探蝶逍遥記

台湾遠征記:(4)11月21日前半その3

 前回ご紹介した遊歩道、「森林浴歩道」で良く目にした蝶としてルリモンジャノメ(Elymnias hypermnestra hainana)を挙げることができます。ルリモンは東南アジア全域で普通種なのですけど、どこでもウジャウジャいると言うよりは、「そこそこみかける」感じでした。ところが、この遊楽区での個体数は半端ではなく、多産しておりました。先ずは♀半開翅。                                               ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-34、ISO=400、F10-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時51分

 シダ類の葉上で吸水中の場面。ご覧のように何回かストロボを焚いていると、驚いて翅を僅かに開翅します。これまでルリモンの表翅は飛翔でなければ拝めない・・・と諦めておりましたが、この手法で半開翅の場面がゲットできそうです。お次は♂。
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D7K-34、ISO=400、F10-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:10時53分

 こちらは食樹であるヤシ科のクロツグ(Arenga engleri)上に静止しているシーン。こちらもちょっと翅を開いてくれました。♂♀の区別点は次の通り。①前翅表外縁部に出現する斑点列が♂では濃いブルー、♀では淡いブルーを帯びた灰色になる点、②その斑点列は♂の方がより外縁側に位置し、③後翅第4脈端の突出部は♀の方が顕著、etc。これらの区別点を明確にするためにも開翅撮影が必須なのですが、今後珍品Elymniasに出会った際は、ストロボ照射法で撮ってみたいと思います。ルリモンやキレバヒトツメジャノメを撮影したトレイル風景をご紹介しておきましょう。
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GXR@5.1mm、ISO=400、F3.2-1/32、-0.7EV、撮影時刻:10時39分

 画面中央奥にルリモンの食樹クロツグが見えています。とにかくクロツグの数は半端ではなく、ルリモンが多産するのも頷けます。試しにクロツグの葉をじっくり眺めていると、どうやらルリモンの食痕らしきものを発見。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F3.6-1/6、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時17分

 思いっきり手振れ画像ですみませんm(--)m この株の葉裏をちょっと捲って調べてみると、いとも簡単に幼虫を発見できました。もちろん管理人の本種幼虫発見はこれが初めて。
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GXR@5.1mm、ISO=400、F3.6-1/30、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時19分

 画面右端に幼虫の頭部拡大像もトリミングして載せておきました。体長は29mmで3齢と思われます。頭部の色を除けばクロコノマチョウにそっくりの色形ですね。85mmマクロで葉裏に付いている情景も撮りました。
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D90-85VR、ISO=400、F9-1/100、+1.3EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:10時36分

 どうも露出が上手くいきません(^^; この株ではもう1頭(2~3齢?)の幼虫を発見しましたが、蛹や卵は発見できず。さて、アップダウンを繰りかえす遊歩道を暫く歩くと小さな渓流に差しかかりました。ここでカメラリュックを下して休憩していると、遊歩道沿いにバナナの株を発見。しかも面白いものがついておりました。
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D7K-34、ISO=400、F10-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時03分

 巨大なバナナセセリ(Erionota torus)の巣です。本種の巣を発見するのもこれが初体験。早速、一脚で葉を手繰り寄せ、巣を開けてみました。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F2.9-1/25、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:11時06分

 出てきたのは巨大な終齢幼虫。体長は55mm位。幼虫に添えられた台湾の壹園玉(日本の1円玉と同じ直径20mm)と比較して頂くと大きさが想像できると思います。丸々と太ってまるでタテハチョウの終齢幼虫と同じサイズですね。画面右下に幼虫頭部の拡大像もつけておきました。ガングロ(笑:もはや死語)で、全く模様の無い味気ない?ルックスです。面白いのは幼虫が出した糞が巣の中に残されていること。人間の感覚からすると全く不衛生極まりないのですが、どのような生態的意味を持つのでしょう。通常、糞を含めた排泄物の匂いを求めて寄生蠅や蜂が群がることも予想されますので、本来糞は巣の外に出すのが外敵からの防御生態として妥当と思われますが、興味深い事実です。因みに滞在中、成虫の姿は確認できませんでした。夜明け前や黄昏時にのみ、活動するとされる本種の観察は意外と難しそうです。また、台湾でバナナセセリが発見されたのは結構最近で1986年のことだそうです。日本での本種発見は1971年とされていて米軍のベトナム戦争との関連が指摘されています。同戦争では台湾駐留米軍基地からもベトナムへの爆撃等もあったはずですが、バナナセセリの侵入は日本よりかなり遅れたことになります。<次回に続く>
by fanseab | 2012-01-20 22:25 | | Comments(6)
Commented by naoggio at 2012-01-21 13:04 x
ルリモンジャノメ、バリでよく見かけました。懐かしいです。
ストロボのチョイ開翅もうまくいったようですね。
幼虫はこんななんですね。ちょっと意外な色合いで面白いですねえ。
バナナセセリは薄暗いのが好きなんですか、知りませんでした。
暑い時間帯を避けているんでしょうか。
亜熱帯の薄暗い時間帯を飛び回るバナナセセリを想像するとなんだかドキドキします。羽音も凄そうですね。
そう言えばアオバセセリも早朝好きでしたね。

Commented by himeoo27 at 2012-01-21 17:26
ルリモンジャノメの幼虫の頭の角は、鹿角のように立派ですね!
バナナセセリは成虫もとても「デカイ」ようですが、幼虫も巨大で迫力を感じました。
Commented by fanseab at 2012-01-21 21:27 x
naoggioさん、バリ産は別亜種(baliensis)で♀はカバマダラ擬態で表翅が赤褐色になるタイプですね。ルリモンに限らずジャノメはストロボに敏感でベタ閉翅を撮る場合に問題となりますが、逆に利用する手もあると考えました。
バナナセセリは里山のセセリですから、意外と見かけるチャンスは少ないものです。大型のセセリは薄暮・早朝に活動のピークがあるのが多くてやっかいです。
Commented by fanseab at 2012-01-21 21:29 x
himeooさん、ジャノメの幼虫はなかなか格好いいものが多いですね。特に頭部の突起を有するタイプはついつい正面から撮りたくなります。
バナナセセリは想像した通りの体躯でビックリしましたよ。
Commented by kenken at 2012-01-22 18:01 x
ストロボ照射でルリモンさん開いてくれるとは嬉しいですね。LEDランプを持っていれば連続照射しても開きそうな。
私もね、ときどきLEDランプ照射して開翅を誘うことがありますが、種によって反応し易いものとし難いものがありますね。なかなかうまくいきません。
 幼虫マスクマン画像、貴兄のオハコですなぁ~いつも楽しませていただいております。ところで、クロツグの葉上についている白いのは陸貝ですかな?興味深々だったりして。
Commented by fanseab at 2012-01-22 23:26 x
kenkenさん、比較的不活発状態にあるジャノメやセセリはストロボに反応するように思います。LEDランプでもストロボ的に照射するのと連続照射するのでは反応が異なるような気がします。
もう少し安価でハイパワーの機種が登場すれば、小生もLEDランプを導入したいと思っております。
セセリ幼虫頭部画像は静止していないと上手くいきません。バナナは結構動き回ったので、手強かったです。そう、陸貝の仲間も結構目立ちましたよ。
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