探蝶逍遥記

キリシマ♀の探索(8月26日)

 今シーズン、4回目のチャレンジでいつものアカガシ発生木へ。狙いは♀の産卵シーンの撮影。到着した朝一番はビーティングを実施せずに、ひたすら樹冠や林縁を観察しますがいません。仕方なく別のアカガシを求めて付近の林道をチェック。しかし、新規好ポイントは発見できません。11時頃、最初の場所に戻り、念のためビーティングをやると、驚いたことに前回飛び出したのとほぼ同じ場所から♀が飛び立ちました。一旦左手下方に落ちてきて、その後一定の高度(約2m)を保って右側に移動。低い枝先に止まってくれるかな?と淡い期待をしたものの、母蝶は急に左旋回し、再度直線的に左手に回り、その後谷側の林縁に沿って飛び、アカガシ林内に消えていきました。想像以上に俊敏でビックリされられました。「キリシマ♀の産卵は正午前後」との文献情報(※1)を頼りに暫く待機して♀の登場を待ちますが、全く動きがなく、午後1時に諦めて撤収しました。キリシマ♀は9月下旬頃まで生き残ることが知られており、管理人も過去に鈴鹿で発生末期の♀の観察をしたことがあります。一方、「9月下旬頃には♀卵巣内にはほとんど卵がない」との文献情報も(※2)ありますので、総合的に考えて産卵シーン撮影のタイムリミットは来月中旬頃でしょう。もう一回チャレンジすべきか迷うところではあります。因みにアカガシ休眠芽は大分成長してきた感じですが、未発達の枝も多く、撮影に好適な場所は限られるようです。                                                     ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-34、ISO=400、F6.3-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時59分

 念のため良さげな休眠芽を検したものの、卵は発見できず。さて、アカガシ林縁を見張っている最中、変な物体がアカガシの葉上に止まりました。何とウバタマムシ(Chalcophora japonica)。
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D7K-34、ISO=400、F9-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時05分

 この子は久しぶりに見た感じです。因みにウバタマムシのホストはアカガシではなく、マツ等の針葉樹。ポイントの周辺にはヒノキ等の植林された針葉樹が密集しているので、いて当然かもしれませんね。アカガシ探索で林道を歩いていると、キタキチョウの個体数が非常に増えていることに気が付きました。食草のメドハギと思しき近くに交尾ペア(上が♂)も止まっています。
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GXR@5.1mm、ISO=160、F6.5-1/60、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時26分

 実はこのペア、撮影直前にはメドハギに止まっておりました。
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GXR@5.1mm、ISO=160、F6.5-1/100、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時30分

 ペアを発見した時、左上の蛹殻に羽化した♀が止まり、これに♂がぶら下がる状態でした。更に横恋慕?した♂が絡んで賑やかな現場でありました。管理人がコンデジを接近させると驚いてペアが飛び立ち、↑のような交尾シーンになったのでした。蛹殻の右下には黄色く色づいた蛹もありまして、ここにも♂が時々止まりに来ておりました。ひょっとするとこの蛹も♀かもしれませんね。また帰りのPAで遅いランチを取った後、トイレに入ると巨大なヤママユ♀(Antheraea yamamai)がガラス壁にへばりついておりました。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F6.5-1/60、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:14時22分

 小用中の管理人のお隣には小学生らしき坊やも所用中でありまして、お隣のお父さんに向かって「お父さん、大きい蛾が止まってるよ~!」と大声で叫んでおりました。そう言えば、この日は夏休み最後の日曜日だったのですね。「トイレで出会ったヤママユ」、坊やの夏休みの思い出に残ってくれるといいのですが・・・。

<参考文献>
※1) 奥田道廣(2004)、鈴鹿山脈南部のキリシマミドリシジミ その驚くべき生態:
   p.15-19
※2)福田晴夫他共著(1984)、原色日本蝶類生態図鑑(Ⅲ):p.147
by fanseab | 2012-08-27 20:48 | | Comments(6)
Commented by banyan10 at 2012-08-27 22:02
キリシマの産卵は難しそうですが、挑戦する意欲が素晴らしいですね。
以前の記事も見直しましたが、やはり鈴鹿の方が撮影できる可能性高いのでしょうかね。
ゼフの産卵はミドリシジミだけなので、まずはもう少し確率の高い種を狙いたいです。
Commented by Sippo5655 at 2012-08-27 22:11
4回目のチャレンジ、
その執念に感服です。
暑い中、お疲れ様です!
データを研究することも、また大事なのですね・・・
時間は、限られてますものね。
ウバタマムシ、私も今季一度出会いました。
針葉樹、、納得
ごはん食べていたら、なんか上から降ってきて
私にぶつかって、ひっくり返ってしまったんですよ^^;
起こしてあげたけど、しばし気を失っていたような状態でした。
子供たちにとっては、夏休み最後の
ヤママユ、きっとその子の脳裡で永遠に輝くことでしょうね!
Commented by fanseab at 2012-08-28 21:34 x
BANYANさん、ご指摘の通りで、もう少し難易度の低いゼフ♀の産卵シーンからトライするのが王道だと思います。まぁ、キリシマについてはちょっとした思い入れがあるので、頑張っているのが実際の所です。
もちろん、個体数は鈴鹿の方が多い訳でして、同じ頑張るならあちらでの撮影の方がチャンスが多いと思います。この時期でしたらムモンアカの産卵シーンがゼフとしては一番確率が高そうですね。
Commented by fanseab at 2012-08-28 21:36 x
Sippo5655さん、この時期、本来なら信州の涼しい高原に籠って、タテハ撮影するのが楽なんですが、ちょっと暑い場所で頑張っています。
タマムシとか、あまり狙って写す機会が少ないのでここは慎重に撮影しました。ヤママユも盛夏のシンボルみたいな蛾ですが、とても大きくて思わずハッとさせられます。
Commented by 霧島緑 at 2012-08-29 23:10 x
姿は確認できても、撮影となると手こずるのがキリシマミドリですね。私も2年前に発生地に出向き、遥か頭上をものすごい速さで飛ぶ本種を見て、これは一筋縄にはいかないなと、しばらく諦めていました。
ただ、貴殿のような熱意がきっと幸運を呼ぶと思います。この記事に刺激され、来シーズンは再挑戦したいと思います。
Commented by fanseab at 2012-08-29 23:18 x
霧島緑さん、貴殿の場合は、ハンドルネームを冠されているので、本種に対する思い入れは相当なものがあると思います。鈴鹿でも個体数は多いですが、接近戦で撮影できるポイントは結構限られますね。まして関東ではもっと大変です。♂に比較して♀は時々低い枝に潜んでいたりするので、♂よりは近距離撮影のチャンスが多いかもしれません。いずれにせよ、来シーズンの吉報を期待いたします。
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