探蝶逍遥記

ゼフ越冬卵撮影その3(1月29日)

  前回(1月14日)記事の続編です。今回は前面側レンズをシグマの28mmF1.8(PENTAX用)から同じシグマの24mmF1.8(NIKON用)に切り替えてのテストです。シグマの24mmは飛翔撮影用として愛用しているレンズですが、相当重いのが玉に傷。これにリングストロボを付けると以下の通りの重装備になります。                                                                                       ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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GXR@5.1mm

 ボディを含めた全体重量は普段愛用している300mmF4レンズ使用と同程度です。この重さでレンズ前面数cmにある、極薄の合焦域に直径1mm弱のゼフ越冬卵を捉えねばなりません。室内での予察テストでは、色収差が28mmF1.8より優れていたので期待して撮影に臨みました。最初は前回も登場したミドリシジミの4卵塊。
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D7K-85VR-24R(トリミング+深度合成処理)、ISO=400、F29-1/400~1/500、-0.3EV~-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時36分

 合成に寄与させた画像は3枚。色収差は思ったより出現していますが、元画像で見る限り光軸中心から離れた領域では全般に改善されています。一方、解像度は28mmよりやや良い程度で劇的に改善した訳ではありません。前回はあまり気にしていなかったのですけど、下の3卵の脇を橋渡しするように粘着性物質が見えています。母蝶が産卵する際、樹肌と接着するべく糊状物質を塗布することが知られていて、その塗布の名残かもしれません。

 さて、今回は何とかアカシジミ(もしくはウラナミアカ)の越冬卵を撮影したいものだ・・・と寒空の中(この日、午前中は全く陽射しが無く本当に寒かったです!)、うろつきました。そんな折、クヌギ幼木の休眠頂芽に怪しい物体を発見。
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GXR@5.1mm、ISO=160、F8.1-1/50、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:9時05分 
 
 ついに発見したか~!と、ぬか喜びしましたが、ルーペで検したら、明らかに越冬卵ではありませんでした。これだから素人の探索は苦労します(^^;  ネットで見る限り、アカシジミ越冬卵の色調は表面をゴミで隠蔽工作するにしても、灰色を基本とするようで、↑の絵のような黄褐色ではないようです。ガッカリしながらも更に探索を続けていくと、コナラの細枝上にオオミドリの越冬卵を発見。魚露目で周辺環境を写し込んでみました。
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D7K-1855VR@55mm-gy8(トリミング)、ISO=400、F22-1/50、-0.7EV、内蔵ストロボ+外部ストロボスレーブ増灯、撮影時刻:11時21分

 前回発見したのと異なり、枝の分岐ではなく側芽脇に産み付けられています。この越冬卵を拡大撮影システムで撮ろうと難儀しましたが結局撮影できず。足元が崖地になっていて一脚も上手く固定できず断念しました。何とかオオミドリを新レンズシステムで撮り直したいと思い、更に探索を続けると、コナラのひこばえ分岐部付近に合計3卵を発見。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F7.2-1/90、-1.3EV、内蔵ストロボ+外部ストロボスレーブ増灯、撮影時刻:12時28分

 中央付近に2卵、その左上に1卵見えています。左上の1卵を拡大してみました。
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D7K-85VR-24R(トリミング+深度合成処理)、ISO=400、F29-1/250~1/320、-0.3EV~-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時48分

 この事例では元画像4枚で合成。前回の反省からミクロパイルを真上から望む構図で撮ってみました。結果、色収差も殆ど出ず、出来栄えはいいのですけど、どうも棘皮の形状が崩れていて見栄えがしません。結局、オオミドリ越冬卵の画像としては前回の作例の方がベターでした。今回も含め拡大撮影では色収差に悩まされました。レンズの色収差は通常のマクロ撮影では先ず問題になりません。それは当然の話で、現在のレンズ光学では諸収差を完璧に軽減する計算に基づいて設計・製作されているからです。ただ、拡大撮影システムでは異種レンズを無理やり結合させている訳で、色収差が出るのも無理からぬことです。従ってStacked lens法では無限にあるレンズ系の組み合わせから諸収差が最小となるペアを探し出すことが重要なポイントです。と言っても我々アマチュアの手持ちレンズは限られている訳でして、今回得られた画像がまぁ、管理人としてはそろそろ限界なのかもしれません。

 ところで、前回含め撮影時の絞り値はF=29とほぼ最少絞りに設定しています。ここまで絞り込むと所謂「小絞りボケ(回折ボケ)」が生じるとされています。本来はF=8程度で撮影し、合成枚数をn=15枚程度で合成をかけるのが最高解像度を得るには合理的です。しかし、前回と今回の経験を踏まえると、とても野外の手持ち撮影元画像でn=10枚以上の合成は不可能です。せいぜい多くてn=5枚が限界でしょう。したがって回折ボケを生じることは承知の上でギリギリ絞り込んで撮影しております。センサーサイズの小さいコンデジでは同一絞り値でも焦点深度が深いことが知られています。上記回折ボケ回避の点からもコンデジは有利な訳で、APSサイズセンサー一眼で変に頑張るよりはエレガントなのですね。

 以上、ダラダラと述べましたが、今回の探索でオオミドリシジミは合計6卵(正常卵4、寄生卵2)を発見できました。ようやくオオミドリのお母さんの気持ちが理解できたような気がします。しかし、ミズイロオナガやアカ・ウラナミアカの母蝶の思いを汲むまでには更なる修行が必要なようです。また機会があったら山地性ゼフ、とりわけ造形的に素晴らしいオナガかメスアカミドリの越冬卵を拡大撮影してみたいものです。
by fanseab | 2012-01-31 22:47 | | Comments(4)
Commented by naoggio at 2012-02-01 13:42 x
スタックドレンズ法ですと確かに大変な重装備感が漂いますね。でも面白そうなのでいつか試してみたいです。
28mmの時と並べてみて見ると明らかに画質が向上しているように見えます。
下の3個をつないでいる粘液のようなものはやはり接着剤でしょうかね?
上の卵の黒点はゴミでしょうか、それとも寄生穴?
オオミドリ卵はこの細かくも荒々しいトゲトゲが独特で、これはこれでなかなかだと思います。
ミクロバイルというのはてっぺんの凹みの事ですか?
Commented by banyan10 at 2012-02-01 16:29
平地のゼフではこの2種以外は簡単には見つかりませんね。
僕も何度も怪しいのを見つけてがっかりしたか分かりません。(^^;
照明はやはりリングストロボですか。高そうなので、LEDのを検討中です。
Commented by fanseab at 2012-02-01 21:50 x
naoggioさん、是非貴殿もトライしてみてください。画質は贔屓目に見ると少し改善されています(笑)。ミドリ卵塊一番上の卵の黒点は飛来した砂粒が付着したもので、寄生孔ではありません。ミクロパイル(精孔とも呼ばれる)はご指摘の通り、中央頂上部の凹みのことです。
Commented by fanseab at 2012-02-01 21:53 x
BANYANさんでもアカは厳しいですか?
少し安心しました(^^)
照明に用いたリングストロボは実はあまり使い勝手がよくありません。第一にリング部分が大きくて細枝と干渉し、卵に接近できないケースがあること。第二に照明がフラットになり過ぎて陰影感を表現しずらいことです。LEDを用いるにしろ、照明法の工夫もポイントの一つですね。
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