探蝶逍遥記

サトキマダラヒカゲの飼育記録:その1

 9月中旬頃、サトキマの産卵行動の観察をしておりました。この際、合計9卵塊、110卵を確認したのですが、殆どは途中で食害等に遭ったためか、行方不明になり、野外での継続観察を諦めました。恐らくこんなことになるだろうと予測し、識別コードNo.8の卵塊から孵化した初齢幼虫を5頭採幼し、プラケース内で飼育をすることにしました。サトキマの飼育はかれこれ20年ほど前に一度トライしたことがあり、来シーズン予定しているヤマキマ飼育を前提に比較対象としてサトキマ飼育に再トライしたのでした。現在も飼育進行中ですので、今回は卵~3齢までの途中経過をまとめてみました。

 最初は卵。これは9/17に産卵直後に撮影したもの。再掲載画像です。                                   ++画像はクリックで拡大されます++
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D7K-85VR(トリミング)、ISO=500、F13-1/125、-0.7EV、外部ストロボ+スレーブ1灯、撮影月日・時刻:9月17日、16時48分

 次に初齢幼虫です。孵化した日時は把握しておりませんが、他の孵化事例から9/23頃と推定されます。観察・撮影した時点では5個体となっていて3頭が行方不明状態でした。
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GXR@5.1mm、ISO=320、F6.5-1/10、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影月日:9月26日

 ご覧の通り、葉裏に群集状態です。体長は約7mm。初齢はメダケの先端から葉の中脈も含めて食い切る特徴があり、体も頭部も透明感があります。9/28に2齢になりました(産卵後11日目)。
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D7K-1855改@19mm(トリミング)、ISO=100、F22-1/400、-1.0EV、外部ストロボ、撮影月日:9月30日(産卵後13日目)

 まだ群集状態です。体長は7.6~8.3mm。頭部は不透明な褐色に変化し、胴体は緑色を帯びた褐色に、尾部にはヒカゲチョウ類の幼虫らしく1対の突起が出てきました。群集状態の個体を真正面から眺めた画像です。
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D7K-1855改@55mm(トリミング)、ISO=100、F29-1/250、-1.0EV、外部ストロボ、撮影月日:9月30日(産卵後13日目)

 よく言われているように、愛嬌がある顔つきで、S社のキャラクター、「●ティちゃん」を連想させます。頭部の突起は本当に猫の耳のように見えますね! 10月2日(産卵後15日目)に眠に入り、翌10月3日(産卵後16日目)に3齢になりました。
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D7K-85VR(トリミング)、ISO=100、F14-1/160、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:10月5日(産卵後18日目)

 体長は13mmほど。体色は緑色が消え、暗褐色を呈し、背面に斜交する黒線が明確になります。この背面パターンは特徴があり、昔飼育した個体の風貌を思い出したのでした。この幼虫画像の左側に食痕が見えています。中脈も含めて全て食い切る初齢と似たような食痕ですが、2齢後半から3齢の初期では中脈を残す食痕が普通です。
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D7K-85VR、ISO=100、F13-1/160、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:10月5日(産卵後18日目)

 ご覧のようにメダケの葉は乾燥して黄ばんでおりますが、サトキマ幼虫はこんな葉でも結構執着して食ってくれます。次から次へと新葉を供給しないと幼虫が食いつかない神経質な種もおりますが、サトキマはノンビリムードで飼育できて大変楽ですね。最後に頭部全面を初齢から3齢まで比較しておきましょう。なお、各齢の拡大倍率は一定ではありません。念のため。
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<撮影月日>初齢:9月26日(別の卵塊は孵化した個体:産卵後9日目と推定)、2齢:9月30日(産卵後13日目)、3齢:10月5日(産卵後18日目)

 初齢の画像はやっつけ仕事で撮ったため、酷い手振れ画像でご容赦下さい。来シーズンにでも撮り直す予定。それはともかく初齢では頭部突起がないこと、齢を重ねるに連れ、体毛の相対的な長さが縮小していくことが理解できます。先に例示した「●ティちゃん」に一番そっくりなのは、鬚の長さを考慮してやはり2齢でしょうか? 3齢になると、「額」の部分に黒い色素の沈着が出てきます。4齢以降は続報で報告いたしましょう。     <次回へ続く>
by fanseab | 2012-10-21 22:24 | | Comments(10)
Commented by naoggio at 2012-10-22 13:36 x
本当に可愛らしい幼虫ですね。
・ティーちゃんより可愛いと思います。
サトキ好感度大幅にアップです。ありがとうございました。
Commented by yoda-1 at 2012-10-22 19:17
これまた集団で飼育するのもありという感じで、楽しいですね。
Hello! K*tty の著作権(意匠権)は、この幼虫で存在しないことが立証されたようなものです(笑)
その辺の笹であれば、なんでも食べてくれるのでしょうか?
Commented by otto-N at 2012-10-22 20:56 x
4兄弟、思わずカワイイと言ってしまい、口元が緩みました。蝶ブログで初めてです。
Commented by Sippo5655 at 2012-10-22 21:45
なんて可愛いの~~
ほんとだ、そっくりといえばそっくりですね!
私、第一印象はクマさんでした(*^-^*)
やはり、自然の下で生き延びる確率って
本当に低いのですね。
飼育、がんばってくださいね!!
ん~、この子 私も撮ってみたい(≧∇≦)
Commented by OTTO at 2012-10-22 22:16 x
中脈をこだわらず食べちゃうのが初令で、中令では葉脈を残して食べるというのが意外でした。
幼虫が令を重ねるほど、顎の力も強くなって、若令では噛み切れなかった葉脈もばりばり喰っちゃう、っていう妙な先入観がありました。笑
どんな普通種でも丁寧に付き合っていくと、それぞれに興味深くも面白いことがでてくるものだなぁとまた教えていただきました。
Commented by fanseab at 2012-10-23 22:30 x
naoggioさん、サトキマ好感度アップに寄与できて、彼らも
喜んでいることでしょう。タテハの幼虫、特にヒカゲ・ジャノメ類は
愛嬌があるキャラが多いと思います。なかなか探索が大変です
けどね。
Commented by fanseab at 2012-10-23 22:32 x
yoda-1さん、群集で暮らす幼虫は発見すれば一網打尽で採取可能なのが有難いです。従って、食害のリスクも高いのも頷けます。
ササ類はかなり広範囲に食うことが知られています。ただ、採幼
した時のホストで飼うのが一番リスクが少ないと思います。
Commented by fanseab at 2012-10-23 22:34 x
otto-Nさん、コメント有難うございます。
本当に愛くるしい顔をしていると思います。こうやって仲間と並んで
小首を傾げた状態の個体もいたりするとなおさらですね!
Commented by fanseab at 2012-10-23 22:37 x
Sippo5655さん、ジャノメ類幼虫独特の顔つきが楽しめました
でしょうか?クマさん、そう色あいが茶色なので、そのようにも
見えるかも。自然下では結構生存率が低いですけど、飼育は
それほど難しい種類ではありません。たぶん、無事蛹まで行く
と思っています。続編をご期待下さい。
Commented by fanseab at 2012-10-23 22:40 x
OTTOさん、初齢が中脈も含めて食えるのは理由があって、
葉の先端だからです。葉の先端部は中脈の固い芯が殆ど
ありませんよね。初齢も葉の先端部を集団で食い切った後は
接触部位を変えて葉の端の柔らかい部分から食べていきます
から、令を重ねるにつれて、顎の力・・・・の考え方は正しいのだと
思います。
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