、ISO=400、F13-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時01分

 続いて若葉に付いていた1卵。
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D7K-85VR、ISO=400、F13-1/400、外部ストロボ、撮影時刻:10時58分

 蕾に付いていた1卵を拡大撮影いたしました。
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D7K-85VR-24R(トリミング+深度合成処理:上段3コマ、下段2コマ)、ISO=100、F29-1/320、-1.0EV、外部ストロボ+スレーブ1灯、撮影時刻:9時54分

 直径は0.83mm。ツバメシジミよりは一回り大きいです。注目すべきはその微構造。精孔より規則的に伸びる螺旋状網目が大変美しく、網目交点の突起は円柱状に伸びています。近縁のCelastrinaUdara属も微構造は類似しているようなので、別途、ルリやスギタニルリ、サツマあたりとも比較してみたいところです。卵画像だけでは寂しいので、6年前に大阪府南部で撮影したヤクルリ♀の産卵シーンをアップしておきましょう。
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D70(トリミング)、ISO=500、F11-1/640、-0.7EV、撮影年月日・時刻:2006年10月21日、11時08分

 この♀はヤマモモの新芽に産卵しており、手前の新芽に別の1卵が既に産み付けられているのがわかります。さて、この日の卵探索で惑わされる事態が起きました。バラの蕾に産み付けられていたこれがその原因。
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D7K-85VR(トリミング)、ISO=400、F13-1/400、外部ストロボ、撮影時刻:10時12分

 3卵産み付けられており、拡大するとこんな感じ。
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D7K-85VR-24R(トリミング+2コマ深度合成処理)、ISO=100、F29-1/320、-1.0EV、外部ストロボ+スレーブ1灯、撮影時刻:9時45分

 色も黄白色でシジミの卵とは似ても似つかない代物。恐らく鱗翅類に違いないと思い、帰宅してからの調査で、オオタバコガ(Helicoverpa armigera)の卵と判明。この蛾、タバコは言うに及ばず、ピーマン、ナス、トウガラシ等の野菜、更にはキク、バラ等の花卉園芸作物の大害虫として知られているようです。同じバラの蕾に産み付け、蕾に侵入して蕾を枯らしてしまう点ではヤクルリも同罪なんですが、ヤクルリにとっては、ホストを競う重要なライバルでもある訳です。おまけに産んでいた数は半端ではなく、これではヤクルリに勝ち目はないと思いました。因みに近くにウバメガシの生垣もあったので、ヤクルリ産卵の可能性を想定して新芽をチェックしましたが、こちらからは卵を発見できませんでした。

 なお、当日、現地では「蝶・旅の友」の22wn3288さんと暫し楽しい会話をさせて頂きました。この場を借りて御礼申し上げます。
by fanseab | 2012-11-06 22:14 | | Comments(10)
Commented by OTTO at 2012-11-07 07:32 x
この蝶は、東北のものにとっては残念なことに縁が薄いですが、栽培種のバラにつくんですね。野生種だけでないところが、なかなか逞しいですね。図鑑を見てみたら、なんと沢山の科にまたがった多くの植物を食べているようで、たまげました。もしかして・・ヒメシジミ以上かも。笑
でも、通常はバラの蕾が圧倒的に多いとされてるみたいですね。
にしても、卵美しいです。突起が円柱状になっているというのも驚きですが、さすが図鑑にはそこまで詳しくは書いてなかったですね。fanseabさんの超精細画像だからこそ分かる美しさです。
Commented by 22wn3288 at 2012-11-07 08:49 x
先日は遠くから来て頂いたのにヤクシマルリが出て来ず残念でした。
卵を教えて頂き始めて観察出来ました。
拡大撮影の写真 素晴らしいですね。こんなに複雑な形をしているのだと不思議な感じがしました。
サツマシジミを始めいろいろ教えて頂きあつくお礼申しあげます。
お話し出来て楽しかったです。
Commented by yoda-1 at 2012-11-07 18:55
おお、ブルー種の卵は、どれも似通っていてもレース刺繍のように繊細な美しさに溢れていますね。
一見タテハチョウの卵かと思う卵も、蛾の仲間もそれぞれ個性豊かで、調べても名称の出てこないことも増えてくるのでしょうか。
Commented by himeoo27 at 2012-11-07 21:12
ヤクシマルリシジミの卵を楽しく拝見しました。
それにしても上から3コマ目の画像素晴らしいの1ことです。
Commented by fanseab at 2012-11-07 21:54 x
OTTOさん、確かにヤクルリは現状東限は静岡県で、東北へ出現する時は地球温暖化がとんでもないことになっている時分でしょうか?
仰る通り、本種はサツマ同様、雑食性でして、逞しさがあると思います。卵の外壁突起は種類により細かくみると微妙に構造が異なっていて、撮影していて楽しい処でもあります。
Commented by fanseab at 2012-11-07 21:56 x
22wn3288さん、先日はお世話になりました。
母蝶出現の件、天候には勝てませんね。翌日の方が安定して
いたかもしれません。拡大撮影は苦労も多いですが、将に
宝探しで、図鑑やネットにも掲載されていない種類を撮影する際はドキドキ感を味わえるのです。
Commented by fanseab at 2012-11-07 22:00 x
yoda-1さん、ご指摘の通り、レース刺繍模様は似通っていても、種類毎に特徴があります。X10倍ルーペあたりではなかなか区別がつきません。ゼフのFavoniusも種類毎に微妙な差があるようですが、ブルー系はもう少し変異の巾が大きいので、撮影していても楽しさが違います。何より真冬に撮影しない分だけ、身軽に撮影できますね。蛾の卵はネット上で検索にひっかからないものが多いと思います。たまたま農業害虫の「主役」格の蛾だったので、情報量が多くて助かりました。
Commented by fanseab at 2012-11-07 22:02 x
himeooさん、遠くに遠征して卵が発見できない場合はガッカリしますが、見つければ御の字で、微構造を堪能することができます。
撮影時や撮影後の合成処理に手間暇がかかって大変ですけど、綺麗な絵が切り撮れた後は爽快感があります。
Commented by naoggio at 2012-11-09 14:20 x
いやいや、これはきれいな卵ですね。
ルリシジミ系がこれほど凝ったデザインの卵を産むなんて全く知りませんでした。
fanseabさん自身、これはさぞ興奮された事でしょう。
私はとてもここまで蝶撮影を追求できそうにありませんが、そのうち少しは真似事をしてみたいと思うようになりました。
Commented by fanseab at 2012-11-09 22:42 x
naoggioさん、色々なデザインを楽しむのが、卵撮影の醍醐味
ですね。本種の卵は外壁から中央部にかけて構造が無駄なく
シームレスに変化していく機能美を感じます。
家具のデザインとかに応用が利くのではないでしょうか?
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