探蝶逍遥記

ゼフ越冬卵撮影その5(2月11日)

 オオミスジ越冬幼虫のリベンジを兼ねて、また山梨に遠征です。前回探索の反省から、群落状のウメではなく、孤立した発生木で調査をする目論見で探してみました。10年程前、銀塩時代に発生していたスモモの木を訪れてみました。結構この株も剪定されておりまして、結局坊主。この株の脇はその昔、オオムラサキ♂が15頭ほど樹液に群れていた台場クヌギのポイントでしたが、驚いたことに、その林の一角が見事に伐採されておりました。丁度切り株を切断作業されていた方がおりましたので、話をお聞きすると、①つい最近伐採作業が実施された。②伐採されたクヌギはシイタケの榾木として利用され、残りは薪ストーブ用として売れるので、自分はその薪造りをしている・・・とのこと。なるほど、本来台場クヌギが形成されるのは、以上のような薪炭・シイタケ栽培で人為的行為が継続的に実施された結果でしたので、このポイントは理想的な里山(雑木林)形成が続いていることになります。折角ですので、この作業者にお断りして伐採されたクヌギの枝先をチェックすることに。狙い目はクロミドリシジミの越冬卵。しかし、枝先部分はどこかに処分されたのか、数も少なく結果は坊主(^^; 見つけたのは同じ鱗翅目でも蛾の越冬卵(^^)                +横位置画像はクリックで拡大されます++
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GXR@5.1mm、ISO=100、F9.1-1/200、-0.7EV、撮影時刻:10時22分
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GXR@5.1mm、ISO=100、F9.1-1/250、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時23分

 タケカレハ(Euthrix albomaculata directa) に似ていますが、大きさが全く異なります。塔頂部の模様はクスサン(Caligula japonica)にも似ていますが、側面は「Uの字型模様」でちょっと違うような。。。。本越冬卵についてどなたかご教示頂けると幸いです。

※chochoensisさんより、これは「アオクチブトカメムシ(Dinorhynchus dybowskyi) 」の越冬卵とのご指摘を頂きました。chochoensisさん、本当に有難うございました。鱗翅目越冬卵と信じて疑わなかった管理人には目から鱗でした。

 この近くの沢筋でメスアカミドリとウラゴを探索するもこれまた坊主。見つけたのはイボタの木についていたこれ。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F2.5-1/60、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:9時49分

 クスサンの羽化殻付繭です。スカシダワラとも言いますね。9-10月に成虫が羽化するので、文字通り、蛻の殻。ウラゴは苦戦しております(^^)

 この後、場所を移動して前回探索を行ったクヌギ林の伐採地に向かい、ここでもクロミドリシジミの越冬卵探索。クロミが好みそうな巨木、それも成虫発生を確認していた株の伐採現場は貴重なので、もう一度丹念に調べてみようという魂胆です。探索開始後、30分。休眠芽基部にゼフ卵を発見。ヤッター! 魚露目で記念撮影(笑)
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D90-1855VR@55mm-gy8(トリミング)、ISO=200、F29-1/125、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻: 12時24分

 次に拡大システムで撮影しようとファインダーを覗いてビックリ!どうも目的のクロミドリではなく、想定外のアイノミドリシジミの越冬卵でした!
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D7K-85VR-24R(トリミング+4コマ深度合成処理)、ISO=200、F29-1/320~1/500、-0.7EV~-1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時33分

 アイノ越冬卵はメスアカと並んで山地性ゼフの中では独特な造形美を有しており、撮影したいトップランキングの対象でしたが、メスアカよりも難易度が高そうで、来シーズン以降の課題だろうと思っておりました。また管理人はこのポイント近傍にかれこれ4シーズン通っていますが、「緑色に輝く」ゼフとしてはオオミドリしか遭遇しておらず、アイノは全くの想定外。というか標高がアイノの生息にはちょっと低すぎるでのは?と勝手に想像していたのです。今シーズンは少し考えを改めて成虫探索をせねばなりません。

 さて、アイノ越冬卵にはまるでタービンブレードのような襞模様が一面に施されています。この微構造の表情は撮影アングルによって微妙に変化します。
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D7K-85VR-24R(トリミング+4コマ深度合成処理)、ISO=200、F29-1/320~1/500、-0.7EV~-1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時42分
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D7K-85VR-24R(トリミング+3コマ深度合成処理)、ISO=200、F29-1/320~1/500、-0.7EV~-1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時30分

 特に3枚目のように側面から写すとアイノの特徴が上手く表現できませんね。ただ、タービンブレード状の襞が上下方向に連続する構造であることが、このアングルからのみ読み取れます。
 アイノ発見で急に元気が出た管理人は菓子パン2個のランチを済ませた後、再度越冬卵探索です。二重チェックの無駄を避けるため、確認したクヌギの枝先を折って捨て、区別していきます。そうして更に30分程度して、今度はかなり小さ目の越冬卵を発見。
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D90-1855VR@55mm-gy8(トリミング)、ISO=200、F29-1/80、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻: 14時23分

 ルーペで確認すると、ミクロパイルの周辺に白い縁取りがあり、目的としていたクロミドリシジミの越冬卵でした!!念願の拡大像です。
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D7K-85VR-24R(トリミング+5コマ深度合成処理)、ISO=200、F29-1/500~1/640、-1.0EV~-1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時58分

 オオミドリによく似ていますが、棘皮の長さはオオミドリより相対的に長い感じがしますね。また、直径はオオミドリより遥かに小さい感覚で、危うく見逃すところでした。アイノのように休眠芽基部に産んでいるならともかく、芽から少し離れた部位だと少しわかりにくくなります。クヌギの枝先表面には白い斑点が沢山あって間際らしいものですから。最後に越冬卵の大きさ比較をするべく、同一引き伸ばし倍率で、アイノ、オオミドリ、クロミドリの比較画像をご紹介しましょう。
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 オオミドリとクロミドリの大小関係がよく理解できると思います。とにかく、この日は伐採林で粘った甲斐がありました。この後、以前蛹殻を発見したウメ群落を訪れ、再度オオミスジ幼虫探索をしましたが、残念ながらここも坊主に終わりました。こちらの群落は未だ枝先剪定が終了しておらず、少なからぬ期待をかけていたのでガッカリでした。次回はアイノとよく似た微構造を有するメスアカミドリシジミの越冬卵を撮影したいと思っております。

<訃報>
 アイノの越冬卵を撮影した翌日、なにげなく見たニュースでホイットニーヒューストンの訃報を知りました。管理人は黒人女性ボーカリスト、特にバラードを上手く歌う歌手が好みですが、彼女は最大のお気に入り。いつも撮影に向かう車中で彼女の歌を聴きながら、撮影前の意欲を高めたり、目論見の種が坊主に終わった時の悔しさを彼女の歌で慰められたり・・・、黒人独特のソウルフルな節回しがどんなに管理人の心を癒したことでしょう。
♪ I believe the children are our are future
Teach them well and let them lead the way
Show them all the beauty they possess inside
・・・ ♪
 まだ48歳、できればライブで彼女の歌声が聴きたいな~と思っておりましたが、叶わぬ夢となりました。ただただ、合掌。
by fanseab | 2012-02-13 20:56 | | Comments(16)
Commented by himeoo27 at 2012-02-13 21:04
アイノミドリ卵素敵ですね~!!画像を見るだけでその感動がビンビン伝わってきました。
私はミズイロオナガのあの独特の形状の卵に憧れていますが、まだ野外では遭遇していません。
Commented by fanseab at 2012-02-13 22:06 x
himeooさん、ゼフの越冬卵は種類ごとに特徴がありますが、まんじゅうタイプでない種類は本当に見事な造形の妙を感じます。アイノは憧れの対象でしたので素直に嬉しかったです。自然状態では木登りでもしないと採卵できそうもなく、伐採地で撮影する以外に方法がないのだと思います。
早くミズイロオナガ越冬卵に出会えるといいですね。
Commented by konty33 at 2012-02-13 22:30
ゼフの卵はどれも大変素晴らしく撮影されていますね。
画像処理の効果もさることながら、丁寧な撮影をされているfanseabさんの様子が画像を通して伝わってきます。
kontyも地元で探していますが見つかりませんので大変羨ましく拝見しました。
Commented by banyan10 at 2012-02-13 23:13
連続で山梨遠征ですね。
アイノ、クロミドリと高い位置の越冬卵は難関ですが、1日で両方ゲットはすごいですね。こちらも、あとアイノが見つかれば最高と言っていたのですが、見つかりませんでした。
越冬卵は成虫を見たことない場所でも見つかるので面白いですね。
また、アイノのように溝が深いと深度合成も難しい気がしますが、見事ですね。
Commented by 虫林 at 2012-02-14 06:52 x
クヌギでのアイノは初めてみました。あのあたりは、ミズナラでアイノの越冬卵を見つけていました。大変興味深く貴重な観察です。
クロミドリの越冬卵の発見、おめでとう御座います。粘り勝ちですね。
ご苦労様でした。
Commented by fanseab at 2012-02-14 22:34 x
kontyさん、コメント有難うございます。
何とか拡大システムの運用も軌道に乗ってきて、卵を探す作業に注力できるようになりました。慣れとは恐ろしいもので、何となく越冬卵を探せるスピードがちょっぴり速くなったような・・・。
クロミは愛知県にも生息しておりますし、クヌギの伐採地で頑張れば何とかなるかもしれませんよ。
Commented by fanseab at 2012-02-14 22:38 x
BANYANさん、一日違いで全く同じような目的で探索されていたのですね。アイノはともかく、アカやウラナミアカあたりは何とかしたいと思っているのですが、結構難物ですね。
そうなんです。今回アイノの卵を見つけても、成虫を観察できるとは限らないですよね。でも何とか撮ってみたいです。深度合成は卵の構造の複雑さ以外に合成を失敗する要因がありそうですが、まだ把握できておらず、試行錯誤が続いております(^^;
Commented by fanseab at 2012-02-14 22:42 x
虫林さん、日曜日にご一緒できれば最高でしたが・・・。オオミスジはもうちょい頑張ってみたいと思っております。ミズナラの伐採地は未だ出会っていませんが、どこかでウラミスジを発見できればいいなぁ~と思っております。
クロミドリは目ぼしを付けた発生木で越冬卵を見つけたのでホッとしましたが、肝心の木が伐り倒されたので、複雑な心境です。
Commented by yoda-1 at 2012-02-15 07:28
自力での成果の数々、素晴らしいです。
蛾の卵の塊がなんとも、自然を感じいってしまいます。なにか、生き物の冬ごもりの暖かさのようなものが画像からしのばれるような。蛾の卵図鑑とか、YODA存命中には発刊されそうにないですが、これだけ個性があると、どの種類なのか知りたいですよね。
クヌギにアイノミドリという貴重な組合せ。やはり雑木林を日本国内に再生させていきたくなりました。
Commented by naoggio at 2012-02-15 14:12 x
昨日は余計なお手間をとらせてしまい失礼致しました。
また早速の返信メールありがとうございました。
ホイットニーさんのご冥福をお祈り申し上げます。
Commented by chochoensis at 2012-02-15 14:33
fanseabさん、=越冬卵撮影=素晴らしい成果ですね!!!素敵です。それと、並んだ=卵=ですが、「カメムシ」の卵のようです。小生の2007-1-22 「アオクチブトカメムシ」 と比較してください・・・。
Commented by banyan10 at 2012-02-15 17:46
ウラミスジですが、ミズナラもあるのでしょうがコナラに多いようです。
栃木では低い場所でも多数見つかっていますので、伐採林でなくても見つかると思います。
Commented by fanseab at 2012-02-15 21:04 x
yoda-1さん、コメント有難うございます。
冒頭の未同定の越冬卵は蛾ではなく、カメムシの卵と判明しました。昆虫の世界は実に多様性があると思った次第です。雑木林はどこでも放置されている現状かと思いますが、場所によっては本来の管理がなされていることを知り、少しは安心いたしました。
Commented by fanseab at 2012-02-15 21:08 x
naoggioさん、とんでもございません。
こちらこそお手数をおかけしました。
Whitneyについては、本当に惜しい人を。。。
Commented by fanseab at 2012-02-15 21:10 x
chochoensisさん、コメント有難うございます。
また、「アオクチブトカメムシ」とのご指摘大変感謝いたします。まさか、カメムシの越冬卵とは想定外でした。これからもよろしくご指導下さい。
Commented by fanseab at 2012-02-15 21:11 x
BANYANさん、重ねてのコメント感謝いたします。そうですか、コナラの低い場所でもOKですか?チャンスがあれば是非見つけたくなりました。
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