探蝶逍遥記

ゼフ飼育メモ(1)クロミドリシジミ

 2月11日の記事で山梨のクヌギ伐採地から見出したゼフ越冬卵をご紹介いたしました。クロミドリとアイノの2種共に現地に放置した後、3月に入ってから回収、自宅冷蔵庫で保管しておりました。その後の飼育結果について、順次ご報告したいと思います。

 ゼフの越冬卵からの飼育は中学二年生以来、ん十年ぶり(笑)。当時、神奈川県某所のカシワ林から採卵したハヤシミドリシジミを育てたのが最初で最後?でございました。神奈川のハヤシは現在、レッドデータ扱いになりそうな珍品だと思います。久方振りのチャレンジで、飼育勘がなくなっている心配をしながら育てました。

 自宅近くのクヌギの芽吹きがスタートした4月13日に冷蔵庫から取り出し、室温保管に切り替えました。翌14日には精孔に孔が開き、孵化が迫っていることを知らせてくれました。尚、この際の画像は忙しさにかまけて未撮影です。そして15日、完全に脱出孔が開き、孵化したことが判明。孵化前画像と比較して示します。                                                                             ++画像はクリックで拡大されます++
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D7K-85VR-24R(トリミング+深度合成)、ISO=200~500、F29-1/400~1/640、-0.7~-1.3EV、
撮影月日:4月16日

 ただ幼虫は行方不明に(^^; 孵化翌日になって、ようやく細枝上を歩き回っている初齢幼虫を発見。体長は約1.5mm。
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D7K-85VR-24R(トリミング)、ISO=400、F29-1/640、-1.3EV、外部ストロボ、撮影月日:4月16日

 この日、クヌギの新芽を与えたところ、どうやら芽に潜入した様子。3日経過するとシジミの幼虫らしくなりました(孵化後5日目)。体長は約2.2mm。
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D7K-1855改@55mm(トリミング+4枚深度合成)、ISO=200、F29-1/400、-1.0EV、外部ストロボ、撮影月日:4月20日

 体色は新芽に良く似ております。22日にクヌギの若葉と花穂を同時に与えましたが、若葉には移らず、花穂を食べ始めました。この頃どうやら2齢になった様子。花穂にまみれている状態だと脱皮殻が確認しずらく、齢の変化は糞の大きさの変化と体色の変化で見極めなければならず苦労しました。24日撮影分です(孵化後9日目)。体長は3.5mm。
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D7K-1855改@55mm(トリミング)、ISO=200、F29-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:4月24日

 この写真のように、この頃は若葉に台座を作って静止し、ここから花穂を食べに行く状態が続きました。27日には体型が草鞋型に変化していました。どうやら3齢になったのでしょうか?(孵化後12日目)体長は5mm。
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D7K-1855改@55mm(トリミング)、ISO=200、F29-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:4月27日
                                                       
 30日に眠に入り、翌5月1日に4齢(終齢)になったと思われます。この頃、冷蔵庫に保管していた花穂の在庫も尽き、どうしようかと思案しておりましたが、幸いにも若葉を食い始めてくれました。孵化後18日目の終齢幼虫の様子です。体長は17mm。
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D7K-85VR(トリミング)、ISO=200、F25-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:5月3日

 終齢幼虫の体色は灰色ベースに緑色が混じる独特なもので、クヌギやアベマキの樹肌に生える地衣類に擬態しているとされております。この画像には食痕も写っております。そして6日には無事前蛹になりました(孵化後21日目)。体長14mm。
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D7K-85VR(トリミング+画像合成)、ISO=100、F29-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:5月7日

 左側が頭部です。前蛹は体色がピンク色を帯びており、側面から眺めると黒い気門が大変目立ちます。その後8日に蛹化いたしました(孵化後23日目)。体長は12mm。
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D7K-85VR(トリミング+深度合成+画像処理)、ISO=100、F29-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:5月9日

 体色はご覧のようにほぼ真っ黒。クロミドリだから黒い・・・、それは冗談にして、この体色も独特なものだそうです。この体色のせいで困ったことがありました。羽化の前兆を大変把握し難いのです。通常、褐色を呈するシジミの蛹は翅が羽化直前に黒化する等の色変化があって、ここに着目すれば何となく羽化が近いことを実感できます。クロミの場合は、その変化が明確ではないのです。それでも腹端の一部が緩んでくるとか、それなりの前兆現象が認められました。そして5月25日、待望の♂が無事羽化いたしました(孵化後40日目)。
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D7K-85VR、ISO=200、F18-1/320、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日:5月25日

 恐らく未明には羽化した模様で、撮影した頃にはビュンビュンと飛ぶ活発な状態になっており、ご覧のような殺風景な画像撮影を強いられました。実はこの日に備えてミニ植木鉢に枯葉を敷き詰め、クヌギ生枝を差す等、ジオラマ風の背景セットを準備しておりましたが、全く役立たず(涙)。それはともかく、管理人は屋外でこれほど接近して♂を観察したことはなく、赤銅色の綺麗な裏面を見て、ヤレヤレ無事飼育が終わったなぁ~と実感いたしました。次回はアイノミドリシジミの飼育メモをご紹介します。
by fanseab | 2012-05-29 22:33 | | Comments(8)
Commented by yoda-1 at 2012-05-30 12:10
無事に羽化、おめでとうございます。
しかも、精緻な画像記録がとれていて素晴らしいです。
私も実は密かに始めていますが、開翅画像をいかに撮影すべきか悩んでいます。
Commented by fanseab at 2012-05-30 23:38 x
yoda-1さん、コメント有難うございます。
1卵だけでの飼育では羽化まで行くか?運次第ですね。何とか羽化まで観察できてヤレヤレでした。飼育は慣れていないので、本当に神経を使います。羽化する時間のタイミングで開翅は全く望めないし、羽化時間を人工的に調整する技術も持ち合わせていないので、開翅までは撮影できませんでした。それより、自然状態での♂開翅撮影を先ずは頑張ってみたいと思います。来月中旬には発生開始ですからね。
Commented by banyan10 at 2012-05-31 19:01
僕も今年は少し飼育に挑戦しましたが、卵からの飼育は全滅でした。
クロミは3齢までいったのですが、見たかった終齢になる前で残念でした。
最初は花穂と思っていましたが、新芽でもいいのですね。その方が管理しやすそうです。
Commented by Sippo5655 at 2012-05-31 22:10
ひゃ~、ゼフを、卵から飼育ですか(◎ー◎;)
すっごいですね!!
幼虫の変化、よくわかりました☆
樹皮に擬態・・・?なんて神秘なんだろう。。
真っ黒黒助のさなぎさん
これは、羽化の前兆わかりづらいですね、、
成虫の姿、感動です(≧∇≦)
我が家ではせいぜいアゲハが限界ですが、
先日までの終齢幼虫の姿が消えました。
どこかで蛹になっていてくれることを願ってます。
Commented by fanseab at 2012-06-01 00:25 x
BANYANさん、採卵数が一個だけだと全ステージ上手く行く確率は低いですが、今回は運良く成虫まで到達しました。この間、山梨で野外での終齢探しをしましたが、いたのは蛾の幼虫だけで発見には至りませんでした。花穂は結構萎れて変色しても食ってくれましたよ。
Commented by fanseab at 2012-06-01 00:28 x
Sippo5655さん、ゼフの飼育は本当に久しぶりでしたが、成虫が羽化すると苦労が報われます。野外で食痕から幼虫を探索をしたりする際に、色々とヒントが得られるからそれなりの価値があるんです。アゲハ類は蛹化前に遠距離をほっつき歩き回るので見失いやすいですよね。
Commented by naoggio at 2012-06-01 14:01 x
飼育お疲れ様でした。たったの1卵が、無事羽化して良かったですね。
クロミドリの各ステージの克明な写真、素晴らしいの一言です。
飼育するからにはこれくらいの記録写真のクォリティーを目指さないと駄目だと叱られているような気がしました(笑)。
Commented by fanseab at 2012-06-01 21:59 x
naoggioさん、本当にたった1卵だけでしたので、無事羽化まで辿りつけてホッとしました。
まぁ、やってみると若い時に比べて体力や根気が少なってなっているので、何回もやろうとは思いませんね。ですので、きっちり記録画像だけは撮っておこうと思って撮影いたしました。
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