探蝶逍遥記

台湾遠征記:(8)11月21日後半その2

 ランチを取った後、これまで歩いてきた遊歩道から離れ、「榕蔭歩道」なる階段路を登っていくことにしました。ここは傾斜が25度を超え、数100mの階段直登を強いられます。その歩道脇に出ていた看板がコレ。
                                                                                          ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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GXR@5.1mm、ISO=100、F3.1-1/90、-0.7EV、撮影年月日・時刻: 2011年11月21日、12時28分

 何やら某ブログ仲間のハンドルネームが記載されています(笑) 当該管理人に無断でちょっと解説を加えます。Banyan(tree)とは東南アジアに広く分布するクワ科イチジク属(Ficus)の総称で、枝から気根と呼ばれる根が地上に向かって伸びていく特徴があり、遠目に見ると長いヒゲを生やしたような独特な樹相になるのです。漢字としては「榕樹」が当てられており、沖縄で有名な「ガジュマル」もこの一群に属します。枝が水平方向に張り出すため、熱帯域では快適な木蔭を作るため街路樹としても重宝されております。これが「榕蔭歩道」にあるBanyan treeの一例(Ficus benjamina)です。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F3.1-1/90、-0.7EV、撮影年月日・時刻: 2011年11月24日、8時18分

 そのBanyan treeの木陰でひっそりとヒメアサギマダラ(Parantica aglea maghaba)♂が休んでいるのが印象的でした。
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D7K-34、ISO=500、F11-1/160、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻: 12時40分

 さて、階段路の両側にはセンダングサが繁茂する草地もあって、ここで待機していると、多数の蝶が舞ってくれました。最初は台湾特産種のホリシャミスジ(Neptis taiwana)♀。
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D7K-34、ISO=500、F11-1/640、-0.7EV、撮影時刻: 12時52分

 サイズはミスジチョウ(N.philyra)とほぼ同じ。南アジアではこのような中型Neptisが少ないだけに出会うととても興奮してしまいます。やはり東アジアの香りがするNeptisだと思いました。因みにこのホリシャミスジの食樹はクスノキ科(Machilas thunbergii等)。クスノキ科をホストとするタテハチョウは極めて稀で、その意味では極珍品とも言えそうです。草地が丁度途切れる辺りで、歩道の傾斜がきつくなったので、これ以上登るのは諦めて一休みします。すると林縁に灰色のシジミチョウが舞っています。Jamidesの♀あたりだろう?と思い、静止したのを確認すると、何と管理人初見のシロモンクロシジミ(Spalgis epius dilama)の♀でした。
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D90-85VR、ISO=400、F9-1/250、-0.7EV、撮影時刻: 13時01分

 ご存じの通り、国内でも八重山群島で採集されているシジミで、蛹が人面に見えることで有名です。本種が属するアシナガシジミ亜科はいずれも陰気な暗い環境下で見つかることが多いと思いますが、こんな陽光に恵まれた林縁に出現するとはちょっと意外でした。ここから階段を下っていく途中で、センダングサに淡いブルーのシジミが高速で飛翔しております。吸蜜時に確認するとウスアオオナガウラナミシジミ(Catocrysops panormus exiguus)♂でした。
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D90-85VR、ISO=200、F9-1/200、-0.7EV、撮影時刻: 13時23分

 吸水によく来る印象の強いシジミで、吸蜜シーンはこれが初撮影になります。ド完品個体翅表の淡いブルーはとにかく綺麗でした。ウスアオオナガが舞っていたポイント風景もご紹介しておきましょう。
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D7K-10.5、ISO=500、F11-1/125、-0.7EV、撮影時刻: 13時10分

 相当な急傾斜地で、視野中央やや上に知本温泉方向の街並みが望めます。画面右手にあるセンダングサでコミスジ位のミスジが飛んでおりました。センダングサを掻き分けて吸蜜シーンを斜め上30度開翅半逆光で撮影。
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D90-85VR、ISO=200、F9-1/200、-0.3EV、撮影時刻: 13時27分

 コミスジ(N.sappho)に似たNeptis属(前翅中室の白色棍棒状紋が筆のように途中で途切れるタイプ)が台湾には5種生息しますが、斑紋を詳細に検討した結果、スズキミスジ(Neptis soma tayalina)♂と判定しました。ここにはPapilioも飛んでおりましたが、最も撮りたかったオナシモンキアゲハ(P.castor formosanus)♂の飛翔です。
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D7K-10.5(トリミング)、ISO=200、F8-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻: 13時28分

 少しボロ品ですが、何せ本種は管理人初撮影。尾状突起が欠落したモンキアゲハと見分けがつきにくいですが、後翅白斑の並び方がモンキやシロオビモンキとは異なりますし、胴体に白点列があるのが特徴だと思います。最後はコモンタイマイの吸蜜シーン。
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D90-85VR、ISO=200、F3.8-1/1000、-0.3EV、撮影時刻: 13時29分

 午前中に出会った個体よりもちょっぴり緩慢でしたので、85mmマクロで撮影できました。雰囲気は一番良い出来ですが、絞り開放では流石にピンが甘く、肝心の複眼がピンボケでちょっとガッカリです。
<次回に続く>
by fanseab | 2012-03-02 22:23 | | Comments(4)
Commented by himeoo27 at 2012-03-03 08:04
シロモンクロシジミの繊細な裏面の模様素敵だし、
アオオナガウラナミシジミの表翅の淡い水色の煌めき良いなあ~
コモンタイマイのステンドグラスのような緑色の透過光
どれもこれも溜息をつきながら愉しみました。
Commented by fanseab at 2012-03-04 00:12 x
himeooさん、シロモンクロの仲間の裏面はいずれも特徴の無い斑紋なんですが、♀は複眼が相当に小さくて異質な感じです。ウスアオオナガの表翅のブルーは独特で一度見たら忘れられませんよ。仰る通り、Graphiumはステンドグラスのように斑紋を写すのが定石ですが、もう少し陽射しが強いと良かったと思います。
Commented by naoggio at 2012-03-04 23:27 x
ウスアオオナガウラナミのブルー、不思議な色ですね。
裏面はシンプルでクマソの低温期型を思い出します。
オナシモンキの飛翔、お見事です。
Commented by fanseab at 2012-03-05 21:54 x
naoggioさん、ウスアオはその和名通りのブルーですけど、抜けたようにスッキリとした淡いブルーと言いましょうか、独特な感じです。やや大き目のシジミですが、この表翅が明るいせいで、実際のサイズ以上に大きく感じられます。
このポイントでの飛翔は傾斜地故、結構苦労いたしました。オナジモンキ以外にツマベニも撮りましたが、そちらは全滅でした(^^;
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