探蝶逍遥記

台湾遠征記(23)11月23日午前その4

 センダングサのお花畑では当然、黒系アゲハの飛来も期待しましたが、曇り日のせいで、期待外れ。飛んできたのはボロのクロアゲハ♂のみでした。                                                                                                                                             ++横位置画像はクリックで拡大されます++
f0090680_21314496.jpg
D7K-34、ISO=500、F4-1/1600、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時50分

 台湾産は無尾タイプですが、後翅がこれだけ汚損していると、尾が切れたのか、そうでないかも判定できませんね。樹液をチェックしていくと、ヒョウマダラの♀もおりました。
f0090680_2132162.jpg
D7K-34(トリミング)、ISO=400、F11-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時17分

 ♂♀判定が難しい部類のタテハです。ただ前翅外縁の形状がやや丸みを帯びるのと、橙色の地色が淡くなる点で♀と判定できます。以前も述べたように、このタテハはコムラサキ亜科の中では例外的に翅の厚みが薄いように思います。それ故、鮮度の割に翅の欠けが目立つ個体が多いような気がします。東南アジアの代表的なタテハ、トラフタテハ(Parthenos sylvia)同様、完品撮影が難しい対象のようです。

 更に樹液をチェックしていくと、暗がりからフラフラっと褐色の蝶が飛び出しました。どうやらNeopeの雰囲気。樹幹に止まったのを確認すると、台湾遠征で狙っていた目的種の一つ、ウラキマダラヒカゲ(Neope muirheadi nagasawae)♂でした。
f0090680_21325781.jpg
D7K-34、ISO=200、F11-1/100、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時34分

 樹幹に頭を上にして静止する有様は国内のサトキマとそっくりです。和名に「裏」がついております。これは表翅がヒカゲチョウのように全く無紋でNeope属の特徴である目玉模様も無く、裏面のみキマダラヒカゲの風貌を現すことによります。後翅基部を見てみると、ちゃんと、「くの字」型の3小点がありますね。更に本種斑紋の最大の特徴は裏面前後翅を貫く灰白色の細帯です。台湾には本種含め4種のNeopeを産しますが、この特徴で他種とはすぐに見分けがつきます。因みに4種の中で本種のみ平地にも住んでおりまして、他種はより高標高地に生息しております。人の気配に敏感で、ちょっと飛んではまた茂みや樹に止まる性質はキマダラヒカゲ全般の特徴なのでしょう。ここでは味気ないことに、塩ビ製の排水パイプに止まってしまいました(^^;
f0090680_21334364.jpg
D7K-34(トリミング)、ISO=200、F11-1/100、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時54分

 樹液に黒っぽいタテハがやってきました。どんな珍品かなと思ってチェックするとルリタテハ(Kaniska canece drilon)♂でした。
f0090680_21341482.jpg

D7K-34(トリミング)、ISO=400、F11-1/80、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時57分

 ルリタテハの直ぐ上でタイワンコムラサキ♂が一緒に樹液を吸っております。ルリタテハ台湾産亜種は前翅中室外側の白班がブルーになることですが、残念ながら開翅の瞬間を捉えることができず、この絵だけからは国内産(例えばssp.nojaponicum)と何ら変わりないように見えてしまいます。前日、吸水にやってきたヒメフタオはこの日は現れず、バナナトラップには唯一クロコノマチョウがやって来ただけでした。
f0090680_21343942.jpg

GXR@5.1mm、ISO=100、F5.7-1/60、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:12時01分

 それにしても地面に止まっても、目立たない蝶ですね。昼頃はヒンヤリとした風も出てきて蝶の動きもパタッと止まりましたので、仕方なくランチにしました。
f0090680_2134511.jpg
GXR@5.1mm、ISO=100、F9.1-1/50、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:12時04分

 手に持っているのは管理人お手製のサンドイッチ。宿泊しているホテルの朝食バイキングで出される中華風饅頭(具の入っていない所謂、マントウ)に蒲鉾の煮つけやハムを入れ、サラダ用のレタスも添えて挟んでおります。これに同じくバイキングメニューのバナナを持参すると、安上がりでカロリーの高いランチの出来上がり。手前味噌ですが、お手製のサンドイッチは結構旨かったのですよ。         <次回に続く>
by fanseab | 2012-09-27 21:39 | | Comments(12)
Commented by OTTO at 2012-09-27 22:00 x
この台湾の蝶の撮影はどのあたりですか?
私は台北市の郊外の山でもこれらの低地山性の蝶と出会いました。ルリタテハなどは結構数も多いのですが、日本で見慣れてはいても、現れると美しいのでついカメラを向けてしまったものでした。
Commented by ごま at 2012-09-27 23:19 x
楽しそうですね。
台湾は子供のころの憧れでした。
見慣れない蝶に囲まれているとは、何と贅沢なことでしょう。
行ってみたいです。
Commented by kenken at 2012-09-28 00:00 x
こいつ、ウラキマダラヒカゲというんですかっ!
眼状紋の多さに思わずコメントしました。大きさはキマダラヒカゲくらいあるのかな?
そういえば、以前、クロヒカゲモドキご一緒したときも、塩ビ製のパイプにとまったような記憶が・・・
Commented at 2012-09-28 13:24 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by fanseab at 2012-09-28 22:39 x
OTTOさん、撮影地はこの遠征記のプロローグ:
http://fanseab.exblog.jp/16896487/
に記載してある通り、台東・知本温泉近傍です。
一部の蝶(クモガタシロチョウ等)を除き、台北郊外に棲む蝶相とほぼ一致しております。ルリタテハなどの普通種でも亜種が異なり、微妙に斑紋が違うので撮影しておくと後からの楽しみが増えると思います。
Commented by fanseab at 2012-09-28 22:42 x
ごまさん、図鑑でしか見ていない蝶が実際にどのように舞うのか?これを実感するのが海外遠征での楽しみの一つであります。
図鑑上では見慣れていても、実際の飛び方が予想と全くかけ離れていることが多くて驚かされます。
台北に2泊位するフリーのツアー旅行で郊外の山に行かれるのが良いかと思います。
Commented by fanseab at 2012-09-28 22:45 x
kenkenさん、和名の由来が実物を見て初めて理解できることもありますね。写真だけだと、何だかMycalesisみたいですけど、大きさはサトキマと全く同じくらいのサイズです。そうそう、小屋内のモドキ撮影風景を、貴殿に激写?されたことを思い出しました。
Commented by fanseab at 2012-09-28 22:50
鍵コメさん、こんばんは。
ブログはマイペースでやることが大事ですね。撮りっぱなしでは、どうしても撮影時の記憶も薄れていくし、目標も散漫になるような気がします。小生もホームページは写真アルバム、ブログは撮影日記の位置づけで、単に写真の羅列では忘れがちな撮影時の印象をなるだけ文章で綴って、思い出が残る工夫をしております。
今後ともよろしく。
Commented at 2012-09-29 08:52 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by fanseab at 2012-09-29 22:38 x
鍵コメさん、ご丁寧なコメント、有難うございました。
Commented by himeoo27 at 2012-09-30 09:07
ルリタテハ台湾亜種とタイワンコムラサキのセットの吸汁
面白いですね!
八重山諸島から直ぐなのに、日本とは違う蝶相を毎回
楽しんでいます。
Commented by fanseab at 2012-09-30 22:34 x
himeooさん、仰る通り、直線距離だと八重山群島からさほど離れていないのに拘らず、生物相が大きく異なるのは面白いです。中国本土に当たり前に分布しているけど日本には産しない蝶も多く、該当種が台湾に分布の東端として生息していることが多いのです。
名前
URL
画像認証
削除用パスワード