台湾遠征記:(14)11月22日午前中その4
樹液酒場のあった地点はそれなりに薄暗い環境でしたが、10時を過ぎてやや陽射しが強くなったようで、心持ち、体感気温も上昇してまいりました。やがて林道の左手前方に明るい草地が見えてきました。ここは東南側に森林の一角が伐採された跡地で、急傾斜の斜面一面にセンダングサが生い茂っている環境でした。少し待機していると、谷底から黒系アゲハが駆け上がってきて、センダングサで吸蜜を始めました。久方振りに出会ったルリモンアゲハ(Papilio paris nakaharai)♂でした。 ++横位置画像はクリックで拡大されます++
D7K-34、ISO=500、F6.3-1/1250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時20分
D7K-34、ISO=500、F5-1/1250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時21分
実は前日21日の午後にもルリモンには出会っていたのですが、広角で狙うあまり撮り逃した経緯があり、ここは300mmで慎重に狙いました。残念ながら後翅の破損状況が酷い個体ですけど、このアゲハの艶やかさはよく理解して頂けると思います。北タイで撮影した名義タイプ亜種に比較すると、翅表に散布された金緑色鱗粉はあまり目立たず、落ち着いた印象を受けます。
ルリモン撮影後、センダングサに飛び古したシロチョウがやって来ました。
D90-85VR、ISO=400、F9-1/500、-0.7EV、撮影時刻:10時26分
ウスムラサキシロチョウ(Cepora nadina eunama)の♀でした。因みに今回の台湾遠征で出会ったCepora属はこの個体のみ。11月は多くの台湾の蝶にとって、夏型(高温期型)から春型(低温期型)への端境期でして、nadinaも新鮮な個体を撮るチャンスがなかったのかもしれません。続いて橙色の小さなセセリチョウも飛んできました。
D90-85VR、ISO=400、F9-1/400、-0.3EV、撮影時刻:10時28分
ホリシャアカセセリ(Telicota bambusae horisha)の♂。近似種のネッタイアカセセリ(T.colon)とは♂の前翅を斜めに貫く性標を囲む黒褐色部分の巾で区別します。ホリシャはこの巾が極めて狭いのです。
さて、ルリモンを撮影した頃から、このセンダングサ斜面には多くのマダラチョウが群れ飛ぶ楽園状態になりました。はやる気持ちを抑え、雑にならないよう順番に撮影していくことにしました。最初はウスコモンマダラの♀。
D7K-34、ISO=500、F5.6-1/1250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時30分
後翅裏面が覗くこのアングルが♂♀判定に有用なマダラチョウです。今回遠征で何とか♂♀両吸蜜シーンをゲットできたことになります。お次はヒメアサギマダラ(Parantica algea maghaba)の♀。
D7K-34、ISO=500、F4-1/1250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時31分
本種の♀は初撮影。♂と異なり、後翅第2脈の性標がなく、裏面外縁部の二重白点列が第2脈で途切れず連続することが♀の特徴。♂も含めてヒメアサギマダラの吸蜜シーンはこれまでまともな絵がなかったので、ホッといたしました。続いてタイワンアサギマダラ(Parantica swinhoei)の♂。
D7K-34、ISO=500、F4-1/2000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時32分
タイワンアサギマダラも今回が初撮影。アサギマダラ(P.sita)に比較して大変小さく、黒っぽい印象を受けました。実は例のフィールド図鑑プロジェクトに於いて、事務局側よりタイワンアサギマダラ画像が収集できていないことを知り、今回の遠征でターゲットの一つとしておりました。「タイワン」の和名を冠するのだから、本場台湾に行けばウジャウジャ飛んでいるだろうと思ったのは大間違いで、この林道での個体数は少なく、本種を撮影する難易度は結構高かったのでした。お次は飛翔。広角に交換する余裕がなかったので、300mmでそのまま撮影です。
D7K-34、ISO=500、F4-1/2500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時38分
この子は吸蜜を終えると林道脇を暫く飛んだ後、樹冠側相当高い場所に移動して姿を消しました。♀を探しながらの周回軌道を取る様子もなく、挙動が読めずに大変苦労しました。お次はツマムラサキマダラ(Euploea mulciber barsine)♂の吸蜜。
D7K-34、ISO=500、F4-1/2500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時35分
森林遊楽區およびこの林道を通じてmulciberの個体数は大変少ないように感じました。最後はmulciberの飛翔です。
D7K-34(トリミング)、ISO=500、F4-1/2500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時35分
D7K-34(トリミング)、ISO=500、F4-1/2500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時35分
吸蜜シーンも含め、このポイントは斜面を見下ろすアングルで撮影するため、背景がスッキリ抜けて、とてもいい感じに仕上がります。mulciberの飛翔画像はこれまで撮影した中でも一番良い出来で満足しております。<次回に続く>
D7K-34、ISO=500、F6.3-1/1250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時20分
D7K-34、ISO=500、F5-1/1250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時21分
実は前日21日の午後にもルリモンには出会っていたのですが、広角で狙うあまり撮り逃した経緯があり、ここは300mmで慎重に狙いました。残念ながら後翅の破損状況が酷い個体ですけど、このアゲハの艶やかさはよく理解して頂けると思います。北タイで撮影した名義タイプ亜種に比較すると、翅表に散布された金緑色鱗粉はあまり目立たず、落ち着いた印象を受けます。
ルリモン撮影後、センダングサに飛び古したシロチョウがやって来ました。
D90-85VR、ISO=400、F9-1/500、-0.7EV、撮影時刻:10時26分
ウスムラサキシロチョウ(Cepora nadina eunama)の♀でした。因みに今回の台湾遠征で出会ったCepora属はこの個体のみ。11月は多くの台湾の蝶にとって、夏型(高温期型)から春型(低温期型)への端境期でして、nadinaも新鮮な個体を撮るチャンスがなかったのかもしれません。続いて橙色の小さなセセリチョウも飛んできました。
D90-85VR、ISO=400、F9-1/400、-0.3EV、撮影時刻:10時28分
ホリシャアカセセリ(Telicota bambusae horisha)の♂。近似種のネッタイアカセセリ(T.colon)とは♂の前翅を斜めに貫く性標を囲む黒褐色部分の巾で区別します。ホリシャはこの巾が極めて狭いのです。
さて、ルリモンを撮影した頃から、このセンダングサ斜面には多くのマダラチョウが群れ飛ぶ楽園状態になりました。はやる気持ちを抑え、雑にならないよう順番に撮影していくことにしました。最初はウスコモンマダラの♀。
D7K-34、ISO=500、F5.6-1/1250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時30分
後翅裏面が覗くこのアングルが♂♀判定に有用なマダラチョウです。今回遠征で何とか♂♀両吸蜜シーンをゲットできたことになります。お次はヒメアサギマダラ(Parantica algea maghaba)の♀。
D7K-34、ISO=500、F4-1/1250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時31分
本種の♀は初撮影。♂と異なり、後翅第2脈の性標がなく、裏面外縁部の二重白点列が第2脈で途切れず連続することが♀の特徴。♂も含めてヒメアサギマダラの吸蜜シーンはこれまでまともな絵がなかったので、ホッといたしました。続いてタイワンアサギマダラ(Parantica swinhoei)の♂。
D7K-34、ISO=500、F4-1/2000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時32分
タイワンアサギマダラも今回が初撮影。アサギマダラ(P.sita)に比較して大変小さく、黒っぽい印象を受けました。実は例のフィールド図鑑プロジェクトに於いて、事務局側よりタイワンアサギマダラ画像が収集できていないことを知り、今回の遠征でターゲットの一つとしておりました。「タイワン」の和名を冠するのだから、本場台湾に行けばウジャウジャ飛んでいるだろうと思ったのは大間違いで、この林道での個体数は少なく、本種を撮影する難易度は結構高かったのでした。お次は飛翔。広角に交換する余裕がなかったので、300mmでそのまま撮影です。
D7K-34、ISO=500、F4-1/2500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時38分
この子は吸蜜を終えると林道脇を暫く飛んだ後、樹冠側相当高い場所に移動して姿を消しました。♀を探しながらの周回軌道を取る様子もなく、挙動が読めずに大変苦労しました。お次はツマムラサキマダラ(Euploea mulciber barsine)♂の吸蜜。
D7K-34、ISO=500、F4-1/2500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時35分
森林遊楽區およびこの林道を通じてmulciberの個体数は大変少ないように感じました。最後はmulciberの飛翔です。
D7K-34(トリミング)、ISO=500、F4-1/2500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時35分
D7K-34(トリミング)、ISO=500、F4-1/2500、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時35分
吸蜜シーンも含め、このポイントは斜面を見下ろすアングルで撮影するため、背景がスッキリ抜けて、とてもいい感じに仕上がります。mulciberの飛翔画像はこれまで撮影した中でも一番良い出来で満足しております。<次回に続く>
by fanseab
| 2012-04-19 22:19
| 蝶
|
Comments(10)
いやぁ~凄いですね。
台湾に行ってみたくなりました。
ツマムラの飛翔、感動しました。
勝手ながら、暫くの間PCの壁紙に使わせてください。
ストロボで紫の輝きが際立ってるのでしょうか。
台湾に行ってみたくなりました。
ツマムラの飛翔、感動しました。
勝手ながら、暫くの間PCの壁紙に使わせてください。
ストロボで紫の輝きが際立ってるのでしょうか。
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Sippo5655 at 2012-04-20 20:42
ルリモンアゲハ・・・この輝き、本当に神秘的ですね!
台湾にも、センダングサがいっぱいあるのですね。
このお花、チョウチョたち大好きですよね。
いろんなアサギマダラ 見れて嬉しいです♪
飛翔写真、うっとり見入ってしまいました・・!!
まるで絵画のようです(´▽`*)
台湾にも、センダングサがいっぱいあるのですね。
このお花、チョウチョたち大好きですよね。
いろんなアサギマダラ 見れて嬉しいです♪
飛翔写真、うっとり見入ってしまいました・・!!
まるで絵画のようです(´▽`*)
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fanseab
at 2012-04-20 22:51
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ごまさん、東京近辺にお住まいの方にとって、羽田からの台湾便が増便されたので、手軽に行けるようになりました。今回遠征記で紹介している蝶の殆どは台北市内でも撮影可能です。格安ツアー等をご利用されてトライされたらと思います。
壁紙の件、光栄です。恥ずかしいので小さ目でお使いください(^^;
ルリマダラ類の瑠璃色幻光は自然光下では光るアングルが限定されますが、ストロボ使用で、その範囲が拡大できるメリットがあります。ただ瑠璃色の色合いは自然光とは若干異なる場合もあるので、使用するか否かはその都度判断されたら良いと思います。
壁紙の件、光栄です。恥ずかしいので小さ目でお使いください(^^;
ルリマダラ類の瑠璃色幻光は自然光下では光るアングルが限定されますが、ストロボ使用で、その範囲が拡大できるメリットがあります。ただ瑠璃色の色合いは自然光とは若干異なる場合もあるので、使用するか否かはその都度判断されたら良いと思います。
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fanseab
at 2012-04-20 22:54
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naoggioさん、ルリモンはじめ、アキリデスはどこでもどんな種類でも存在感があります。例え尾状突起が切れていても後翅の瑠璃紋が保持されていればなおさらです。
センダングサは困った外来種ですが、台湾でも香港でも、この花で待機していれば、多くの蝶が舞い降りて来て失望はしないので、有用です。
センダングサは困った外来種ですが、台湾でも香港でも、この花で待機していれば、多くの蝶が舞い降りて来て失望はしないので、有用です。
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fanseab
at 2012-04-20 22:58
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Sippo5655さん、ルリモンの金緑色は日本のミヤマカラスとはまた異なる艶やかさがあります。
センダングサは本当に蝶が集まる花でして、未知の土地での蝶撮影をする場合、先ずセンダングサの群落を見つけることが大変大事です。
マダラチョウは舞っている姿を見とれているだけで癒されますね。ただ撮影は意外と難しくて、いつも悩まされる対象です。
センダングサは本当に蝶が集まる花でして、未知の土地での蝶撮影をする場合、先ずセンダングサの群落を見つけることが大変大事です。
マダラチョウは舞っている姿を見とれているだけで癒されますね。ただ撮影は意外と難しくて、いつも悩まされる対象です。
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himeoo27 at 2012-04-21 16:16
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thecla
at 2012-04-22 15:35
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fanseab
at 2012-04-22 21:31
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himeooさん、ツマムラサキマダラ画像に一票頂き有難うございます。このポイントは午前中、谷側から緩やかな上昇気流が発生していて、丁度マダラチョウがホバリング状態で花から花へと舞っています。ですので、飛翔は比較的楽に狙うことができました。ルリマダラ類の飛翔は広角だと、意外と敏感で逃げられやすいのですけど、望遠で狙うと楽に撮れることがあります。是非チャレンジしてみてください。
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fanseab
at 2012-04-22 21:35
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theclaさん、ルリモンについては、確か貴殿も香港で吸水画像を撮影されていたと思います。アジアのどこでもアキリデスの名品が棲んでいて、これらの撮影はアゲハ撮影の醍醐味ですね。
ツマムラサキマダラの飛翔は浮遊感が何とか出せたと思っております。
台湾、ビジネスの機会でも是非時間を作っておいでください。食いもんも旨いですよ!
ツマムラサキマダラの飛翔は浮遊感が何とか出せたと思っております。
台湾、ビジネスの機会でも是非時間を作っておいでください。食いもんも旨いですよ!