探蝶逍遥記

北海道遠征記(14)シジミチョウ類

 今回の北海道遠征で秘かに楽しみにしていたのが、ツバメシジミの♀でした。「エッ、なんでまたツバメシジミ?」と仰られる方もいるでしょう。わざわざ高いエアチケットを購入してツバメシジミを撮るなんて・・・との声も聞こえてきそうです。実は今回色々とお世話頂いた maedaさんのブログ を拝読するまで、管理人も注意を払う存在ではありませんでした。
 で、ツマキチョウ♀を撮影した場所から程近い草叢でブルー系のシジミが飛んでいるのを発見。先ずはシロツメクサに止まりました。                                                                          ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D90-85VR、ISO=400、F10-1/1000、-1.0EV、撮影年月日・時刻: 2011年6月24日、11時33分

 ここまでは何の変哲もない吸蜜シーンです。ところが、吸蜜を終えた後、期待した開翅シーンを撮ることができました。
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D90-85VR、ISO=200、F9-1/800、-1.0EV、撮影年月日・時刻: 2011年6月24日、11時33分

 翅全体に散りばめられた青い鱗粉、これが高いエアチケットを購入してまで撮ろうと思った絵だったのです。よく見ると前翅中室部分ではブルーが濃淡2色に塗り分けられている点がムチャお洒落だと思いました。ブルーの程度は様々らしいのですけど、他に飛んでいる個体もなく、これで打ち止めでした。

 さて、同じ日の朝方は雨降りの中、渓谷沿いにジョウザンシジミを探索しておりました。冷たい雨降りでは飛ぶ個体があるはずもなく、それらしき崖地で長竿をヤンワリと使って刺激を与えますが、蝶が飛び出す気配もありません。こりゃ、坊主かな・・・と諦めかけた時、タネツケバナにひっそりと閉翅している本種を発見できました。
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D7K-34、ISO=500、F9-1/1000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻: 2011年6月24日、9時26分

 前翅が一部欠損しておりますが、縁毛もまずまずの個体です。このデザインは何となくオオルリシジミを連想させますね。以前、阿蘇の草原で雨降りの中で草茎に止まって雨宿りをしているオオルリを思い出しました。次に85mmでのロングショット。
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D90-85VR、ISO=200、F8-1/1000、-0.7EV、撮影年月日・時刻: 2011年6月24日、9時36分

 実際の雰囲気はこの絵の通りで、背景に溶け込んで意外と発見しずらかったのでした。お次は広角で。
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GXR@5.1mm、ISO=200、F9.1-1/50、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影年月日・時刻: 2011年6月24日、9時41分

 ジョウザンの真下に見えている植物が食草のエゾキリンソウでしょうかね?この絵、崖地によじ登って撮影したのですけど、岩が雨で濡れて滑りやすく危うく滑落しそうになりました(^^; クロツも含めて崖地に棲む蝶撮影は本当に気を付けねばなりませんね。

 ジョウザンの次はリンゴシジミです。リンゴの食樹はバラ科。道内に自生しているエゾノウワミズザクラ・シウリザクラが本来のホストで、そこから食性転換して栽培用のスモモ等に転じたとされています。遠征の初日、23日は生憎の雨で仕方なくリンゴシジミのポイントを探すことにしました。先ずはエゾノウワミズザクラが生えているとされる河川敷をウロチョロしましたが、坊主。間違えやすいのはこの時期川沿いに咲いているアカシアの白い花でした。遠目にはウワミズザクラとそっくりなのですね。後で調べたら旭川周辺の低地では既に開花時期をとっくに過ぎていたようで、無駄な探索になりました。ウワミズザクラが駄目ならスモモ類を・・・と、廃村狙いで5箇所位を探索しました。ビニール傘を差しながらスモモらしき樹木を探し出し、長竿で叩く・・・。辛気臭い作業を続けていきます。傘を差していてもズボンはビショビショ状態に(^^; 結局この日の収穫はゼロでした。

 翌日24日と25日は別種の撮影・探索を実施、26-27日の両日はコマクサ平でのウスバキ撮影に没頭し、27日の午後、コマクサ平往復の疲れの残る中、再度リンゴの探索を実施しました。クジャクチョウ越冬個体が飛び交うある林道で、シウリザクラと思しき樹木を発見。
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D90-85VR、ISO=400、F13-1/80、-0.7EV、撮影年月日・時刻: 2011年6月27日、15時44分

 既に開花時期は終わっていて、核果が穂状に形成されています。この左手前の樹木の叩き出しを実施したところ、リンゴと思しき蝶影が飛び出し、画像の右手奥に消えていきました。
その後、層雲峡周辺でエザノウワミズザクラを探索し、ようやく発見できました。
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GXR@5.1mm、ISO=200、F5-1/80、-0.7EV、撮影年月日・時刻: 2011年6月27日、17時36分

 標高が高いので未だ咲いていてラッキーでした。念のためこれも叩き出ししましたが、坊主(^^: 更にまたまた今度は標高を下げて再度廃農家のスモモ狙いで探索を続けます。そうしてあるスモモを叩いた時、それらしき蝶影が飛び出しました。そのうちやや活発にまるでゼフのように樹上を舐めるように飛び始めました。単眼鏡で確認すると、ヤッター!リンゴです。何とか頭上近くに止まってくれました。よし!300mmで撮影しよう・・・と思ったら、生憎広角をつけています(^^; 慌てて車に取って引き返してきたのですが、リンゴは消えておりました。トホホでした。間もなく日が暮れてこの日は時間切れ。翌早朝、このポイントに直行し、叩き出しを行いますが、影も形もありません。おかしいな~と思ってフト下草を見ると、何と、リンゴが目の前にいるじゃぁないですか! 
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D90-85VR、ISO=400、F11-1/400、-0.7EV、撮影年月日・時刻: 2011年6月28日、6時48分

 前翅に楕円形性標があり♂でしょう。葉にほぼ平行に体を傾ける傾斜日光浴をしておりました。毛むくじゃらの翅基部、目元の表情は早春に出現するコツバメそっくりですね! 管理人はFixsenia属の観察経験があまりなく、他種でもこのような傾斜日光浴をするのかどうか?興味があるところです。この子の広角を撮影しようと不用意に接近したら逃げられてしまいました。その近辺にも2個体ほど下草で日光浴をしておりまして、知らずに飛ばしてしまい後悔することしきり。その後樹上に上がった個体は時々飛び出してはパトロール飛翔(探♀行動かも)して葉上で日光浴をしておりました。こんな恰好で筋肉痛にならないのでしょうか?
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D7K-34、ISO=800、F11-1/800、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻: 2011年6月28日、7時43分
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D7K-34、ISO=800、F11-1/800、-0.7EV、外部ストロボ、撮影年月日・時刻: 2011年6月28日、7時44分

 この後、また別のリンゴポイントを求めて探索。更にもう一カ所のポイントを発見できました。実質一日ちょっとの探索で数ポイントを発見できたので、リンゴもかなり広く浅く生息していることを確信しました。しかしいずれの生息地でも限られた樹木での発生ですので、過度の採集圧がかかれば存続が厳しいのが実情でしょう。優しく見守りたいものです。

 さて、ダラダラ更新してきたこの遠征記も今回が最終回です。北海道で撮影すべき種はまだまだ沢山残っております。いつか再訪して楽しみたいと思っております。今回遠征では特にブログ仲間のmaedaさんには大変お世話になりました。改めて御礼申し上げます。また現地でご指導・アドバイス・激励を頂いた多くの撮影仲間の皆様、有難うございました。この場を借りまして御礼申し上げます。  <おしまい>
by fanseab | 2012-03-22 23:25 | | Comments(14)
Commented by nomusan at 2012-03-23 05:32 x
いや~、これは朝からええもん見させて頂きました~。
北海道の青いツバメの♀、ええですねぇ~。
これはもう”べつもん”と言っていいですよねぇ。
ジョウザン画像も・・・あ、このポーズはオオルリでも・・と思ったら同様のことを書いておられたので嬉しくなりました(笑)。
リンゴの日光浴ポーズも、ええですねぇ・・・。
Commented by otto-N at 2012-03-23 09:16 x
夏でもツバメシジミのメスは、信じられないくらいの青鱗粉が載っていることは、私もmaedaさんの記事で知り、北海道で捜す楽しみの1つになっています。
ここまで青鱗ではないですが、東京でも、そろそろ出てくる季節。暖かい日に捜しにいっていますが、今年は少し遅いかもしれません。
リンゴシジミの撮影は難しいと聞いています。子供のころ、図鑑上だけのことで見たこともありませんでした。
ジョウザンシジミは結構いましたが(小樽地方)、今年はぜひ撮りたいです。
Commented by fanseab at 2012-03-23 21:15 x
nomusan、早朝からのコメント有難うございます。青ツバメ♀は仰る通り、”べつもん”ですな。「蒼燕蜆蝶」かな?ジョウザン画像、思わず貴殿にご案内頂いた阿蘇の光景が蘇りました。北方系の蝶に共通するデザインかもしれませんね。
リンゴのポーズも本当に面白かったです。
Commented by naoggio at 2012-03-23 21:17 x
すごいツバメシジミですねえ。こんななんですか。本当にビックリです。こうなると日本の美蝶ベスト10に入れたくなりますね。
ジョウザンもリンゴも見た事がありません。見てみたいです。
Commented by fanseab at 2012-03-23 21:18 x
otto-Nさん、晩秋に登場するヤマトの青♀も美しいですが、ツバメは尾状突起がある分、より華やかな感じがします。春先、内地でヤマトより先に登場するツバメ♀でも確かに青鱗粉が結構乗りますね。今年は小生も注目してみたいと思います。
リンゴは発生木を探し当てても、なかなか下に降りてくれないですね。朝方、吸水や日光浴に降りてくるタイミングが撮影には好適のようです。
Commented by fanseab at 2012-03-23 21:23 x
naoggioさん、蒼ツバメ♀は、日本の「隠れ美蝶」なるジャンルがあれば、ベスト3に入るのではないでしょうか?
ジョウザンは晴れていれば、開翅を拝めたのですが、次回以降の宿題になりました。リンゴはなかなか面白い生態を見せてくれました。生息地である廃農家あたりの風情はいかにも北海道らしく、ロマンを感じさせるシジミチョウですね。
Commented by cactuss at 2012-03-23 23:22
ツバメシジミの青雌はこちらのものとはまったく違いますね。
黒と青の配色が絶妙ですね。
ジョウザンシジミは教えてもらった場所でしょうか。まだ、新鮮ですね。
リンゴシジミは丁度、活動前のところを撮影できて良かったですね。
北海道ではご一緒できて、楽しかったです。ありがとうございました。
Commented by himeoo27 at 2012-03-24 18:04
確かに、北海道のツバメシジミの表翅の模様の変化面白いですね!
ジョウザンシジミには、全く出会ったことがないので、てっきりこちらの斑紋異常なのかな?とか思ってしまいました。
Commented by fanseab at 2012-03-24 18:05 x
cactussさん、ツバメ♀は本当に別種と思える位、違います。ジョウザンは例の場所です。リンゴは活動時間帯が読めずに苦労しました。カラスやミヤマカラスの生態が理解できていれば、それなりの対応ができたかもしれませんが、無知なもんで、手こずりました。
また、今年もどこかで撮影ご一緒できればいいですね。
Commented by fanseab at 2012-03-24 18:07 x
himeooさん、もしも北海道に5-6月頃遠征される際は是非ツバメ♀にトライしてみてください。ジョウザンは春型・夏型の表翅の斑紋変化等、色々と楽しめるシジミですね。小生も次回は表翅(開翅)狙いになります。
Commented by banyan10 at 2012-03-26 18:46
ツバメの青雌は関東でも綺麗ですが、ここまで青いと本当に別の蝶ですね。
リンゴも北海道で撮影したい蝶の1つですが、いつ行けるかなあ。
撮影時間などは参考になります。
Commented by fanseab at 2012-03-26 23:56 x
BANYANさん、こちら関東でどの程度の青♀がいるのか?チェックしたくなりました。リンゴは行くまで撮れるか不安でしたが、農家の庭に植えられ、放置されたスモモを徹底的に探しまくって、何とか探し当てた感じです。活動時間は小生も未だよく理解していませんが、夕刻に一つのピークがあることは事実だと思います。ただこの時間帯の撮影は厳しいかもしれません。
Commented by yoda-1 at 2012-03-28 12:34
北海道遠征お疲れまでした。成果が多くてよかったですね。
確かにここまで青色の載るツバメは関東では難しいような気がします。
カラスシジミの仲間は開翅しないので、おのずとこのような日光浴スタイルなるのでしょうが、画像でみたのは初めてであります。朝方気温の低い北海道ならではでしょうか?
Commented by fanseab at 2012-03-28 23:51 x
yoda-1さん、有難うございます。
お蔭様で念願のウスバキも撮れましたし、その他の特産種も撮れて満足しております。
ツバメ♀は大変魅力的でした。リンゴについては、内地のカラス、ミヤマカラス他で朝方の生態を確認・比較したいと思っております。
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