探蝶逍遥記

台湾遠征記:出発までの準備作業

(1)遠征先の選定
 いつものことながら、旅の楽しみは出発までのプランニングに凝縮されております。もちろん旅行中の興奮は格別のものがあるわけですけど、それにもまして未知の場所へのアクセス方法・撮影ポイントをどう絞り込むか?ネットや参考書をフルに活用して企画していく過程が最もワクワクするものです。実は9月下旬に台北を旅行した際、市内の書店を渉猟して、台湾の蝶類に関する参考書を複数調達してきました。メインとなるのが次の三冊です。                                              ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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 ①「台灣蝴蝶圖鑑」:李俊延・王效岳著、貓頭鷹出版社(2007), ISBN 978-986-7001-68-9
 ②「台灣賞蝶地圖」:張永仁著:晨星出版(2008)、ISBN 978-957-455-149-1
 ③「蝴蝶食草圖鑑」:林柏晶・林有義著、晨星出版(2008)、ISBN 978-986-177-202-8

 いずれも価格は600元前後(最新の換算レートで約1600円)とお手頃で、内容も充実したお値打ち品でした。この中で①と③は昆虫文献専門の六本脚で注文可能です。上記参考書に加え、
 ④「原色台湾蝶類大図鑑」:白水隆著、保育社(1960)
も参考に、遠征先と撮影対象種の目論見をいたしました。台湾の蝶相の特徴として、かつて中国大陸と地続きであった名残の種と、台湾島として孤立してから独自の種分化を遂げた魅力的な固有種が混在することでしょう。特に標高3952mを有する玉山(旧称新高山)等の険しい山塊があって、低緯度の割に温帯や亜寒帯に属する蝶も生息している点が挙げられます。例えば日本のブナ帯を彩るフジミドリシジミ(Shibataniozephyrus fujisanus)は、日本の固有種と思われていましたが、台湾で同属のタイワンフジミドリシジミ(S.kuafui)が発見されたのは記憶に新しいことですし、エゾシロチョウ属(Aporia)も棲んでおります。

 さて、魅力タップリの台湾のどこに赴けば良いか?思案の為所ですが、遠征時期が晩秋の11月下旬ともなると、中央高地で年一回発生の固有種は殆ど期待できません。更に台北を含む北部では多化性の種も少なからず発生していないと想定されました。そこで南部もしくは東南部に絞られました。ブログ仲間の yoda-1さんが昨年末訪問された墾丁国家公園も大変魅力的ですが、そのエリアで一番訪問したかった南仁山の林道が9月の台風で崩壊し、通行禁止になっていることを事前にネットで知りました。そんな事情もあって、東南部に絞られた候補地の中から、上記参考書②お勧めの知本温泉近傍に遠征地を決定しました。ここの狙い目はクモガタシロチョウ(Appias indra)の集団吸水が期待できること。但し、発生ピークは4月とされていて、晩秋にどれだけ見られるか不安ですが、まぁ、数頭程度の集団は観察できるだろう・・・と楽観的に考えることにしました。それに温泉好きの管理人としては、撮影後の一風呂も大変魅力的でした(笑)

(2)チケット手配等
 台北往復のチケットは国内大手旅行代理店ですんなりと手配できたのですけど、知本温泉へは、台北から国内線に乗り換え、台東空港へ飛ばねばなりません。台北往復に利用したEVA(長榮)航空との接続の便を考えて、UNI(立榮)航空を選択することにしました。しかし、ここで問題が生じました。上記旅行代理店では、「台湾国内線チケットは取り扱っておりません。お客様ご自身で手配願います」とつれない返事(^^; 実はUNIはEVAの関係会社なので、EVAの営業所にも問い合わせてみましたが、これまたNG。仕方なくUNIの公式サイトにアクセスし、何とかチケットの手配ができました。ここのサイトは英文バージョンがなく、中国語のサイトを何とか読み解きながらの手配も一苦労でした。因みに「エコノミークラス」は『經濟艙』、「往復」は『來回程』等々。クイズを読み解くような楽しさがあるとも言えましょう(笑)。e-チケットはカード決済後、UNIからのe-mailに添付され、これをダウンロードしてプリンターで印刷するスタイル(スマートフォーン等での提示でも可)。しかし、e-チケットにずらっと書いてある注意事項(当然、台湾語)も60%程度しか読解できません。
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 大意は通じても微妙なニュアンスは流石に読み取れません。例えば、台北松山空港ターミナル内にトランジット専用カウンターがあるのか?等、どうも要領が得ないのでUNIに英文メールで質問状を出すことにしました。あまり期待はしてなかったものの、サービス窓口より大変親切なメールがたちどころに帰ってきて感心しました。更なる疑問点を複数回相手にぶつけてみましたが、その都度、瞬時に的確な返答メール(英文も完璧!)が得られ安心いたしました。当初、UNI航空なる会社に(運行安全面も含めて)イマイチ不安を抱いておりましたが、お客様対応の素晴らしさにその不安は一掃されたのでした。なお、台東へは、UNI以外に、華信航空(Mandarin Airlines)の便もありますが、便数はUNIが遥かに多くて便利です。またUNIの台北~台東の往復チケット代は、正規割引料金で3600元(約9300円)でした。e-チケットと引き換えに現地のカウンターで発行された航空券がこちら。
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 紙質も悪く、流石にコストダウンが徹底されている感じですね。

宿泊については、初日と最終日前日のみ、ネットで手配して(代理店よりバウチャーをネット上で発行して貰い、これを現地ホテルのフロントに手交するスタイル)、残りの日程は現地到着後に決定し、フレキシブルに動けるようにしました。現地での移動手段としてレンタカーの選択肢もありますが、管理人は左ハンドル→右側通行にも不慣れなので、原則、タクシー・バス・徒歩を利用することに。宿泊先および観察ポイントの予察には、いつも国内で利用しているグーグルアースが大変役に立ちました。特に知本温泉近傍では、ストリートビューが利用できるポイントが多く、候補ホテル周辺の環境をバーチャルに360度見回すことができて、ホテル選択に有用でした。

(3)トラップ準備
今回はあまり真面目に準備しませんでした。初日到着が夕刻になるタイトなスケジュール故、市場での調達が厳しいことが予想されたので、今回は動物系トラップを乾燥品で済ませ、フルーツ系トラップのエキスのみ、国内で発酵調製したものを現地に持参することにしました。
<次回に続く>
by fanseab | 2011-12-10 11:54 | | Comments(4)
Commented by 6422j-nozomu2 at 2011-12-10 23:13
台湾に行って来られましたか。私も一度は行きたい国ですが、情報、金、暇3拍子そろってなく、なかなか実現しませんが。確かに、行くまでのドキドキ感が旅の楽しみですよね。早速クモガタシロチョウを保育社の台湾蝶類図鑑で調べましたが、冬型は11-3月が適期とのこと。貴兄のことですから、きっとゲットしたと思いますが。続き楽しみにしております。
Commented by fanseab at 2011-12-11 22:45 x
ノゾピーさん、台湾は魅力的な蝶が沢山いて、ワクワクします。お蔭様でクモガタも何とか撮影できました。続編をお楽しみに!
Commented by yoda-1 at 2011-12-14 19:11
掲載されている図鑑ですが、YODAも訪問時に購入した3冊と一緒です。
ただ左の図鑑もそうですが、網羅的でないし、翅裏とか省くのが多いのが悲しいと思いました。
大図鑑の方は持っていないので、台湾南部で撮影種の同定は、もっぱら香港で購入した香港の蝶図鑑によりました。
しかし、中国語だけのサイトでよくチケット購入までいかれたものです。
YODAは当地でレンタカーでしたが、街中の道路名看板とか英語表記がないこともよくあって、もう道路の平面的な形状だけでがたよりになって移動した、経験が蘇ります。
成果のほど、すごく楽しみにしています。
Commented by fanseab at 2011-12-14 22:21 x
yoda-1さん、そうでしたか、同じ図鑑だったのですね。ご指摘の通り、価格との制約で、網羅性には劣るし、誤植もいくつかある書物です。大陸本土と共通する種は香港蝶図鑑でも何とかなりますが、台湾固有種については、流石に厳しいですね。既に台湾の蝶相はほぼ明らかになっているので、逆にコンプリートな図鑑を刊行する意識が希薄になっていることが原因かもしれません。台湾よりもインドシナあたりの網羅的な図鑑刊行が優先されるのが現実でしょう。
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