探蝶逍遥記

日本蝶類学会大会出席(12月10日)

 昨年は所用で欠席した首題大会・総会・懇親会に出席してきました。昨年から講演が朝からスタートするようになったようで、それなりに早起きしての出陣です。会場は例年同様、東大・理学部2号館。丁度、赤門前のイチョウも見事に色づいて観光客がパチリ・パチリとやっておりました。                                                ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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この記事の画像は全てGXRで撮影。

 今回は特別招待講演として、NHKでも放映されたブータンシボリアゲハ(Bhutanitis ludlowi)再発見に関する2講演が目玉でした。昨今のブータンブーム?の効果は絶大で、非会員の方の参加が多かったのでしょう、会場受付は長蛇の列でビックリです。会場もほぼ満席で、立見も出る状況でした。これは休憩時の会場風景。
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 午前中の講演では、インド北部のパルナシウス(Parnassius jacquemontii)探索紀行が絶品。雄大な渓谷や花崗岩の露出した山岳風景画像は心が洗われる思いでした。パル等に手を出すと抜け出せないだろうなぁ~と妙な心配をしたりしました。また10月に逝去された、故北杜夫氏の文学作品中に登場する蝶の標本を紹介する講演も極めてタイムリーで、彼の作品をもう一度きちんと、読み返したくなりました。

 昼食・休憩後の総会では、学会賞(林賞)の授賞式が実施されました。
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 中央左側が受賞者のM.F.Braby氏(オーストラリアの生物多様性保全部)。同氏はオーストラリアの蝶相を概観できる名著:「Butterflies of Australia: Their Identification, Biology and Distribution」の編著者。右側が会長の植村好延氏。直後に行われたBraby氏の講演では18世紀から19世紀にかけて、オーストラリアでの鱗翅目発見と当時描かれた鱗翅目画像の歴史を概観するもの。写真技術が普及していなかった当時、気の遠くなるような根気さで細密画を描いた先人たちの労力にはただただ感心いたします。

 さて、午後のラストはお待ちかね、ブータンシボリアゲハの講演です。今回の発見は、日本蝶類学会の精鋭メンバーとブータン側の調査メンバーとの合同調査隊によってなされたもので、最初にブータン側の調査隊長である、S.Wangdi氏より、調査経緯・保護に向けての今後の展望をレビューする話がありました。
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 ここでは幼生期の全貌を明らかにすることはもちろん、このアゲハをどう保全していくか?差し迫ったリスク管理がポイントである点が強調されました。ズバリ、「密猟をどう阻止するか?」と言った生々しいテーマが述べられました。何とも情けない話ですが、現金収入源に乏しい現地の事情も良く理解できました。次に学会側隊員であった矢後氏より生態・生息環境に関する知見と考察が披露されました。NHKの番組では紹介されなかった、マル秘?映像も公開されて楽しかったですね。

 午後7時からは場所を移して、お楽しみの懇親会です。
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 ご覧の通りの盛況。管理人もそれほど多くの方と面識がないのですけど、この時ばかりは無礼講で、初対面の何名かの方と楽しいお話をすることができました。ブータンシボリアゲハの調査隊員も全員懇親会に出席されており、管理人も隊長の原田さんと初めてお話をすることができました。午後9時に散会、皆名残惜しそうに帰路につきました。来年の大会もまた楽しみです。なお、講演題名の詳細は、日本蝶類学会(テングアゲハ)のサイトをご覧下さい。入会も随時受け付けておりますよ。
by fanseab | 2011-12-13 20:51 | | Comments(2)
Commented by yoda-1 at 2011-12-14 19:03
タイムリーな大会講演となって、盛況さが伝わってきます。
YODAも行きたかっただけに、概要報告ありがとうございました。
幸福度満点のブータンでも違法採集する輩が出てくるのでしょうか。まいりますね。
Commented by fanseab at 2011-12-14 22:15 x
yoda-1さん、物凄いギャラリーの数にビックリしました。NHKの放映効果は絶大ですね。流石に公共放送での放映では「密猟」をことさら取り扱えないですが、現実問題として不法入国して採ろうとするあくどい輩を取り締まる方法論が考えねばならないようです。一方、多摩動物園のようなゲージを現地にこしらえて、実物の蝶と触れ合いながら、貴重な蝶を慈しむ風土を育成する地道な活動も計画されております。
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