探蝶逍遥記

ゼフ越冬卵撮影その2(1月14日)

 前回、前玉外しレンズでミドリシジミの越冬卵拡大撮影の作例をご紹介しました。このレンズでの解像力に不満があったので、レンズ構成を見直して再チャレンジしてきました。最初はミドリシジミ。前回ご紹介したのと同一卵です。                                                                         ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-85VR-28F1.8R(トリミング+深度合成画像処理)、ISO=400、F29-1/250~1/400、-0.7~-1.3EV、外部ストロボ、調光補正1/64、撮影時刻:8時21分

 レンズ構成を見直したこと、および深度合成法による画像処理も加えたことで、前玉外しレンズよりも大幅な解像度向上が実現できました。参考までに深度合成をかけない元画像の一例です。
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D7K-85VR-28F1.8R(トリミング)、ISO=400、F29-1/250、-0.7EV、外部ストロボ、調光補正1/64、撮影時刻:8時21分

 お次はこの日見つけた4卵塊。
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D7K-85VR-28F1.8R(トリミング+深度合成画像処理)、ISO=400、F29-1/250~1/400、-0.7~-1.3EV、外部ストロボ、調光補正1/64、撮影時刻:8時34分

 やはり卵塊だと迫力が出ますね。さて、この後、クヌギ・コナラの実生(ひこばえ)を巡ってオオミドリシジミの卵探索。ようやく何とか1卵を発見。こんな雰囲気に付いていました。
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GXR@5.1mm、ISO=200、F6.5-1/25、-1.0EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:9時06分

 コナラ細枝の分岐部分(矢印)に付いていて、ほぼ教科書通りの場所です。これが管理人のオオミドリ越冬卵初発見でとても興奮しました。お次は拡大像。
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D7K-85VR-28F1.8R(トリミング+深度合成画像処理)、ISO=400、F29-1/320~1/400、-1.0~-1.3EV、外部ストロボ、調光補正1/64、撮影時刻:9時32分

 卵の下部が一部欠損しています。恐らく細枝の一部が何らかの原因で折れて落下し、その際、卵殻ごと欠落してしまったのかもしれません。ミドリに比較すると一回り大きくて、棘皮がより細く長いことがよくわかります。この後、アカシジミ、ミズイロオナガシジミの越冬卵を探し回りましたが坊主でした。やはり越冬卵探索経験のあるベテランの方にお師匠さんとして随行して頂かないと発見は厳しいかもしれません。なお、今回使用したレンズ構成は下記に詳述しましたが、はっきり言って、色収差が強く出るためまだまだ改良が必要です。この手の画像のお手本としてはブログ仲間の ze_phさんが究極とも言える超精細画像を発表されており、また同じブログ仲間の furuさんも昨年コンデジを使用したお手本画像を紹介されています。現時点ではこのご両人の撮影された画質が管理人の到達目標となります。ちょっと道は険しそうですが、この冬場にできるだけ頑張ってみたいと思います。

<今回用いたレンズ構成と深度合成>
(1)レンズ構成
 基本原理は Stacked lens method と呼ばれる古典的方法。上記ご両人共この手法を使われています。小生はメインレンズに85mmVRマクロレンズを、その前面に逆付で取り付けるレンズに銀塩時代に使用していたペンタックス用Sigma 28mm F1.8 Asphericalを利用しました。この手法では前面側に取り付けるレンズはフィルターリングを介して逆付するので、メインレンズとメーカーが異なっていても構わないのです。ストロボはこれまた利用価値に乏しくお蔵入りしていたリングストロボを28mmレンズのKマウントに合うように改造し装着して使用。ただ、合焦範囲は極めて薄く、フィールドではピント合わせに苦労しました。また手振れ防止のため一脚も使用しております。

(2)深度合成
 丸山宗利さんのサイト に紹介されているフリーソフト:「CombineZM」を利用。ところが本来このソフトは実体顕微鏡やベローズのように精密にフォーカスをコントロールできる機材を想定して開発されたソフトですので、今回のような実質手持ち撮影では色々と障害がありました。先ず撮影対象の焦点深度をn=10枚程度に分割して撮影する訳ですが、顕微鏡撮影と異なり深度順に撮影することは手持ちでは不可能です。従って乱射した画像ファイルを個別にPC上で確認し、深度順にラフにグルーピングした後、深度を精査して画像ファイルに深度順位付けをしました。予察として、適当に6ファイルを選び、CombineZMで合成をかけて得られた画像がこちら。
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 合成に失敗しています(^^; 背景を見ると理解しやすいのですが、各ファイルが卵を中心軸に微妙に回転ズレを起こしているため合成計算は完了したものの偽構造が出てしまいました。このソフトでは合成に寄与させる各画像ファイルのX-Y方向のズレは自動補正計算で補正しきれますが、流石に回転ズレまでは補正不可能で以上のような結果になったようです。そこでこの記事の一枚目の画像ではファイル数を3枚に減じて何とかズレなし合成に成功しました。因みに4卵塊の画像は5ファイル、オオミドリは2ファイルで合成しております。回転ズレを減らすにはなるべく越冬卵を真上から(ミクロパイルが卵の中心に来るように)撮影する工夫が必要でしょうね。こんな面倒な合成作業をやるよりは焦点深度の深いコンデジを利用する方が利口なのかもしれません。その点、前述したfuruさんの慧眼に敬意を表するものです。
by fanseab | 2012-01-15 17:06 | | Comments(16)
Commented by naoggio at 2012-01-15 20:59 x
拡大撮影は奥が深いのですね。
文中で紹介されていたサイト一通りおさらいさせて頂きましたがとても勉強になりました。おいおい試してみたいと思います。
それにしても驚くべきは蝶の卵の美しさ。
夢中になる気持ちが良くわかりました。
Commented by himeoo27 at 2012-01-15 21:00
コンデジの「スーパーマクロモード+1cm接写」で満足していましたが、ここまで撮れるのなら前玉外しチャレンジしたくなりました。
オオミドリの卵の画像素晴らしいです。
Commented by fanseab at 2012-01-15 21:46 x
naoggioさん、ハイ、この手の撮影は泥沼に陥りやすいので注意が必要です(笑)料理に例えれば、ありあわせの材料を駆使して最高のご馳走を作る感覚でしょうか?銀塩時代のレンズも宝の持ち腐れ状態でしたが、今回復活してくれました。
綺麗に撮ればとるほど、ゼフの卵の構造美には目を見張るのものがありますね。
Commented by fanseab at 2012-01-15 21:50 x
himeooさん、貴殿の撮影されているコンデジの作例も大変素晴らしい像質だと思いました。もしも更に拡大にトライされるなら、お持ちの機材にクローズアップレンズを付けるだけでもかなりの解像が期待できると思います。
今回記事の作例は前玉外しでは期待できない解像感を狙っております。ただ前玉外しでも中間リングをかませて拡大率を上げるとか、工夫次第で更にいい絵が撮れる可能性もあります。色々トライされて楽しんでください。
Commented by kenken at 2012-01-15 23:11 x
うをっ、レンズ逆付け拡大撮影はともかくも、ついに深度合成の世界に・・・ここは結構、沼が深そうで、まだ文も見ず天橋立・・・ってな世界です。
N=10で手持ちはさすがにしんどいですね。しかし、深度合成がばっちりいった時の快感は最高でしょう。1枚目のミドリ卵、際立っています。
Commented by fanseab at 2012-01-15 23:24
kenkenさん、ついに禁断の「深度合成沼」に足を踏み入れてしまいました(笑)怖いもの見たさの感覚ですね。ゼフは扁平状なので、敢えて深度合成をしなくてもそれなりに見られますが、シロチョウやタテハチョウの卵に威力を発揮する気がしております。
Commented by yoda-1 at 2012-01-16 19:36
これは奥が深いですね。
紹介のあったfuruさんのブログでは、「高倍率ズームとリバースレンズの組合せ」、との記載があり、とてもコンデジでの画像にないように感じましたが、リーバスの方もトライしてみたくなりました。
Commented by fanseab at 2012-01-16 21:31 x
yoda-1さん、仰る通り、この世界は奥が深いです。色々なレンズの組み合わせの可能性があります。ただどうやら組み合わせるレンズの相性があるようで、高いレンズを組み合わせたのが最良の結果をもたらすとは限らない所が面白いです。リバースも是非チャレンジしてみて下さい。
Commented by 虫林 at 2012-01-17 11:23 x
興味深く拝見しました。
野外でこれほど撮影できるとは驚きです。とくにライティングはこれほどの拡大になるととても難しいですね。僕は以前は野外ではgyoromeで撮影していましたが、やはり解像力に限界を感じました。そこで、研究室の実態顕微鏡で撮影したりもしました。屋内なら深度合成も難しくないと思いますが、野外では至難の業のように思えます。
Commented by fanseab at 2012-01-17 22:04 x
虫林さん、コメントありがとうございます。
記事でご紹介した先達の画像を見てトライしてみました。仰る通りライティングは難しいです。リングストロボも使いやすいのですけど、フラットな照明でゼフ卵表面の凹凸感を表現するのには逆に不向きです。ただ、スレープで焚くにはそれなりに工夫が必要で、今回はリングストロボで実施しています。
深度合成に使用する枚数はフィールドでの撮影ではやはり最大でも6枚あたりが限界だと思います。これ以上の枚数をサンプリングするためには三脚使用とか、カメラ保持法をよほど工夫しなければならないと思います。
Commented by khaoyai_m at 2012-01-18 11:11
こんにちは!
非常に興味深く読ませていただきました。
手持ちで深度合成は考えられませんでした。
すばらしいですね。
Commented by fanseab at 2012-01-18 22:25 x
カオヤイさん、こんばんは。
深度合成はもう少し枚数が稼げると思ったのですが、意外と難しさが待ち構えていました。貴殿のフィールドであるタイに沢山生息するツノゼミとかヨコバイの仲間をこの手法で撮るのが本来の使い方でしょうし、数mm単位の小昆虫なら手持ちでも深度合成はやや楽ではないかと思います。もちろん、相手が動かないでジッとしている前提ですが・・・。
Commented by chochoensis at 2012-01-19 14:32
fanseabさん、機械に弱い小生には、まったく解りませんが写真を拝見しただでも凄い方法なのだ・・・とわかります。
素晴らしいですね・・・。
Commented by banyan10 at 2012-01-19 21:15
前回よりかなり良くなっているのは分かります。
それでも満足しないのはこだわりを感じますが、furuさんの画像を見直すと確かにすごいですね。
コンデジをベースにするのが良さそうですが、例が少ないので難しいですね。
Commented by fanseab at 2012-01-19 22:40 x
chochoensisさん、ゼフの越冬卵の構造が大変美しいのでついつい拘って、この美しさをどうやったら上手く表現できるか?頑張っています。もう少しお手軽な方法で撮れることも課題の一つです。何とかメスアカとかオナガの卵を撮ってみたいと思っています。
Commented by fanseab at 2012-01-19 22:44 x
BANYANさん、何とか前回よりは改善はできました。コンデジ、一眼に限らずこの手の拡大率だと、ボディ内手振れ補正機能のついた機種が有利なのかなと最近考えています。小生はストロボの閃光時間(~1/10000sec.)を利用して手振れを防止する作戦ですけど、手振れ補正がついておれば僅かなブレも防止する効果があると思っております。コンデジ(手持ちのGXR)でもちょっと工夫してみようと思っております。
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