探蝶逍遥記

台湾遠征記(21)11月23日午前その2

 バナナトラップにはコジャノメだけでなく、他のMycalesisもやってきました。少し同定に自信ありませんが、恐らくキレバヒトツメジャノメ(M.zonata)の低温期型。                                                  ++横位置画像はクリックで拡大されます++
f0090680_21523645.jpg
D7K-34、ISO=200、F9-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時55分

 キレバに酷似したマルバヒトツメジャノメ(M.mineus)との識別点は通常前翅端の切欠き形状が尖る(→キレバ)、もしくは滑らか(→マルバ)かです。しかし、鋭角的か否かはかなり微妙でして、迷うことが多いのです。管理人は後翅外縁形状にも着目しておりまして、どうもマルバはここが全般に滑らか、キレバは後翅第5脈付近で尖る傾向にあると思います。でもって、この個体はキレバと同定いたしました。詳しい方、間違っていればご指摘願います。なお、キレバの低温期型にはかなり個体変異があって、ここで図示したように前後翅を貫く帯条紋が完全に欠落したタイプと、くっきり発現するタイプ(前回記事参照:樹液で吸汁する個体)があるようです。

 別の樹液にいたクロコノマは前翅の尖りが少なく、どうやら高温期型の♂のようです。
f0090680_21525181.jpg
D7K-34、ISO=200、F9-1/60、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時56分

 陽射しが乏しい中、時々差し込む陽だまりにはこの日もマダラチョウが舞ってくれました。最初はウスコモンマダラの♀。
f0090680_21531386.jpg
D7K-34(トリミング)、ISO=400、F9-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時14分

 そして、ヒメアサギマダラの♂。
f0090680_21532285.jpg
D7K-34、ISO=400、F8-1/80、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時15分

 お次はリュウキュウアサギマダラの♀。
f0090680_21533265.jpg
D7K-34、ISO=400、F6.3-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時15分

 いずれも陽射しが弱く前日より遥かに個体数が少なくて苦労しました。遠くを眺めているとなにやらドデカイ野鳥の姿が。300mmでも豆粒にしか写りません。モニターを拡大してみると前日にも出会ったカンムリオオタカでした。やはり猛禽類の眼光は鋭いですね。
f0090680_21534655.jpg
D7K-34(トリミング)、ISO=640、F5.6-1/640、-0.7EV、撮影時刻:9時20分

 10時前になって少し陽射しが回復。開けた草地に周回飛行するセセリが登場。久しぶりに出会う、コウトウシロシタセセリ(Tagiades trebellius martinus)でした。
f0090680_21535989.jpg
D7K-34、ISO=200、F11-1/250、-0.7EV、撮影時刻:9時51分

 このセセリの活動はもう少し早い時間帯のはずですが、気温が低めだったので、多少後ずれしたようです。昔、スラウェシで撮影した名義タイプ亜種の画像はこちら
 このセセリが登場した草地で休憩がてら下草を眺めていると、どうも怪しい食痕が残る草本を発見。
f0090680_21541237.jpg
GXR@5.1mm、ISO=100、F5.1-1/60、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:9時51分

 帰国してからの調査でイネ科のSetaria palmifolia(台湾名:棕葉狗尾草、英名:Malyasian Palm Grass)と判明。インド原産で観葉植物としても使用されているようです。とにかくイネ科の葉とは思えないデカい葉で、葉の先端を閉じた、明らかにセセリの巣と思しき構造物がありました。
f0090680_21542659.jpg
GXR@5.1mm、ISO=100、F9.1-1/30、-0.7EV、撮影時刻:9時54分

 開けてみると、ビンゴ!でした。異なる葉から見出した2頭をまとめて図示します。
f0090680_21543835.jpg
GXR@5.1mm(トリミング+画像合成)、ISO=100、F9.1-1/30~1/60、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:9時54分&56分

 帰国してからの調査で、タケアカセセリ(Telicota ohara formosana)の終齢幼虫と同定しました。本種幼虫の頭部にはかなり色彩の変異があるようで、個体(B)には微かに褐色の紋がありますが、個体(A)は黒一色ですね。ついでに食痕も図示しておきます。
f0090680_21544915.jpg
GXR@5.1mm、ISO=100、F9.1-1/50、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:9時55分

 この葉には別の鱗翅類の幼虫巣もありました。まぁ、葉の面積もデカいので、多くの鱗翅類が利用するのでしょうね。<次回に続く>
by fanseab | 2012-09-06 21:57 | | Comments(12)
Commented by Sippo5655 at 2012-09-06 22:27
マダラチョウが、普通に飛んでいるんですね・・・
なんか、不思議な光景です。
私が出歩く範囲ではアサギマダラにしか会えないから
出会っただけでも心臓が、、><
この、下が白いセセリ 本当に美しいですね。
今季、ダイミョウセセリほとんど出会えてません・・
イネ科の草に、セセリが、こんな風になってるんですね!
黒目が、、でかっ(≧∇≦)
Commented by ごま at 2012-09-06 23:45 x
ウスコモンマダラ、触手が動きます(^_^;)
台湾、惹かれますね。
Commented by naoggio at 2012-09-07 14:43 x
カンムリオオタカ、すごいなあ。
オオタカにかなり似てますね。
コウトウシロシタめちゃきれいです。
今まで後翅に気を取られて気がつかなかったのですが前翅もかなりきれいですね。
星の中に三日月が浮かんでいるみたいです。
タケアカセセリの幼虫撮影おめでとうございます。
海外遠征すると帰ってからも大変(楽しい大変かもしれませんが)ですね。
Commented by fanseab at 2012-09-07 21:18 x
Sippo5655さん、そうですね。昆虫園で飛んでいるマダラチョウは普通に飛んでいる世界です。もちろん、気温(陽射し)に物凄く敏感で曇ったりすると、全く姿を見せません。
シロシタセセリはダイミョウの親戚なので、飛び方はそっくりですよ。白い斑紋は飛んでいても良く目立ちます。
Commented by fanseab at 2012-09-07 21:20 x
ごまさん、ウスコモンは極普通に飛んでおります。ただTirumala属はお互いよく似ているのでかたっぱしから撮らないと、ウスコモンかどうかわからない悩みもあります。
台湾、一度は行かれるとよろしいと思います。台北の郊外で十分楽しむことができます。
Commented by fanseab at 2012-09-07 21:23 x
naoggioさん、カンムリオオタカは迫力あります。実は飛ぶ姿は確認しておりませんが、雄大なんでしょうね。
シロシタセセリはご指摘の前翅の星屑模様の数が同定の鍵だったりします。遠征から既に10ケ月以上経過しておりますが、写真整理は現在進行形で、確かに帰国後の対応は大変です。
Commented by 虫林 at 2012-09-07 21:55 x
地味な蝶たちをしっかりと撮影されていて、さらに幼虫まで撮影されているところがfanseabさんらしいですね。この時期だとジャノメやヒカゲの仲間は高温期と低温期の個体が混ざるのでしょうか。それともまだ全て高温期なのかな?
Commented by fanseab at 2012-09-08 22:12 x
虫林さん、この遠征では陽射しが弱く、アゲハ類やシジミ類の撮影がかなり制限されましたので、いきおいジャノメ類に重点を置いた撮影になりました。ご指摘の通り、この時期は高温型/低温型の移行期間でして、両者が混ざっております。もちろん標高によって、この移行期間は変化しますが、小生の訪問したポイントは低山地のため、11月がその移行期間だったと思われます。12月末になれば、完全に低温期型のみになるのでしょう。
Commented by OTTO at 2012-09-09 15:17 x
fanseabさん、こんにちわ。
台湾の蝶の画像、いいですねぇ。
私は台湾の蝶が好きで、毎年出かけます。
知本には去年行きましたが、あの森を懐かしく思い出しました。
私が行ったときには、キシタアゲハが沢山いて、たっぷりとビデオで動画を撮影しました。
fanseabさんが行かれた時期は、キシタの端境期だったんでしょうね。ちなみに、私が行った5月初旬は、コモンタイマイが全然いませんでした。その後、蘭ユー島でコモンタイマイを見かけましたが、あまりに素早くて、まったく撮影ができませんでしたが、fanseabさんは、さすがバッチリと撮影されておられますね。お見事です。
Commented by himeoo27 at 2012-09-09 21:14
台湾は八重山諸島より緯度が低く、標高差も大きいので
蝶種が豊富そうですね!一度出かけてみたいです。
Commented by fanseab at 2012-09-09 22:57 x
OTTOさん、拙ブログへようこそ!
毎年台湾ですか! いいですねぇ。そう、訪問時期が恐らく9月以前ならキシタに出会えるチャンスがあったかもしれません。多化性のアゲハ類は仰るように、上手く発生のピークに出会えないと悲惨な結果に終わります。もっとも今回は天候不順が最大の敵でしたが。。。。今後ともよろしくご教示下さい。
Commented by fanseab at 2012-09-09 23:01 x
himeooさん、そうなんです。標高差が大きいことで、中国本土との共通種も多く存在し、一度の訪問では把握しきれないほど、多くの蝶が棲んでおります。酒は旨いし、○○ちゃんも綺麗・・・(爆)。これは冗談ですが、料理も日本人の舌に合いますし、なにより漢字圏であることが便利ですよ。
名前
URL
画像認証
削除用パスワード