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探蝶逍遥記

台湾遠征記(17)11月22日午前中その7

 今回でようやく22日の午前中が終わります。実は遠征期間中、この日の午前中が一番陽差しも強く、蝶の活動が活発であり、撮影チャンスも最多となったためでもあります。
 木陰の林道にやってきたのはタイワンアサギマダラの♀。                                                               ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-34、ISO=200、F13-1/200、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻: 11時41分

 Parantica属は♀でも吸水に訪れます。国内でsita(アサギマダラ)の♀吸水シーンを以前撮影したこともあります。手前にある枯葉が邪魔ですが、これをどけたら飛び去られること必至で、じっと我慢で撮影しました。ストロボ照射で後翅裏面がフラットに描写され、性標のない♀の特徴を表現できたと思います。この撮影直後にはヤエヤマイチモンジ♀もやって来ました。
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D7K-34、ISO=200、F13-1/200、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻: 11時42分

 ちょっとアングルはイマイチですが、完品で何よりでした。更に林道を進み、少し視界が開けた場所で再度、タイワンコムラサキ♂のテリ張り場面に遭遇。
台湾遠征記(17)11月22日午前中その7_f0090680_23195797.jpg
D7K-34、ISO=200、F13-1/320、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻: 11時49分

 タイワンコムラサキのテリ張りは梢上ではなく、幹に下向きに止まって追撃態勢を取ることが多く、ここは敢えて逆光で狙ってみました。光の回り方も計算通りで、本種♂のシンプルな斑紋が上手く表現できて管理人お気に入りの絵になりました。お次は翅を水平に下した場面。
台湾遠征記(17)11月22日午前中その7_f0090680_23201097.jpg
D7K-34、ISO=200、F13-1/250、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻: 11時54分

 逆立った体毛が迫力を感じさせてくれますね。タイワンコムラサキ撮影の最中、見慣れた滑空パターンをするタテハが出現。是非とも見たかったアカボシゴマダラ台湾亜種(Hestina assimilis formosana)の♀でした。
台湾遠征記(17)11月22日午前中その7_f0090680_23202836.jpg
D7K-34、ISO=200、F13-1/320、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻: 11時52分

 タイワンコムラサキ♂と並んでの吸汁シーンです。神奈川周辺で観察される名義タイプ亜種(ssp.assimilis)、奄美大島産亜種(ssp.shirakii)ともまた異なる斑紋です。「赤星」内の黒班が発達して赤班は馬蹄形を呈し、赤班のすぐ外側の白班列も発達するため、後翅肛角部付近が何となく「賑やか」な印象ですね。お次は半開翅状態。
台湾遠征記(17)11月22日午前中その7_f0090680_23204250.jpg
D7K-34、ISO=200、F13-1/320、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻: 11時53分

 黄色いストローが印象的です。3枚目は接近戦で撮影した閉翅。
台湾遠征記(17)11月22日午前中その7_f0090680_23205389.jpg
D7K-34、ISO=200、F13-1/250、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻: 11時54分

 究極の人工物である塩ビパイプに止まったのにはガッカリでした(^^; でも仮に「フィールドガイド台湾のチョウ」なる書籍が刊行されるのであれば、♀閉翅用画像としてエントリーしたいと思います(笑)。

 さて、午前中、かなり目一杯撮影したので、正午に一休みしてランチタイム。ホテルの朝食バイキング皿から調達した手製サンドイッチをパクついて、午後に備えます。サンドイッチを食べながらフト林道上を眺めると、タイワンキチョウの集団吸水が目に留まりました。
台湾遠征記(17)11月22日午前中その7_f0090680_23212216.jpg
D7K-34、ISO=400、F9-1/2000、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻: 12時09分

 飛翔中の個体を含め画面中に18頭確認できます。今回の台湾遠征中に出会った吸水集団としては最大のものでした。接近戦でタイワンキチョウを撮ろうとしたら例によって、集団がバラけました。と、突然、大き目のシロチョウが1頭混じっていたらしく、目の前を滑空していきました。その斑紋を見て心臓パクパク状態に! この時期はもう無理だろうと思っていたヒメフタオチョウ(Polyura narcaea meghaduta)♂でした。
台湾遠征記(17)11月22日午前中その7_f0090680_23214341.jpg
D7K-34、ISO=400、F8-1/2000、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻: 12時10分

 北タイで初めてフタオ(P.eudamippus)に出会った時、「タテハのような飛び方をするウスキシロチョウがいる・・・」と思ったことを想起します。チビフタオP.athamus)も見慣れないとシロチョウと誤認するものですし、特に地色が白色~ベージュのフタオやヒメフタオは大型シロチョウと誤認しやすいものです。またこの裏面色調は砂礫交じりの林道上では絶妙な保護色として機能し、その存在に気付かないものでした。運よくこの個体は飛び去ることなく、管理人に接近してくれました。
台湾遠征記(17)11月22日午前中その7_f0090680_23215426.jpg
D7K-34、ISO=200、F11-1/800、-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻: 12時11分
台湾遠征記(17)11月22日午前中その7_f0090680_2322311.jpg
D7K-34、ISO=400、F8-1/1250、-1.0EV、撮影時刻: 12時12分

 視野からはみ出す位、カメラに接近してくれたのにはビックリ。カメラモニター上で仕留めたヒメフタオの姿を確認して本当に嬉しさがこみ上げてきました。<次回に続く>
by fanseab | 2012-07-08 23:25 | | Comments(6)
Commented by naoggio at 2012-07-09 15:56 x
タイワンコムラサキ、ナイスショットですね。
コムラサキらしい凛々しさが出ていて素晴らしいと思います。
アカボシはこの辺のとも奄美のとも違うんですね。
なんとなくこの辺にいついたタイプと似たのを想像していましたが、確かに後翅外縁が賑やかで面白いです。
ヒメフタオ、近接撮影おめでとうございます。しかもトラップもなく。
情熱が通じたのかもしれませんね。
Commented by fanseab at 2012-07-09 21:25 x
naoggioさん、この時の遠征ではタイワンコムラサキについて相当多くのショットを撮りました。後で振り返ってみると、幹上でのテリ張りシーンが一番このタテハの性格を表現しているように思えました。
アカボシは賑やかと言うか、翅全体に白班が一様に散らばっている印象ですね。
ヒメフタオはサプライズでした。仰るようにトラップで吸引する方法がベストですが、この時は仕掛けることができず、運が良かったのだと思います。
Commented by 6422j-nozomu2 at 2012-07-09 21:42
碁石狙いの車中で、皆で台湾に行きたい話で盛り上がりました。台湾も台北、台中、台南とあり、レンタカー+ガイドも雇うとなると結構費用がかかるのかなと考えていましたよ。更にポイントや発生時期も分かりませんので、定年後のお話だとおちつきましたが。(笑)
Commented by fanseab at 2012-07-09 22:22 x
ノゾピーさん、台湾にもゴイツがいますよ(笑)
仰る通り、珍品を狙うか否かで費用も時間も大きく異なります。台湾産普通種を狙うのであれば、台北市内でも十分で、今回ご紹介しているチョウの殆どは台北市内でも撮影可能ですし、レンタカーも不要です。ただ、台中の高地に棲む珍品類をターゲットにするとそれなりに費用もかかります。台北であれば八重山に行くよりは低コストで実現可能です。
Commented by himeoo27 at 2012-07-11 21:13
沖縄本島のフタオチョウにも感激しましたが、
ヒメフタオチョウの接写素晴らしいですね!
翅の色合いが絶妙で最高だと思いました。
Commented by fanseab at 2012-07-12 21:17 x
himeooさん、このヒメフタオは沖縄のフタオと異なり、そんなに珍品でもありませんが、やはりフタオ独特の風格と飛翔時の雄大さには惹かれてしまいます。仰るように、ベージュ系の地色は品格があって、素晴らしいのです。
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