探蝶逍遥記

新潟のギフ探索(4月21日):その1

 昨年、新潟へは4月14日に参戦しております。今年は丁度一週間遅れの土曜日に「新潟詣で」をして参りました。昨年と同じポイントに行くのも面白くないので、例によって衛星画像と1/25000地図を睨めっこして、3箇所候補地点を抽出。天気予報の「新潟は晴れ」を信じて関越道を走りました。自宅4時15分発、ドンヨリとした曇り空も関越トンネルを抜けると、スカッ晴れでした。やったネ! 最初の候補地点に8時前には到着。ウロチョロ車を流して緩やかな丘陵を発見。踏み入るとカタクリ群落・カンアオイも揃って理想的な環境。ここで暫く待機します。ところが、9時を回って、気温が明らかに15度前後になってもギフの影も形もなし。9時20分頃、これは外した・・・と諦め、第二候補地点に移動。こちらも尾根筋にカタクリやショウジョウバカマが綺麗に咲き誇っている好環境でした。しかし・・・ここでも影も形もありません。時間は既に10時半を回っています。流石に焦って来ました。慌てて第三候補地点に移動します。ここも環境は揃っていました。先ずは傾斜地に生えているカンアオイ。                                                                             ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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GXR@5.1mm、ISO=100、F6.5-1/200、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時41分

 コシノカンアオイでしょうかね。花が見えるように枯葉を一部取り除いての撮影です。花も立派です。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F6.5-1/160、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時42分

 カンアオイの花を見ると、何故か赤道アジアに咲く巨大なラフレシアの花を思い出してしまいます。花弁のスケールは全く異なりますが、雰囲気が良く似ているのです。そして、カタクリの群落。
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D90-10.5-X1.4TC、ISO=200、F13-1/125、-0.7EV、撮影時刻:10時58分

 まずまずの密度で咲き誇っています。後はギフが飛ぶだけです。そのうち期待に応えて1頭の♂が出現。しかし、この時点で体感気温は20℃近くになっており、しかも飛んでいるのはどうやら1個体のみのようです。林道に沿って飛ぶ個体を追いかけて何とか飛翔画像をゲット。
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D90-20(トリミング)、ISO=200、F13-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時22分

 この後、もう1頭も出現しましたが、静止画像・吸蜜シーンを望むことは不可能でした。「嗚呼、今日の成果は飛翔画像1枚のみかぁ~。殆ど坊主やね!」と自虐状態で、この尾根からも撤退し、最後の望みでもう一度地図を睨めっこして残雪の少なそうな丘陵地帯に移動しました。ここに到着するや否や、直ぐに3頭ばかりの♂に遭遇。個体数も多そうなので、ここで粘ることにしました。暫く飛翔没画像を量産しておりましたが、そのうち、地面スレスレを飛行する個体に目が留まりました。他の個体よりも低く飛行し、タッチアンドゴーを繰り返しておりました。そう!♀の産卵挙動でした。このポイントでは既に♀が発生していたのです。目を凝らしてこの♀を追跡することにしました。林床スレスレを飛行する♀です。
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D7K-34、ISO=500、F5.6-1/2000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時48分

 これはと思う葉を見つけると、翅を拡げて静止し、前脚でカンアオイかどうかを確認します。
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D7K-34、ISO=500、F5.6-1/2500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時52分

 この葉は明らかにカンアオイではありませんが、結構長時間かけて確認行為をしておりました。結局観察を始めてから4分後にようやくカンアオイに掴まり、産卵をスタートさせました。
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D7K-34、ISO=400、F9-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時53分03秒

 産卵に選んだのは、ご覧のように新芽ではなく、明らかに古びた葉です。よほど好みの新芽が見つからなかったのでしょう。2回位の産卵繰り返し作業を待ってから、レンズを地面スレスレに移動し、腹端と卵が同時に写るアングルで撮影してみました。
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D7K-34、ISO=400、F10-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時54分34秒

 ギフの産卵シーン撮影は久しぶりで、満足できました。母蝶にストレスを与えないように、なるべくストロボ使用は控えたいところですが、表現上、仕方ないところでございます。お次は広角で・・・と接近中、流石に殺気を感じたのか、飛び去ってしまいました。葉裏を確認すると、10卵産み付けられておりました。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F8.1-1/180、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:12時57分

 以前、兵庫・播磨地方でギフの♀産卵挙動を観察した経験からすると、今回の産卵シーン撮影時間中に産んだ卵はせいぜい5-6卵程度のはずです。ですから恐らく同一個体か、別の個体が同じ葉に産んだ事例と思われます。

<4月24日追記>
ブログ仲間のダンダラさんより「卵は時間を置いてではなく一気に産まれたものではないか?」とのご指摘がありました。↑の播磨での観察では産卵行為自体に約3秒、産卵間隔(産卵後、母蝶が取る休息時間)が約15秒、合計一卵当たり20秒弱必要としておりました。一方、今回の産卵画像をExifデータから算出するとほぼ100秒でした。つまり一卵当たりに要した時間は休息時間含め10秒で播磨での観察結果のほぼ1/2となります。母蝶の産卵時間が個体によって、どの程度巾があるのか?管理人は経験が少なく、コメントできません。確かに卵の色合いは産卵後の時間経過とともに変色するし、同じ葉に別個体が産み付ける場合は既に産まれている部分から卵塊を離すでしょうから、同一個体が一気に産卵した結果と判断してもいいのかもしれませんね。


 産卵が行われた雑木林の一角には淡いピンク色のイワウチワがポツンと咲いておりました。
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D90-20、ISO=200、F14-1/200、-0.7EV、撮影時刻:13時43分

 この花も雪国の春を彩るスプリングエフェメラルの一員なのでしょう。次回は吸蜜シーン他をご紹介予定です。      <続く>
by fanseab | 2012-04-22 23:56 | | Comments(14)
Commented by 虫林 at 2012-04-23 06:25 x
新潟はやはりギフの宝庫とはいえ、簡単に見つけるところが凄いですね。産卵シーンは理想的なアングルで撮影されていて見入ってしまいました。ちょうどかたくりも良い時期見たいですので次回の吸蜜シーンも楽しみにしています。
Commented by kmkurobe at 2012-04-23 11:53
私も上越で、ここにいなくてどうするという場所でまったくだめだったことがあります。あきらめて100㍍ほど登ると一杯居ました。
雌がでているということは、薄い発生地なのですかね?
イワカガミで一度撮影したいと粘ったのですが、まったくだめでした。
Commented by yoda-1 at 2012-04-23 12:52
地図遠征の成果、おめでとうございます。
真珠のような卵がいいですね。
逆上がりしている母蝶のけなげさがまたたまりません。
いつかYODAも産卵シーンに巡り逢えますように。
Commented by fanseab at 2012-04-23 21:31 x
虫林さん、今回は少し甘く見ていて途中から焦りました。簡単ではなかったですよ。産卵は母蝶を脅かすことなく、撮影に入るまでのタイミングが難しく、またそれがこの手の撮影の面白さですね。できれば、広角レンズを用いたほうが、卵と腹端の精細な描写が楽ですが、なかなか上手くはいきません。今回はカタクリの鮮度とギフの鮮度がいい塩梅に一致したので、満足すべき吸蜜画像も撮れました。
Commented by fanseab at 2012-04-23 21:36 x
kmkurobeさん、上越にしろ福井にしろ、概ね「ギフの匂い」がする環境は把握しているつもりですが、全くダメな場所もありますね。今回も最初のポイントで「貰った!」とぬか喜びしてしまいました。まだまだ経験値が浅いことを思い知った訳です。
最後のポイントは確かに「薄い」ポイントと言うか、一斉に出てすぐ終わるパターンなのかもしれません。ただ継続的に訪問してみないと何とも・・・。
Commented by fanseab at 2012-04-23 21:41 x
yoda-1さん、コメント有難うございます。
新潟はまぁ、どこでも薄くはいるので、行き当たりばったりでも必ず1頭は撮れるもんですが、流石に1頭しか飛んでいないと焦ります。少しでも多くのポイントを開拓しておいて、発生時期のズレを勘案して最適の撮影地を選ぶ・・・こんな境地に達したいもんですね。
ギフもヒメギフも、産卵は極めてじっくり時間をかけて行う蝶なので、とても厳粛な気分で撮影に集中できます。1卵、1卵産み落とす母蝶の姿は感動的ですよ。
Commented by naoggio at 2012-04-23 22:09 x
私も21日は新潟に行っていました。
でも今回は久しぶりの新潟だったので安全パイで済ませてしまいました(笑)。
常にチャレンジされているfanseabさんに脱帽です。
コシノカンアオイの葉裏に輝くギフチョウの卵、きれいですね。
Commented by ダンダラ at 2012-04-24 09:44 x
ここぞと思う場所で出てこないと焦りますね。
環境は申し分ないのに、どうしてだろうと言うことは良くありますよね。
ギフの古葉への産卵例は珍しいのではないでしょうか。それをきちんと撮影されてさすがです。
卵ですが、並び方や色合いから同一母蝶のもののように見えますが。
Commented by Sippo5655 at 2012-04-24 21:16
ああ、無事ギフチョウに会えて・・・♪
本当に良かったですね!
産卵シーン、感動です。
やはり、前足で探ってから産卵をするのですね。
ギフチョウの卵、まるでパールのようです。
またカンアオイの花も、素敵な風情がありますね。
ラストのイワウチワ、以前人から頂いて
我が家の庭にあります。
気まぐれで、咲く年と咲かない年が、、^^;
これまた妖精のようなお花、美しいです♪
Commented by fanseab at 2012-04-24 21:41 x
naoggioさん、先ほど貴サイトを拝見いたしました。お互い天気に恵まれてよかったですね。
小生は未だ「安全パイ」ポイントを開拓中の身分です。牌は沢山持つことにこしたことはないので、少しでも増やそうと新規ポイントを開拓中です。
ギフの卵って、本当に真珠みたいで綺麗ですよね!
Commented by fanseab at 2012-04-24 21:43 x
ダンダラさん、ギフが飛び出さないと自らの探索能力を否定されてようで焦りますよね。ギフが生息できるか否か、人知の及ばない部分があるようです。
卵の件は、記事中に追記をしました。色合い、並び方から判断すると、確かに貴殿の仰る通りかもしれません。有難うございました。
Commented by fanseab at 2012-04-24 21:47 x
Sippo5655さん、新潟を含め雪国のギフ参りは毎年実施しないと落ち着かないものです。
ですからギフに出会えないと相当欲求不満になるんですよ。小生から見て理想的なカンアオイがいくつかあったのですけど、母蝶はそれには見向きもせず、古びた葉を選びました。
イワウチワ、群落で咲くポイントもあって、もっと綺麗みたいですよ。
Commented by konty33 at 2012-04-24 22:26
ギフチョウの産卵シーンを地面すれすれから撮影した写真がfanseabさんらしい感じで素晴らしいです。
これを参考に次回チャレンジしてみたいと思いました。広角も撮れたら最高でしたね。
新芽が無いときは、昨年の葉でも産卵するのですね。勉強になります。
Commented by fanseab at 2012-04-24 23:27 x
kontyさん、ギフ産卵シーンは今回が3回目なので、撮影要領がある程度わかっていたので、何とか撮れました。ただ下草や枯れ枝の状況はその時々で変化しますので、腹端と卵の同時撮影はかなり厳しいことが多いですね。
広角は気づかれないように距離を詰めるのが難しいです。チャレンジのし甲斐があるテーマです。
新芽はそこらじゅうにあったのですけど、何故かこの♀は古株に産みました。不思議です。
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