探蝶逍遥記

奄美大島遠征記(8)10月12日後半戦

 ランタナポイントを離れ、ある海岸線沿いをゆっくりと走っていると、前方に黒系アゲハの姿が。尾状突起が確認できたので、慌てて近寄ります。センダングサで吸蜜するオキナワカラスアゲハ♀でした。                                                                                       ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-34、ISO=400、F4-1/1000、-0.7EV、撮影時刻:10時47分

 思いっきりスレ品ですが、正面から撮れてホッとしました。ボロいながら、後翅外縁の紅紋は、矩形状にまで拡大し、本土産♀とは明らかに異なることがわかります。完品で是非撮り直したい対象ですね。この後、初日にウラナミシロが沢山舞っていたポイントに出向きました。この日は天気も良いこともあって、ウラナミシロ・ウスキシロ共に相当な個体数を確認できました。最初はウラナミシロチョウの交尾飛翔です。
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D7K-34(ノートリ)、ISO=500、F4-1/3200、-0.7EV、撮影時刻:11時23分

 ちょっと、ピンボケ(^^; でも「交尾飛翔形式が←♂+♀である」ことの証拠写真には十分でした。お次はウスキシロチョウの求愛飛翔。
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D7K-24(トリミング)、ISO=500、F11-1/8000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時48分

 産卵の合間に、♀(下の個体)にしつこくつきまとう♂ですが、当然、愛が成就する訳もなく、暫くして♂は飛び去りました。車を止めた脇で新鮮なウスキシロ銀紋型♂を発見。かなり接近しても飛び立とうとしません。飛ばしてみてもヨロヨロと2m飛ぶのがやっと。どうやら将に羽化直個体。そこで普段あまりやらない手乗りに挑戦。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F4.1-1/1600、-0.7EV、撮影時刻:12時04分

 とても素直で良い子でした(^^) 更に食樹であるナンバンサイカチの実生では、Catopsilia属の、蛹を除く生活史のほぼ全てが観察できました。
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D7K-24(トリミングと画像合成)、ISO=200、外部ストロボ、撮影時刻:11時35~40分

 (1)が卵、(2)は2~3齢幼虫、(3)は亜終齢~終齢幼虫です。管理人はウラナミシロとウスキシロの幼虫同定判別ができませんので、いずれかの可能性があります。(3)は5齢だとすると、ウスキシロ、4齢だとウラナミシロの斑紋に似ておりますが、果たして・・・。どなたかお詳しい方がおりましたらご教示下さい。

 ウスキシロポイントを後にして、ちょっと樹相の豊かな林道に入っていきました。林道脇にはこんな看板が掛っておりました。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F3.6-1/200、-0.7EV、撮影時刻:12時15分

 「こんな事。言われなくてもわかってるでぇ~」と思う反面、リアルな絵を前にすると、足元からニョロニョロ~と出てくるのではないかと、流石に緊張いたしました(^^; さてここでの目的はオキナワカラス♂の撮影。♂が蝶道を作りそうな雰囲気の場所に駐車して、暫く待機していると、目論見通り、林縁を♂が通り抜けていきます。しかしかなり高所で不規則な飛び方をするので飛翔画像もままなりません。そのうち、頭上で黒系アゲハがどうやら吸蜜している雰囲気。
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D7K-34、ISO=500、F4-1/2000、-0.7EV、撮影時刻:12時28分

 スレたモンキアゲハでした。吸蜜源はミカン科のハマセンダン。オキナワカラスアゲハの食樹とされています。♂がこのあたりで蝶道を作っていた理由がわかりました。ここで午前中から比較的低いハマセンダンの前で待機しておれば、♂♀の吸蜜画像も狙えそうですが、時間がありません。まぁ、今後の撮影のヒントが得られたことが唯一の収穫でした。ここはやや暗い林道で、喧しい蝉の鳴き声に溢れておりました。その声の主がこちら。
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D7K-34、ISO=500、F11-1/500、-0.7EV、撮影時刻:12時33分

 リュウキュウアブラゼミ(Graptopsaltria bimaculata)の♂です。コミスジが南西諸島ではリュウキュウミスジに代置されるように、本土産アブラゼミ(G.nigrofuscata)の代置種です。声のトーンはアブラとそっくりですが、短時間、繰り返して鳴くため、慌ただしく感じられますね。 そろそろ帰りのフライトの時間が近づいてきたので、このポイントを後にして初日最初に訪問した海岸沿いのハイビスカスポイントで新鮮なツマベニチョウを狙います。しかし期待に反して全く飛んで来ません。と褐色の蝶影が・・・。何とテングチョウでした。まさか、テングがハイビスカスから吸蜜するはずはないが・・・と暫く観察すると、何やら葉上に止まっております。
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D7K-34、ISO=500、F9-1/1250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時04分

 帰宅して画像編集で気が付いたのですが、どうもアブラムシから出る蜜を吸汁している様子です。珍しい生態がゲットできて嬉しい限り。せっかくハイビスカスに来ているのですから、真紅の花弁とのツーショットを撮りたく、飛翔で無理やり入れ込んでみました。
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D7K-34(ノートリ)、ISO=500、F10-1/3200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:13時07分

 この画像を撮ったあたりでタイムアップ。慌ててレンタカーを返却し、出発ゲートに入りました。奄美空港はノンビリとしたローカル飛行場です。丁度、小型プロペラ機(ボンバルディアQ400)が離陸の準備に入っておりました。
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GXR@15.3mm、ISO=100、F8.9-1/550、-0.7EV、撮影時刻:14時05分

 続いて管理人も14時40分に離陸、奄美遠征を無事終えることができました。

 えー、長々と引っ張って参りました奄美遠征記も今回が最終回です。管理人にとって、初の南西諸島遠征でしたが、第一のターゲットであったアカボシゴマダラも、それなりの成果を挙げることが出来、海外遠征では普段撮影をパスする普通種も丁寧に撮ることができて、収穫の多い遠征になりました。<おしまい>
by fanseab | 2011-11-02 23:13 | | Comments(8)
Commented by nomusan at 2011-11-03 00:26 x
ありゃ、もうおしまいですかぁ~・・・。
残念ですが、たっぷりと楽しませて頂きました。ありがとうございます。
奄美、過去4回行きまして、3回が秋でアカボシ狙い、1回が春でカラス狙いでした。春型の♀、ええですよ。是非、次回はカラス狙いで行ってくださいまし(爆)。
奄美のカラスを”オキナワカラスアゲハ”と捉えてくださっているのが嬉しい私です(笑)。
Commented by himeoo27 at 2011-11-03 07:17
奄美大島の私の昆虫のイメージというと、「スジブトヒラタクワガタ」という名前の、世界でも今のところこのエリアに限定して生息するクワガタムシです。大型はめったに飼育、採取でも出会えませんが、大顎の発達、上翅の篆刻のような太い筋状の模様、全体の風格、まさに絶品のクワガタムシです。この子の登場を密に期待しながら奄美遠征記を楽しませていただきました。
チョウの撮影を始めてからは、やっぱり奄美固有の「アカボシゴマダラ」は超憧れなので私も何時の日か、写しに出かけてみたいものです。
Commented by yoda-1 at 2011-11-03 07:58
誠に収穫の多い成果でしたね。
特にカラスアゲハの違いを実感できたし、大型シロチョウの幼虫も初めて拝見してビックリです。
テングチョウ+アブラムシも驚愕のシーンであり、勉強ばかりの奄美遠征記に感謝です。
Commented by fanseab at 2011-11-03 22:36 x
nomusan、ハイ、ネタ切れで、おしまいでございます。そうですね。カラス狙いでもう一度行ってもいいかも。アカボシに狙いを定めると赴く場所が極めて限定されるので、カラスとは両立しない気がします。
Commented by fanseab at 2011-11-03 22:43 x
himeooさん、仰る通り、スジブトヒラタは魅力的ですね。Dorcus属の中で比較的早めに中国大陸から分離されて独自の進化を遂げた点では、アカボシ奄美産亜種と同じ括りに入るでしょう。でも、大木のシイの樹洞や樹液を求めて森の中に入る勇気も時間もありませんでした。それに発生のピークは8月頃と聞いております。その頃なら、アカボシの個体数も多くて、貴殿が二兎を狙うには絶好のチャンスではないでしょうか?
Commented by fanseab at 2011-11-03 22:46 x
yoda-1さん、前半の気まぐれな天候で、逆にオジロシジミを見出したり、ラッキーな面もあって、成果を挙げることができました。テングの色々な生態は遠征前は全く想定外でして、このようなハプニング的成果があるので、新しい場所への遠征は止められませんね。
Commented by naoggio at 2011-11-04 11:43 x
オキナワカラスの♀の赤紋が印象的です。
ウラナミシロやウスキシロも、ずいぶん色々なシーンがさつえいできたんですね。幼虫もすごいです。手乗り個体の美しさと言ったらないですね。背景もいい感じで素敵な写真です。
今回の遠征記は本当に色々楽しませて頂きました。ありがとうございました。
Commented by fanseab at 2011-11-05 20:14 x
naoggioさん、オキナワカラスは撮影中も後翅の赤紋が目立ちましたが、撮影後の画像を処理する過程で本土産とは全く異質な色だなと改めて認識しました。ウラナミシロ・ウスキシロはこれまで殆ど良い画像がなかっただけに結構真剣に撮りました。手乗りは殆どトライしませんけど、この時はちょっと余裕があったので、やってみました。上手く乗ってくれると可愛いもんですね♪
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