探蝶逍遥記

多摩川のセセリ幼虫探索:その2

 11月に探索したミヤマチャバネ以外の幼虫関係です。ミヤマチャバネ幼虫の個体識別No.2の巣の脇にミヤマ(矢印#1)とは異なる特徴(巣の全長が長い:矢印#2)の巣を発見。

++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-85VR、ISO=200、F11-1/160、-0.7EV、撮影月日:11月1日

 巣を開けて出した幼虫です。
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D7K-85VR、ISO=400、F11-1/1000、-0.7EV、撮影月日:11月1日

 頭部の模様からキマダラセセリと同定。体長は21mm。3齢あたりでしょう。因みにキマダラは幼虫越冬です。お次はミヤマチャバネ幼虫の個体識別No.5の脇で発見された別の巣と食痕。
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D7K-85VR、ISO=400、F13-1/320、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影月日:11月1日

 巣を開くと出てきたのはイチモンジセセリの幼虫でした。
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D7K-85VR、ISO=400、F13-1/320、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影月日:11月1日

 体長は18mm。本種幼虫の特徴は尾端が黒色半球状に彩られること。もちろん頭部の特徴からもわかります。若干、ミヤマチャバネに類似していますが、アニメキャラに当てはめるのが難しい複雑な斑紋ですね。最後はミヤマチャバネ幼虫の個体識別No.11からおよそ20m西方のオギ(食草)から発見された巣。
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D7K-85VR、ISO=400、F10-1/125、-0.7EV、撮影月日:11月10日

 まるで定規で図ったかのように一定間隔で吐糸され、かなり長大に閉じられていて、この特徴から巣を開けずともギンイチモンジセセリと判明しました。巣の下方に幼虫の姿が少し垣間見えています。巣を開けると間違いなくギンイチでした。
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D7K-85VR、ISO=400、F13-1/320、-0.7EV、撮影月日:11月10日

 体長は33mm。成虫の胴体を彷彿とさせる、とても細長い体型です。実はギンイチ幼虫に出会うのは5年ぶり。忘れもしません、2007年の2月、拙宅から程近い多摩川のギンイチ観察ポイントに重機が突然入り、オギの群落を根こそぎ消滅させてしまう事件が起きました。その様子は拙ブログの記事でもご紹介しました。この年の春は当然のことながら、その後、本年春・夏に至るまでギンイチの姿は無く、このポイントから完全に絶滅してしまったと思っておりました。従って、今回の幼虫発見は単に幼虫を見出しただけでなく、ポイントの復活を予感させる大きな喜びでもありました。実際にはオギ群落はポイントが破壊される前とは比べものにならないほどまだ貧弱なものでして、完全復活するにはまだ時間がかかりそうです。この春以降、しっかりと復活状況を見守りたいと思っております。なお、ギンイチも越冬は亜終齢で行われ、もうそろそろ摂食を中止し、体色が淡緑色から淡褐色に変化するはずです。

 以上、ご紹介したキマダラ、イチモンジ、ギンイチの頭部をミヤマチャバネと比較した一覧画像としてまとめてみました。なお、画像処理の関係で、各幼虫の拡大率は異なります。またそれぞれ齢数が異なっています。念のため。
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 今後、読者の方の幼虫探索の参考にして頂ければと思います。
セセリ幼虫の頭部画像コレクションは今後も暇を見てやっていきたいと思います。
by fanseab | 2011-11-27 22:36 | | Comments(8)
Commented by himeoo27 at 2011-11-29 07:33
どのセセリチョウ幼虫も、クロコノマチョウのそれと比較するとそれほど大きくないのに良く見つけられるものです!!
幼虫の巣の形状からギンイチモンジセセリを同定するとは流石経験の差だと感心いたしました。
最後の幼虫顔4種比較楽しく拝見しました。やはり唯一自分で見つけたことのある「ミヤマチャバネセセリ」の顔が、一番可愛いと感じます。
Commented by clossiana at 2011-11-29 07:39
「蝶と暮らして40年」の著者、大島良美さんがその昔、ギンイチの幼虫探しに苦労された話を思い出しました。セセリ類の幼虫は普通は辺りが食草だらけでなかなか探すのが難しいものだと今も思っていますので手を出せない分野なのですが、こうして見させて頂くと魅力的な生活ぶりと顔の数々。。自分もやってみたいなと思いました。
Commented by naoggio at 2011-11-29 16:44 x
楽しく拝読させて頂きました。
それにしてもよく見つかるものですね。感心する他ありません。
キマダラセセリの顔もなかなか面白いですね。
ギンイチの成虫、この春N駅付近の河原で探しましたが少なかったです。この場所でも首尾よく復活してくれることを祈っています。
Commented by ダンダラ at 2011-11-30 15:29 x
ギンイチの幼虫、懐かしいです。
ずっと昔、多摩川の近くに住んでいたときに秋になるとギンイチの巣にメタリックなテープを貼り付けて越冬状況を追跡しました。
でもほとんどの場合、巣の枯れ葉が折れて飛んでしまうか、幼虫がいなくなって追跡できなくなってしまいました。
ギンイチ幼虫は細長くて、独特の縞模様からすぐに区別がつきますね。
Commented by fanseab at 2011-12-01 00:06 x
himeooさん、終齢幼虫の大きさは確かにヒカゲチョウ類よりは小さいですが、結構な長さがありますね。ただ巣の特徴を見出すのに少し経験が必要です。小生は逆にヒカゲ類の食痕特徴をあまり知らないのでヒカゲ類幼虫の探索は不得手です。顔は色々特徴があって面白いですね。
Commented by fanseab at 2011-12-01 00:08 x
clossianaさん、イネ科を食草とするセセリ類はよく見ていると似て非なる形状の巣を作ります。天気が悪い日や蝶が飛ばなくなるこの時期の楽しみ方でもありますね。特に幼虫越冬に入る時期は細かく観察するとなかなか興味深いものがあります。
Commented by fanseab at 2011-12-01 00:11 x
naoggioさん、ギンイチの顔つきはセセリ類の中では特徴が無いと言うか、あまりインパクトのある面相ではありませんね。当地でのギンイチ復活にはまだまだ時間がかかると思いますが、継続観察してみたいと思います。
Commented by fanseab at 2011-12-01 00:14 x
ダンダラさん、今回ギンイチの幼虫を発見した際、改めて貴殿から頂いた1981年の報文を読み返してみました。小生もこの記事で紹介したオギの茎にテープでマーキングをしましたが、確かに風で吹き飛ばされて行方不明になることも危惧されます。何とか春まで把握しきれれば良いなと思っております。
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