探蝶逍遥記

ゼフ越冬卵撮影その4(2月4日)

 今年初の山梨遠征です。目的の一つはオオミスジの越冬幼虫探索。現地8時10分着。甲府盆地の朝は冷え込みますが、快晴無風でコンディションは良好です。澄み切った冬空にヒヨドリの甲高い囀りが響き渡ります。いつもオオミスジ♂が探♀飛翔をしている梅の木群落で探索開始。およそ1時間かけて20株ほど丹念に探しましたが坊主(^^; ちょっとガッカリです。この後、ポイントを変えて小群落でも探索するも、ここもヌル。流石に気落ちいたしました。ちょっと気になったのは最近剪定されたと思われる小枝の束が沢山置かれていたこと。で、その剪定枝も検しましたが、それでも発見できませんでした。ただ、探索の途中で色々と面白いものが見つかります。最初はユニコーンを思わせる物体。                                          ++画像はクリックで拡大されます++
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GXR@5.1mm、ISO=100、F4.6-1/1600、-0.7EV、撮影時刻: 8時59分

 どうやらモモスズメ(Marumba gaschkewitschii echephron)の幼虫のミイラのようです。尾端突起の位置と体のバランスから考えると終齢幼虫のミイラではなくて、中齢あたりでしょうか? お次は百舌鳥の速贄。
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D90-1855VR@55mm-gy8(トリミング)、ISO=200、F29-1/40、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻: 9時26分

 犠牲者はツチイナゴかな? モズが冬空に残してくれたオブジェのようです。しかし、このような速贄の回収利用率はどの程度なんでしょうね。最近物忘れの激しくなった管理人ですけど、モズは自ら作成した速贄の在処を忘れてしまうことはないのでしょうか? この他、イラガの繭だとか、梅の木には色々な宝物がありました。このところの寒気のせいで梅の開花は遅れていて、発見の有無は別にして幼虫探索は楽でした。一旦開花すると、梅の花弁が探索の邪魔になると考えておりまして、できれば開花前にもう一回チャレンジしたいと思っております。

 ポットに入れた温かいティーラッテで一息入れた後、ゼフの越冬卵探索に切り替えました。クロミドリシジミの発生木を訪れると、何とその発生木含め20m四方が完全に伐採されておりました。ガッカリですが、気持ちを切り替えて伐採されたクヌギの休眠芽に目を凝らしながらクロミドリ越冬卵を探します。しかし、素人の悲しさ、20分程で諦めました。少し場所を変えてミズイロオナガの個体数が多いポイントで越冬卵探索。先ずはオオミドリの越冬卵を1卵発見。撮影は後回しにして、その僅か2m離れたコナラの実生(高さ1.5m程度)の小枝分岐でやっと、ミズイロオナガシジミの越冬卵を発見です。ヤッター!先ずは魚露目で環境描写。
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D90-1855VR@55mm-gy8(トリミング)、ISO=200、F25-1/80、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻: 12時02分

 教科書に書いてある通り、枝分岐部の少し窪んだ箇所に産み付けられています。想定していたより小さい卵でウッカリ見逃すところでした。魚露目画像でもこの越冬卵の特徴である、太い突起構造が確認できます。そして拡大画像です。
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D7K-85VR-24R(トリミング+深度合成処理)、ISO=200、F22-1/320~1/500、-0.7EV~-1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時18分

 合成コマ数は3枚。撮りたかった対象がゲットできてヤレヤレです。画質には満足しております。甘党の管理人はどうしても上質な砂糖細工のように見立ててしまいます(^^) この後、先ほど発見したオオミドリシジミの越冬卵を撮影。
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D7K-85VR-24R(トリミング+深度合成処理:3枚)、ISO=200、F29-1/320~1/400、-0.7EV~-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時23分

 これまで撮影した同種越冬卵の画像の中では、表面の汚染が最も少なく綺麗に撮ることができました。成果が出たので、気分が良く次の目標、オナガシジミの越冬卵を撮影するべく場所を移動します。渓谷沿いのポイントに到着して探索しますが、葉が落ちたポイントの風景は夏場とすっかり様相が変わっています。オニグルミの枝を引っ張り降ろして休眠芽をチェックしてきます。もちろんオナガの越冬卵探索も初体験の管理人ですので、どんな枝先が好まれるのか?サッパリ不明、なかなか発見できません。諦めて撤収寸前になって、それまでチェックしていたより幹が太く、枝が水平方向に長く張り出した株でチェックしてみると、ヤッター! ようやく1卵発見できました。コンデジ広角での環境描写です。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F9.1-1/90、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻: 14時58分

 画面左側に見えている枝振りの良い株から枝先を引っ張り降ろして撮影しております。卵は北向きに産み付けられております。オナガの越冬卵も想像していたより小さいですが、白いのでよく目立ちます。次に拡大像です。
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D7K-85VR-24R(トリミング+深度合成処理)、ISO=200、F25-1/320~1/500、-1.0EV~-1.3EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時42分

 合成枚数は4コマ。この冬の一大目標にしていた撮影対象なので、感激も一入でした。表面の壁が正六角形のブロックで構成され、壁から垂直上方に延びる突起は正三角柱をアレンジしたような独特な構造です。結晶学的にみたら全体に「三回対称性」の香りがしますね。また、卵の左側に「卵座」と呼ばれる糊状物質が見えています。今回は照射に使用したリングストロボにちょっと改造をしてみました。管理人の使用しているリングストロボには複数の発光体がついているのですけど、各々の発光体を独立に光らすことはできません(市販品には左右一対の発光体を独立発光させる機構もありますが)。そこでリング全周の1/2のみ発光するように加工して、斜光線で撮影対象に陰影感を出せるように今回工夫してみました。特にミズイロオナガやオナガ越冬卵のように「彫の深い」表面構造を写すにはフラットな照明は不利と考えたからです。今回撮影した作例を見る限り、この作戦は成功したと勝手に思っております。

 また前回の記事で、「回折ボケを防止する目的で本来は絞り込み過ぎずに撮影するべき・・・」とコメントしましたが、今回ちょっとその検証としてやや浅めに絞ったF=16でテスト撮影を試みました。これがその画像。
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D7K-85VR-24R(トリミング+深度合成処理:4枚)、ISO=200、F16-1/320~1/400、-0.7EV~-1.0EV、外部ストロボ、撮影時刻:14時45分

 焦点深度が浅いことに起因するのか、合成も不調で不規則なピンボケ部分が認められます。それよりなにより問題なのが、突起周辺に青く出る色収差です。特に元画像で見ると、この色収差は甚大です。まるでクリスタルガラスのような透明感のあるオナガ卵の微細構造を表現する際、色の滲みは致命的な欠陥になります。どうやら、浅く絞った時は(色収差によるボケ)>(小絞りによる回折ボケ)の図式が成り立って、深く絞り込んだ方が有利な気がしてきました。この辺の事情はStacked lens法特有の制約条件なのかもしれません。

 ところで、この日は立春。心持ち寒さが緩んだ感じがしました。甲府盆地からは壁のように聳え立つ甲斐駒を望むことができました(画面右手:左は鳳凰三山の一角、地蔵岳)。
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D7K-85VR、ISO=100、F11-1/640、-1.3EV、撮影時刻:12時55分

 夏場は頂上付近が雲に隠されることが多いのですけど、空が澄む冬場は甲斐駒を間近に見るチャンスですね。ゼフ越冬卵については、次回、何とかメスアカミドリにチャレンジしたいと思っております。
by fanseab | 2012-02-06 21:25 | | Comments(10)
Commented by banyan10 at 2012-02-06 22:34
僕は大部分を案内していただいていますが、自分で探して見つけるのは見事ですね。
ミズイロオナガは独特の形状なので拡大して撮り直したいのですが、なかなか見つかりません。
オナガは透き通るような白で綺麗ですよね。
Commented by 虫林 at 2012-02-06 23:32 x
お近くにこられていたのですね。ご苦労様でした。
でも、さすがに越冬卵は、次々に発見され、さらに綺麗に撮影されているので驚きました。素晴らしいの一言です。
Commented by yoda-1 at 2012-02-07 04:58
自力で発見されているとはもう驚嘆であります。
いかもこれだけの種類を。
YODAも、次のターゲットはこの独自形状のミズイロオナガです。
ハヤニエもなかなか見つからないのですが、素晴らしいですね。ああやって干しておくとぐっと美味しくなるそうです(?)
Commented by fanseab at 2012-02-07 21:11 x
BANYANさん、ミズイロオナガなど、成虫は簡単に見つけられても越冬卵は発見が厳しいですね。でも見つけた時は普通種ゼフでも極珍品を得た感動を味わえるのが、越冬卵探索の醍醐味ですね。オナガは期待していた通り、構造美にウットリしてしまいました。
Commented by fanseab at 2012-02-07 21:14 x
虫林さん、当日ご近所を出没しておりました。ご挨拶もせず失礼いたしました。ようやくですが、オオミドリは感覚的に居そうな枝が理解できるようになりました。ミズイロオナガのポイントはウラナミアカも多いので、次回オオミスジ幼虫探索の際に何とかウラナミアカも見つけたいものです。
Commented by fanseab at 2012-02-07 21:16 x
yoda-1さん、ゼフ越冬卵探しは嵌ると楽しいもんですね。もちろんスキー場まで出かけてジョウザン等を探そうとは思いませんが・・・。今年は百舌鳥の速贄に出会うことが多いです。とにかく葉の落ちた枝を物欲しそうに?物色していると、夏場には気が付かないものが一杯付いているものですね。
Commented by naoggio at 2012-02-08 22:10 x
本当にユニコーン、それもクジラ目のイッカクにそっくりですね。色まで似てます。
ミズイロオナガ卵にオナガ卵まで、大収穫ですね。
どちらもルーペで見るくらいしかした事がないのでこの画像は感動的でした。
深度合成はどのようなソフトをお使いなのかわかりませんが全く境目がわかりません。コンピューターが名人棋士を打ち負かす時代とはいえすごいものです。
Commented by fanseab at 2012-02-08 22:37 x
naoggioさん、冒頭のミイラは最初、何かの蛹と思いました。ネットで調べてようやくスズメガ幼虫のなれの果てであることが判明しました。
ミズイロオナガ&オナガは共に造形的に憧れていたので発見時は興奮しました。使用している深度合成ソフトは1/14の記事でご紹介しておりますが、実は元画像を撮る手間よりも合成に寄与させる元画像をどう選択するか?の手間が大変かかります。合成処理時間は僅か90秒で完了しますが、合成失敗の山を築いてしまい一苦労なのです。合成が成功した時は本当に境目も目立たず、よくできたソフトだと思います。
Commented by himeoo27 at 2012-02-12 09:06
ゼフ卵の中でも、ミズイロオナガシジミの卵は野外観察したいトップです。この形状良いですね~!!!
Commented by fanseab at 2012-02-13 00:12 x
himeooさん、お陰様で小生も撮りたかったミズイロオナガをゲットできました。この形状は独特で、一度見たら忘れられませんね!貴殿も是非探してみて下さい。
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