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探蝶逍遥記

オオミスジ♂

 例年、ゼフの活動が本格化する頃、オオミスジも羽化し始めます。丁度3年前、「フィールドガイド日本のチョウ」の刊行準備のため保全協会で有志が集まった会合がありました。この時、撮影種を各自で分担することになったのですが、管理人はこのミスジに対する思い入れもあって、「私がやります!」と立候補してしまいました。さぁ、しかし、それからが大変でした。この図鑑では、ご存じの通り、各種の♂♀表・裏合計4枚の画像を収集する必要があります。その絵を求めて山梨や長野をウロチョロ駈けずり回りました。

 結果、何とか目的の4枚を揃えましたが、♂については満足の行く絵が撮れませんでした。オオミスジの♂発生は意外と早く、山梨の標高300m付近のポイントでは6月上旬から発生しております。全ての蝶に共通して言えることですが、ピカピカの完品を撮るには、発生の早期に多少フライング気味に出陣しないと無理なのです。オオミスジについてもクロミついでに狙う作戦ではやはり限界がありました。それから3年、図鑑は無事完成しましたが、オオミスジ♂完品の画像を求めてこの6月も探索しておりました。今日はそのご紹介です。最初はフライング覚悟で訪れた山梨のメスアカミドリのポイントに舞っていた♂個体。吸水個体を真上からパチリ。                                                                 ++横位置画像はクリックで拡大されます++
オオミスジ♂_f0090680_22395666.jpg
D90-34、ISO=400、F13-1/250、-1.0EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:6月18日、11時50分

 3年前、あれほど苦労した完品♂のベタ開翅がいとも簡単に撮影できました。欲目を抱いて撮影するとやはり蝶も逃げていくのでしょうか? お次は長野県で撮影した閉翅。
オオミスジ♂_f0090680_22401251.jpg
D7K-34、ISO=400、F9-1/1000、-0.7EV、撮影月日・時刻:6月30日、9時22分

 ようやく納得のいく、吸水画像が撮れました。この個体、一見完品に見えますが、表翅には既に少し傷が入っています。この日も探♀活動で活発に飛ぶ♂個体を多数目撃しました。ウメやスモモの枝先を縫うように♀を探す飛翔パターンで翅に傷がすぐ入ってしまうのでしょうね。 山梨では飛翔もちょっと撮ってみました。最初は1枚目でご紹介した個体。何とかノートリで収まりました。
オオミスジ♂_f0090680_22404194.jpg
D7K-20(ノートリ)、ISO=200、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:6月18日、11時52分
 
 お次は空バック。
オオミスジ♂_f0090680_22405159.jpg
D7K-20(トリミング)、ISO=200、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:6月18日、11時54分

 やはりオオミスジの飛翔は青空、それもウメやスモモ等、食樹が背景にあると雰囲気が出るようで、昨年撮影した絵の方がお気に入りです。
by fanseab | 2012-07-01 22:42 | | Comments(12)
Commented by chochoensis at 2012-07-02 07:54
fanseabさん、クロミも凄いですが、小生は=オオミスジ=の写真が眩しいです・・・小生未だに納得できる写真がなくて落ち込んでいるからです・・・すばらしいな、この貴殿の情熱に脱帽です。
昔は、もう少し楽に・・・などと考える事自体が小生の認識不足です、もう一度貴殿のファイトを見習いたい気持ちです!心のこもった図鑑は、近くの博物館や友人に寄付するために5冊購入してしまいました。
Commented by yoda-1 at 2012-07-02 12:22
当初の図鑑担当者の気苦労がしのばれますが、会心の画像というのは、やがってやってくるものなのですね。
側面画像は素晴らしいピントの合い方ですが、真横でありません(笑)
その前の開翅画像は背景に溶け込み過ぎです。
とか言われなくなった分、開放感満々で撮影に集中できそうです。
Commented by hemlenk at 2012-07-02 12:44
オオミスジ。近年はほんとに減った気がしますね。山梨ではけっこうポヒュラーなイメージだったのですが。図鑑では、オス、メスそれぞれの新鮮個体が要求されて、困難だったのがよくわかります。
それにしても、オス、メスの発生時期にそれほどのズレがあるなんて、知りませでした。
Commented by fanseab at 2012-07-02 21:15 x
chochoensisさん、コメント有難うございます。
このミスジはなかなか思ったような画像を撮り難いタテハです。止まる位置も意外と高くて脚立が必須だったり苦労します。その意味では吸水場面が一番撮りやすいと思います。
フィールドガイドは本当に良くできた好書だと思います。まぁ、図版に携わった者の思い入れも大きいのですが・・・。
Commented by Sippo5655 at 2012-07-02 21:15
オオミスジの撮影、ご苦労なさったのですね・・・。
遠距離だと、なおさら大変ですよね。
本当にお疲れ様でした。
私はまだ、1回しか見たことがありません。
裏側もまた美しい…!
図鑑撮影で、頑張ったからこそ
素晴らしい姿を、この子は見せてくれたのではないでしょうか。
飛翔のお写真、どちらも素敵です!
Commented by fanseab at 2012-07-02 21:19 x
yoda-1さん、確かに「待てば海路の日和あり・・・」の諺通り、どこかで期待した絵が得られるはずですが、やはりそれなりに追い求めないと駄目です。ギラギラの写欲をださない按配が難しいですね。
そう言えば、側面画像は真横ではないとか、色々と難しいリクエストをされる方が約1名おられましたね(爆)実際問題、吸水場面を真横で撮るとあまり迫力が出ません。少しはす向かいの方がいい感じに仕上がります。
Commented by fanseab at 2012-07-02 21:22 x
ヘムレンさん、小生はあまり個体数が減少した実感は持っておりませんが、信州での撮影経験豊富な貴殿の観察結果からはそうなんでしょうね。
♂は比較的短い期間にピークを迎えるのに対し、♀は♂に遅れてダラダラ発生の印象を持っています。ですので、♂の新鮮個体を狙うチャンスはそうそうないと感じております。
Commented by himeoo27 at 2012-07-02 21:56
昨年の青空背景の飛翔画像と併せて拝見しました。
図鑑プロジェクトで、私は普通種しか狙いませんでしたが
それでも大変だったので、
一番上の画像を撮ろうとすると死ぬほど大変だろうと思い
ます。
Commented by fanseab at 2012-07-02 22:08 x
Sippo5655さん、フィールドガイド用図版収集に関しては、今だから語れる苦労話は色々ありますね。オオミスジの場合は標高を高くするため長野まで移動したりと苦労が絶えませんでした。
裏面はミスジチョウ属全般に最も綺麗な見所でしょうね。もちろん、小生が拘る縁毛も綺麗な個体でないと、その魅力も半減するのですが。
Commented by fanseab at 2012-07-02 22:11 x
himeooさん、あのプロジェクトでの経験から、撮影の難易度は普通種でも珍品でもそれほど変わらないことを実感しました。ベニシジミなんか、無茶苦茶難しかったですよ! オオミスジの撮影を通して、いかにこのミスジの生態を熟知していないか?自分の無知をよく理解できました。やはりきちんと生態を抑えないと、目的の写真は撮れませんね。
Commented by naoggio at 2012-07-03 17:02 x
改めてフィールド図鑑の編纂ご苦労様でした。
皆さん色々と苦心なされたのでしょうね。
オオミスジの吸水は見たことがないように思います。
掲載されている写真は見事な絵ですね。
Commented by fanseab at 2012-07-03 21:58 x
naoggioさん、図鑑画像の収集は色々と思い出が詰まっております。苦労した分だけ、その時の情景が蘇ってきます。ただ漫然と撮影した絵以上に記憶に残るものですね。
オオミスジはNeptis属全般の行動特性として♂♀によらず、吸水します。どちらかと言えば、好天の朝方、気温が急上昇する過程でよく観察されますね。
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