探蝶逍遥記

岡山のシルビアシジミ(5月5日):その2

 ♀の撮影に夢中になっている途中、スイバの花序にシルビア交尾ペア(上が♀)を発見!                                                  ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-85VR、ISO=400、F10-1/1600、-1.0EV、撮影時刻:9時58分

 シルビア交尾シーン撮影は久しぶりでした。この日、皐月晴れに薫風吹き渡り・・・と言えば聞こえはいいのですが、スイバの穂先は風にゆ~らゆ~ら、全く止まりません(^^; 高速シャッターでもピンボケの連続で苦労しました。そのうち、ヤマトシジミの♂がペアにちょっかいを出した拍子に、上手い具合に草むらに移動してくれました。これ幸いと横広角で撮影(右下が♀)。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F6.5-1/640、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時01分

 風に邪魔されず、じっくり撮影できました。この後も再三、ヤマトやツバメ♂の攻撃を受けて、時々場所移動しておりました。振り返ってみると、♂はこのペアで見かけたのが唯一の個体だったような・・・。もちろん、管理人の目は「節穴」だらけですから、♂を見逃していた可能性もあります。ミヤコグサに産卵行動を取っていた♀は地面に沿って、相当ゆっくり飛びますので、飛翔の歩留りはいつもよりも上がった感じがありました。最初は表翅全開モード。
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D7K-20(トリミング)、ISO=200、F13-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時15分

 前回の記事でご紹介した♀に比べると青鱗粉が拡がった個体ですね。次は同じ個体がレンズに向かって突進してくる場面。
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D7K-20(トリミング)、ISO=200、F13-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時15分

 管理人は蝶がレンズに向かってくる飛翔撮影を「迎え撮り」と呼んでいます。通常は蝶を追いかけて飛翔を撮影する(「追い撮り」)ので、どうしても蝶が後ろ向き(腹端が手前側)で見栄えがしません。一方、蝶がレンズに向かうと、とても動感が出ていい感じに仕上がります。もちろん、「迎え撮り」ショットは偶然の産物ですが、蝶の飛翔パターンを先読みして、なるべく蝶より一歩先んじてカメラスタンスを維持することが必要です。こうして狙い通りの絵が出来ると大変嬉しいものです。特に精悍なタテハ類は「迎え撮り」にいつも拘ってしまいます。さて、3枚目はポイントの土手の際を低空飛行するシーン。
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D7K-20(トリミング)、ISO=200、F13-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時15分

 母蝶の視線はこれから産むべきミヤコグサに向けられているのでしょう。おしまいは皐月晴れの空を意図的に入れてみた構図。上手いことに、ノートリで仕上がりました。
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D7K-20、ISO=200、F13-1/500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時15分

 このポイントにはヤマト、ツバメも混棲しておりますので、両者の飛翔も撮影。最初はヤマト♂。
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D7K-20(トリミング)、ISO=100、F11-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時28分

 これまで撮影したヤマト♂飛翔画像の中ではベストの仕上がりになりました。流石にヤマト♂とシルビア♂の輝きは異なりますので誤認することはないのですが、ツバメ♂にはちょっと誤魔化されそうになりました。
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D7K-20(トリミング)、ISO=200、F13-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時16分

 深みのあるブルー。これはこれで大変美しいシジミですね。このシルビアポイントは本当に小さな土手で発生しております。造成工事でも入れば一発で消滅するポイントのようです。今回、ポイント周辺の畔・土手を結構丹念に探索しましたが、シルビアの姿はありませんでした。まぁ、だいだいシルビアポイントはこんな感じで危うい箇所が多いのですけど、メタ個体群を維持しうるミヤコグサ群落が近くにあれば、生き伸びられる可能性があるのでしょう。10年先、20年先、このポイントはどうなっていくのでしょうね?

 ところで、前日の4日は、変わりやすい天気の中、河川堤防に棲むシルビアを求めてウロチョロしておりました。その過程でエエ感じの堤防土手を発見。
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GXR@5.1mm

 草刈りも丁寧かつ、広範囲に実施されていて、南~西向き。土手の傾斜もそれなりにきつく、水はけもよさそうです。ここにミヤコグサが生えておれば、「シルビア貰った!」となるのですが、びっしりと生えていたのは、ミヤコグサ(Lotus japonicus)でなく、同じマメ科のウマゴヤシ(Medicago polymorpha)でした(↑の絵で囲みに図示)。この草、田んぼの畔等でもよく見かけます。日本本土のシルビアはご存じの通り、ミヤコグサ以外にヤハズソウ、シロツメクサ等を食う個体群が知られています。過去の記録ではウマゴヤシもホストになった事例がありますが、仮にウマゴヤシへの食草転換がもっとスムーズに行われたなら、シルビアはレッドデータ入りせずに、本州中部以西の畔道や土手に普通に見られるシジミチョウになっていたのでしょう。それにしてもメインの食草である、ミヤコグサが欲しがる生息環境って、よくわかりませんね。土壌のpHが支配的なのか、はたまた燐・窒素等の栄養バランスなのか? 結局、4日~5日にかけてミヤコグサ探索をしておりましたが、一カ所も新規ポイント発見に至りませんでした。まだまだ修行が足りないのかな?           
<了>
by fanseab | 2012-05-10 21:00 | | Comments(10)
Commented by Sippo5655 at 2012-05-10 22:21
シルビアシジミのカップル、たくさんの多種に邪魔されて・・・!?
おかげで、良い絵が撮れましたね!
「迎え撮り」とは言い得て妙!
私も、偶然このようなカットが撮れることがありますが
映っているとなんか、嬉しくなっちゃいます^^
シルビアの食草って、一種だけじゃないんですね。
上手く生息域を広げてくれたら、嬉しいですね。
Commented by cactuss at 2012-05-10 23:24
スイバでの交尾写真はいいですね。
飛翔写真も見事です。OMDでの飛翔写真はまだなかなかうまく撮れません。
Commented by yoda-1 at 2012-05-11 12:40
ミヤコグサは、結構普通の雑草(風で分散する?)という感じであちこちにあるように思いますが、なかなかシルビアの生息地とマッチしないのですかね。
河川改修工事などで追われる身であったのは間違いないでしょうが、本当ヤマトシジミがどこにでも生えるカタバミを選択して、個体数の多さを謳歌していますよね。
この岡山のポイントは自力発見なのでしょうか?
Commented by fanseab at 2012-05-11 21:57 x
Sippo5655さん、交尾ペアの存在に気が付くのは、自分で見つけ出すよりは、案外♂がちょっかいを出して発見することが多いように思います。
今回のシルビアカップルはスイバの高い穂先だったので、大変目立ちました。
南に棲むヒメシルビアは相当広範囲のマメ科を食べて繁殖していますが、本土のシルビアは色々と気難しくて、食草転換が簡単に進まないようです。
Commented by fanseab at 2012-05-11 22:02 x
cactussさん、スイバとのツーショットはこの時期、つまり第1化でしか得られない絵なので、気に入っております。
OMDもコンパクトで連射も9コマ/秒が稼げて飛翔向きのカメラのように思います。従来機とボディサイズが異なると、確かに置きピンの位置感覚とか、カメラの向きとかが微妙に狂って、歩留りが落ちることもあるでしょうね。でも、貴殿のこれまでの成果から考えると、直ぐに慣れて傑作が得られるものと思います。期待しております。
Commented by fanseab at 2012-05-11 22:08 x
yoda-1さん、ミヤコグサは確かに雑草には違いありませんが、どこにでも蔓延るタイプの力強さはありません。また、ウマゴヤシ、あるいはコメツブウマゴヤシ、シロツメクサ等の外来種に押されて多摩川でも結構珍品の植物になっています。さらにややこしいことに、ミヤコグサにそっくりの外来種、「セイヨウミヤコグサ」が最近方々に進出しているとのこと。ミヤコグサがこれから「雑草」として繁栄する保障はどこにもありません。更に蝶屋にとって、困るのは、ミヤコグサ群落があってもシルビアがいるとは限らないことですね。
このポイントは大まかな生息地域情報をベースに開拓した自力発見ポイントです。
Commented by 霧島緑 at 2012-05-13 03:11 x
シルビアというと、秋のイメージが強いのですが、第1化の発生は始まっているのですね。
のどかな感じの土手が、如何にもこの蝶の生息環境にマッチすると感じましたが、ミヤコグサがありませんでしたか。残念です。
蝶を探す前に食草を探す、これは新しいポイント発見の鉄則だと思いますが、植物にも精通しなければならない。奥の深い趣味ですよね。
Commented by himeoo27 at 2012-05-13 09:12
シジミチョウやセセリチョウのように小さな蝶の新産地
を自力で見つけると嬉しいですね!
各地で上手く蝶がその地に合った食草に転換して生き
延びてくれたら最高なのですが・・・・・
Commented by fanseab at 2012-05-13 23:01 x
霧島緑さん、確かに優先順位からして、シルビアやクロツを秋口に狙う方が多いですね。ただ、多化性の蝶については、第1化も気候的には秋口と同じで汗びっしょりにならずに済む利点があります。
仰る通り、食草の知識についてはまだまだ勉強不足で、今回はミヤコグサの競合植物について、ちょっと学習させられました。
Commented by fanseab at 2012-05-13 23:05 x
himeooさん、クロツのように食草が特殊な植物の場合は、探索がそれなりに絞られて楽ですが、マメ科の類は普遍的でどこにでもありそうなんで、結構しんどいですね。それだけにマイポイント発見した時は嬉しさは格別です。
まぁ、なかなか食草転換は人間の希望通りには行かないので、何とか蝶の好む環境条件・雰囲気を把握するようにしたいです。
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