探蝶逍遥記

ゼフ飼育メモ(2)アイノミドリシジミ

 クロミドリシジミが孵化した2日後の4月17日にアイノが孵化しました。孵化前画像(2月11日記事掲載分)と比較して示します。
                                                                                          ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-85VR-24R(トリミング+深度合成)、ISO=400、F29-1/640、-1.0EV、外部ストロボ、
撮影月日:4月20日

 ただ孵化はしたものの、幼虫は与えたクヌギの新芽に潜り込んだ様子で確認できません。新芽の表面にうず高く積もった糞で、幼虫の無事を確認できるのみ(孵化後3日目)。
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D7K-1855改@55mm(トリミング)、ISO=200、F29-1/400、外部ストロボ、撮影月日:4月20日

 新芽をこじ開けて幼虫を撮影することもできますが、虎の子の初齢幼虫を傷つけたら元も子もないので、ここは我慢です。暫くしてようやく初齢幼虫の姿を拝めました。孵化後6日目で、体長は2.7mm。
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D7K-1855改@55mm(トリミング)、ISO=200、F29-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:4月23日

 体色はややピンクがかった褐色。中胸部と第10腹節に黒色紋が目立ちます。初齢から2齢にかけての色彩は同時に飼育していたクロミドリとよく似ていて、飼育ケースに入れ間違えたのではないか?と慌てたこともありました。クロミ同様、若葉には見向きもせず、ひたすら花穂を食べ続けます。孵化後8日目の様子です。体長は3mm。
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D7K-1855改@55mm(トリミング+深度合成)、ISO=200、F29-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:4月25日

 静止している際は、このように花穂にしがみつくように体を丸めています。幼虫の体色および大きさが花穂と瓜二つなので、幼虫の姿を見失うことがしばしばありました(^^) 本当に見事な擬態です。その後、どうやら26日頃に2齢になった模様です。孵化後10日目の状況です。体長は5.7mm。
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D7K-1855改@34mm(トリミング)、ISO=100、F29-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:4月27日

 2齢の体色・斑紋は初齢と基本変化はありませんが、中胸部と第10腹節にあった黒色紋が消えます。そして29日前後にどうやら3齢になったと思われます。孵化後14日目、体長は11.5mm。
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D7K-1855改@34mm(トリミング)、ISO=200、F29-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:5月1日

 2齢から3齢への齢変化は脱皮殻が花穂に混在して確認できず、クロミ以上に困難を伴いました。3齢の斑紋パターンも2齢と類似しておりますが、胸部が暗赤褐色に変化し、第8・9腹節側面が白味を帯びる点が異なります。↑の画像の撮影後、眠に入り、翌5月2日に4齢(終齢)になりました。孵化後16日目、体長13mm。
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D7K-85VR(トリミング+一部深度合成)、ISO=400、F25~29-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:5月3日

 ご覧のように終齢は独特な斑紋に変化します。先ず前胸部背面に淡いピンクを帯びた菱型模様が出現し、第6腹節の背面側の楔紋が著しく白化します。また腹節全体が暗色化するため、白い気門が大変目立ちます。クロミの記事でも述べたように、丁度この頃、花穂の在庫も尽き、屋外の花穂も完全に萎れた状態になってしまいました。アイノの終齢は既に黴が生えたような花穂にも固執して、若葉には全く食いつくそぶりもありません。クロミに比較すると花穂への執着が尋常ではないと言えます。6日になって流石に花穂は不味くなったのか、若葉に食いついてくれました。孵化後20日目の姿です。体長は18mm。
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D7K-85VR(トリミング)、ISO=100、F29-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:5月7日

 食痕は中脈を残していくタイプ。8日(孵化後21日目)に前蛹になりました。体長は11.5mm。
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D7K-85VR(トリミング+一部深度合成)、ISO=100、F29-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:5月9日

 2日後の5月10日に無事蛹化いたしました。孵化後23日目、体長は10mm。
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D7K-85VR(トリミング+一部深度合成)、ISO=100、F29-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:5月10日

 背面部の模様は終齢幼虫の斑紋パターンを踏襲したような感じです。ここでちょっとした失敗に気が付きました。今回は終齢幼虫が生葉上で前蛹→蛹化しましたが、生葉だと、葉が萎れるに従い、カーリングして蛹の側面を隠してしまい、↑の画像のように側面全貌を把握できません。蛹化が近づいた時点で枯葉を飼育容器内にセットし、蛹化が枯葉上で行われるように誘導すべきでした。管理人はこのような飼育観察をする際のノウハウを保有しておらず、今後の飼育観察に向けて良き教訓となりました。アイノはクロミと異なり蛹の体色は基本褐色ですので、羽化の前兆は把握しやすく、翅面に顕著な変化が現れました。
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D7K-85VR(トリミング)、ISO=100、F29-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:5月25日

 翅全面が干渉色と思われる赤銅色に輝き、♂が羽化することが示唆されました。そして翌日、5月26日午後、予想通り♂が無事羽化。孵化後39日目でした。
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D7K-85VR、ISO=100、F29-1/320、-1.0EV、外部ストロボ、撮影月日:5月26日

 羽化は夜明け頃と推定しておりましたが、予想に反し、午後2時頃でした。所用で外出している隙に羽化が行われてしまいました。それでも羽化後間もないこともあり、未だ満足に飛べない状況だったので、ジオラマ風の背景で撮影できました。肩口から覗く金緑色は紛れもないCrysozephの輝きですね。残念ながら開翅する様子もなかったので、屋外に持ち出して記念撮影(笑)にもトライ。
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D7K-85VR、ISO=400、F6.3-1/320、-1.0EV、撮影月日:5月26日

 たまたまヒメウラナミジャノメ♂が誤求愛でアイノ君にちょっかいを出しましたが、「驚いて開翅・・・」を目論んだ管理人を後目に、堂々として全く開いてくれませんでした(^^; またこの日の夕方は風も強いこともあって、薄日が差しても開翅するそぶりも見せませんでしたので、諦めました。やはり、今シーズンは屋外でアイノ♂の輝きをじっくり堪能したいものです。

 さて、クロミ、アイノ共に僅か1卵の飼育で不安もありましたが、何とか両種共に成虫羽化までこぎつけてホッとしております。来シーズンはできればメスアカミドリあたりの飼育にチャレンジしたいと思います。
by fanseab | 2012-06-01 22:11 | | Comments(8)
Commented by Sippo5655 at 2012-06-02 22:12
素晴らしい飼育記録・・・!
ありがとうございます!
私など、まだミドリシジミを2回、見た程度なので
こんなに素晴らしい道のりを見せていただくだけでも
すごく感動してます(*´∀`*)
花穂を好むのも、やっぱり栄養として
体が欲しているのでしょうね。。
無事羽化、表の輝く色合い、見えました、見えました!
Commented by fanseab at 2012-06-02 22:29 x
Sippo5655さん、ゼフの飼育で一番美味しい部分はやはり羽化の瞬間なのですが、今回は立ち会えませんでした。相当辛抱強く待機する覚悟が必要ですし、場合によってはタイマーを使って自動撮影モードで撮るしかありません。
この分野では高名なプロ写真家、大倉舜二さんの写真集「ゼフィルス24」があります。既にご覧になったかもしれませんが、もし未だであれば是非見てください。実際の羽化シーンの感動が凄い迫力で伝わってきます。
Commented by himeoo27 at 2012-06-03 12:40
卵~幼虫~蛹~羽化と凄い記録ですね!
オオクワガタ、スジブトヒラタクワガタ等で、私も
チャレンジしたことがありますが、蝶はまだ無縁
なので、ただ楽しく拝見いたしました。
Commented by 虫林 at 2012-06-03 22:42 x
クロミドリとアイノミドリのふ化から羽化までの写真を拝見しました。両方とも素晴らしく精緻でしみじみと眺めてしまいました。
記録的な意味とともに写真としてもすごいですね。
Commented by yoda-1 at 2012-06-04 18:31
これまた貴重な全記録ですね。
アイノは幼虫時代も結構、模様が豪華なのですね。
羽化直後の成虫を安定して開翅させるいい方法がないものですかね。
Commented by fanseab at 2012-06-04 21:40 x
himeooさん、小生もクワガタ飼育の経験がありますが、蝶以上に湿度・温度管理が困難な種もありましたね。今回飼育した対象は初心者の小生でも何とか成虫羽化まで辿りつけたようです。
ゼフとは言わず、ジャノメあたりからトライされると面白いですよ!
Commented by fanseab at 2012-06-04 21:43 x
虫林さん、コメント有難うございます。
飼育は相当神経を使う作業ですし、その上、各ステージ毎の撮影をするのも結構苦労しました。アイノにしろ、クロミにしろ、幼虫の生活を屋外で観察することはまず無理なので、飼育しながら大変面白かったことも事実です。
撮影も照明方法の勉強だと思って頑張って色々とトライいたしました。
Commented by fanseab at 2012-06-04 21:45 x
yoda-1さん、お蔭様で2種共に成虫羽化まで辿りつけてホッとしております。
アイノもクロミも終齢幼虫はとても個性的な姿をしていて楽しませてくれました。
羽化後の開翅はこちらこそ、上手い方法をご教示願いたいものです。
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