探蝶逍遥記

ツバメシジミの産卵など(10月中旬)

 このところ、身近で観察できる蝶の産卵行動撮影に注力しております。今回はヤマトやベニと並んで普通種の代表格、ツバメシジミです。多摩川の河原にも至る所に飛んでおりますが、さて、ホストになっているマメ科植物はなんだろうか? 先ずは♂の探♀飛翔の場所を探ってみました。河原に生えているマメ科としては、シロツメクサ、メドハギ、セイヨウウマゴヤシなど、結構バリエーションがあります。今回観察したポイントではどうやらマルバヤハズソウだろうと判断しました。その群落の上を飛ぶツバメシジミの♂です。                                                                               ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D90-20(ノートリ)、ISO=200、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時22分

 結構な飛翔速度で追跡するのも結構骨が折れます。そのうち、♀を見つけると求愛行動に移りますが、例によって、♀は交尾拒否行動を示し、♂の追跡を振り切るパターンになります。
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D90-20(トリミング)、ISO=200、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時36分

 このペア(下が♂)の場合は、かれこれ2分近くもつれあっておりましたが、最後どうなったかまでは確認しておりません。一方、交尾が成立するのはあっという間ですね。♂が腹部をねじ曲げた交尾の瞬間を捉えることができました。
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D7K-85VR(トリミング)、ISO=400、F9-1/2500、-0.7EV、撮影時刻:12時51分

 1時間後、食草のマルバヤハズソウの上で静止するペアの姿です。
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D7K-85VR、ISO=200、F9-1/800、-0.7EV、撮影時刻:13時51分

 右側が♀ですが、結構スレ品で処女?とは思えません。ツバメは複数回交尾するんでしょうか? ♀の産卵行動はヒメシジミ族に共通するパターンだと思います。地表近くの食草の間を緩やかに飛びながら、好みの産卵ポイントを探索していきます。
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D90-20(トリミング)、ISO=200、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時22分
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D90-20(トリミング)、ISO=200、F13-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時40分

 人間の目から見ると、マルバヤハズソウの群落は地面を這うように生えている所謂シバ型草原ですが、彼女から見ると、マルバヤハズソウのジャングルの中を飛び回っている感覚なのでしょう。好みの株に着地すると、翅をスリスリさせながら、腹部を曲げ産卵に移ります。
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D7K-85VR、ISO=400、F10-1/320、-0.7EV、撮影時刻:14時02分
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D7K-85VR(トリミング)、ISO=400、F10-1/1600、-1.0EV、撮影時刻:14時47分
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D7K-85VR、ISO=400、F10-1/320、-0.7EV、撮影時刻:14時52分

 1枚目は狙って撮った訳ではありませんが、ブルー縁毛幻光も写りました。3枚の画像からお分かりのように、産卵ポイントは日光が直射する場所ではなく、半日陰のような株に産んでいきます。また、マルバヤハズソウの葉は傘を窄めたように茎に向かって傾斜しているので、♀は腹端を葉の基部側に相当無理して押し付けるような態勢を取ります。バランスが上手く取れずに、産卵の瞬間に翅の向きをくるっと回転させることも多く、撮影者泣かせの相手です。まぁ、ミヤコグサに産卵するシルビア♀でも同じ経験がありますが、葉被りも含めて本種産卵シーン撮影は意外と苦労させられました。

 例によって、卵の拡大像も撮りました。ただ屋外では葉の付根部分を上手く撮影できないので、自宅に持ち帰って室内で撮影。
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D7K-85VR-24R(トリミング+2コマ深度合成処理)、ISO=100、F29-1/320、-1.0EV、外部ストロボ+スレーブ1灯、撮影時刻:11時03分
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D7K-85VR-24R(トリミング+2コマ深度合成処理)、ISO=100、F29-1/320、-1.0EV、外部ストロボ+スレーブ1灯、撮影時刻:11時31分

 直径は0.56mm。全体の雰囲気は以前ご紹介したウラナミシジミの微構造にそっくりで、レース細工を思わせます。ただウラナミと比較すると、外壁の網目構造に微妙な差があって、ウラナミはほぼ正確な3回対称性(120度回転させると元図形にピッタリ合致する対称性)を示すのに対して、ツバメは対称性が曖昧な部分が多く、かつ網目のピッチがウラナミよりも細かな印象を受けます。今後、機会があればクロツバメシジミの卵も撮影し、比較できればと思っております。
by fanseab | 2012-10-18 21:09 | | Comments(8)
Commented by Sippo5655 at 2012-10-18 21:41
ヤハズソウ・・・
河原で見た覚えがあります。
生息する場所によって、産卵する草も変わってくるのですね。
私はもっぱら萩が多いかなあ。
シジミチョウって蝶の中では行動範囲が狭い方なのでしょうか・・・?
卵本当に美しいですね!
淡いグリーンの、ダリアみたい。。。
Commented by banyan10 at 2012-10-18 22:08
シロツメクサ、メドハギでの産卵は何度か観察していますが、ヤハズソウがあるとそちらを好むのでしょうか。
卵はいつもながら見事ですね。
よろしければ下記のセセリ幼虫見ていただけないでしょうか。
http://blogs.yahoo.co.jp/turdus_celaenops/37124158.html
Commented by OTTO at 2012-10-19 08:57 x
相変わらずのお見事な画像。
♂と♀の同時飛翔がピタリと焦点をあてて捉えられているのにもオドロキです。
ストロボを使用しておられるようですが、いったいどうやって撮影されているんでしょうか。
これほどまででなくてもいいから、もう少しいい写真が撮れるようになりたいです。いつか機会があれば、実地にご指導を仰がせていただきたいものです。汗;;
Commented by fanseab at 2012-10-19 20:41 x
Sippo5655さん、ヤハズソウは葉の先端を手でちぎると、本当に「矢筈」の形に切れるんですよ!逆に他のマメ科で類似した葉はこのように切れません。ツバメシジミの食草は場所により季節により色々と変えていると思います。だからこそ、どこにでも棲んでいられるのでしょう。
卵はダリアですか?なるほど確かにダリヤにも見えますね。
Commented by fanseab at 2012-10-19 20:45 x
BANYANさん、ヤハズソウ以外にも食っている可能性はあります。ただ秋口だとツロツメクサの花穂も立っていないし、最終化品がヤハズソウを好んで食べている可能性が高いと思います。
ご案内頂いた幼虫はミヤマチャバネで間違いないと思いますが、終齢ではなく、中齢~亜終齢ではないでしょうか?この段階での顔を精査したことはありませんけど、終齢とは異なり、M字模様、逆V字模様共に明確には出ないと思います。
Commented by fanseab at 2012-10-19 20:49 x
OTTOさん、いつもコメント有難うございます。
外部ストロボを併用した広角レンズによる飛翔撮影法は色々なやり方がありますが、現在はプロ昆虫写真家・海野和男氏が紹介している技法を流用しております。下記参考書をご覧ください。
誠文堂新光社刊、「海野和男の昆虫撮影テクニック」,p.140-141
Commented by himeoo27 at 2012-10-20 22:31
「トリミング+2コマ深度合成処理」のツバメシジミの
卵の画像流石ですね!
コンデジ接写の限界をまたまた感じました。
Commented by fanseab at 2012-10-21 22:36 x
コンデジでもレンズ系を上手く組み合わせれば好結果が出ることが予想されます。一方、Stacked Lens法は利便性から言うとコンデジと真逆の世界で、フィールドで機動的に撮影できるシステムではありません。ただ合成が上手く行った時に得られる画像の質はやはり魅力的なのですよ。
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