探蝶逍遥記

奄美大島遠征記(5)10月11日前半戦

 早朝5時過ぎに目が覚め、宿の窓を開けると、抜けるような快晴!予報とは降雨が少しズレたようで、大喜びで出発準備です。この日は前日トラップを仕掛けたBポイントに直行。アカボシの活動には少し早い時間帯ですが、トラップを確認して唖然としました。                                                             ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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GXR@5.1mm、ISO=100、F3.2-1/13、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:8時13分

 なんと、どでかいナメクジ(百円玉と比較して下さい)と小さな蟻が綺麗に平らげて跡形もありません(^^; Aポイントの子猫に引き続き、またまた油揚げ(トラップ)をトンビ、もとい、ナメクジにさらわれました。トホホです。置く場所の再検討が必要ですが、ここに再度置くのは止めにして、少し農道の奥まった位置に仕掛けました。Bポイントでもう一度クワノハエノキを検すると、アカボシの食痕を確認。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F2.9-1/90、-0.7EV、撮影時刻:8時20分

 ただ、新鮮な食痕ではなく、かなり古い感じ。幼虫・蛹も発見できませんでした。アカボシ成虫の活動には未だ時間があるので、朝一番でのアゲハ・シロチョウの吸蜜タイムと睨んでハイビスカスの前に待機して飛来する個体の撮影に励みました。最初はナガサキアゲハの♂。
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D7K-34、ISO=1600、F11-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時29分

 ナガサキ♂は奄美滞在中、アゲハの中では最も個体数が多いと感じました。続いてツマベニチョウの♂。
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D7K-34、ISO=1600、F11-1/1000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時45分

 ツマベニとハイビスカスの組み合わせを撮るのはこれが初めて。よく言われているようになかなか撮影技術が要りますね。吸蜜の直前大きく翅を開いて花弁に突入するのですが、ストローを長く伸ばす過程でハイビスカスの大きな花弁が邪魔になって。翅が閉じ加減になり、肝心の前翅端の濃橙色を上手く表現できません。それとツマベニを撮ってデジ一のモニター画像を見ると、どうも白部分の諧調が吹っ飛んでいます。「おかしいなぁ~」と思ってEXif情報を確認すると、何とISO=1600になっていました!どうもシャッター速度を変更するため、メインコマンドダイヤルを回した際、左手親指がボディのISO変更ボタンを触れており、意図せずにISOが上昇したものと判明。管理人は結構頻繁にISOおよびシャッター速度を変更するので、時としてこんなミスをやらかします。↑のツマベニ画像はRAW現像で何とか誤魔化しましたが、やはり白地部分は諧調が吹っ飛んで修正不可能でした。ISOをきちんと修正してお次はモンキアゲハの♀。
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D7K-34、ISO=500、F11-1/1000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:8時53分

 この個体の後翅の白紋にご注目ください。白ではなく「薄黄色」を呈しており、将に「紋黄揚羽」になっております。後翅の白紋は羽化時にはほぼ白色で、「羽化後の二次的な変色で黄色に変化する」との記述が参考書に記載されております。太陽光の紫外線で白色色素が光化学分解して褪色するのでしょうか?いずれにせよ、ここまで「黄色い」モンキアゲハは初めて見たように思います。それにしてもこの♀、図体がデカいです。ツマベニチョウはハイビスカスの長く伸びた雄蕊(雌蕊)を避けるように頭部を花弁奥に差し込みますが、このモンキ♀は後翅全体で雄蕊部分をへし曲げるようにした豪快な吸蜜が印象的でした。さて、林縁ではイシガケチョウ♀がゆったりと舞っておりました。今回程、イシガケ♀をじっくり観察したのは初めて。その♀のセンダングサからの吸蜜です。
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D7K-34、ISO=400、F11-1/1000、-0.7EV、撮影時刻:9時04分

 イシガケは胴体と翅のバランスが他のタテハとは異なり胴体が大変小さく見えます。こうして見ると♀は異様に翅の面積がデカいですね。別のセンダングサ群落を訪れ、アカタテハの吸蜜を狙っていた際、向こう側から相当白いナガサキアゲハ♀がやって来て吸蜜を開始しました。
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D7K-34、ISO=500、F4.5-1/1000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:9時48分

 滞在中、とにかく白いナガサキ♀を追い求めていたのですが、いずれも破損した個体が殆どでした。この個体ももうちょい完品ならばよかったのですけどねぇ~。ハイビスカスにも結構訪れておりますが、白いセンダングサでの吸蜜シーンの方がよりナガサキ♀の艶やかさが映えるような気がしております。そろそろアカボシの活動が活発になっているだろう・・・とBポイントに戻ったものの、期待と裏腹に今日は1頭も飛んでおりません。がっかりとして移動しようとした時、この農地の地主と思しき古老が顔を見せたので暫し談笑。

管理人:「ここにもハブはおるんでしょうねぇ~」
古老: 「もちろんおるで。どこにでもおる・・と思えば間違いはないものじゃ」
管理人:「ハブは今頃の秋口になると草地から移動して木に登ると聞きましたが?」
古老: 「確かにそうじゃ。昔はシイノキのドングリが一杯なって、そのドングリ
     目当てに小鳥が一杯やって来る。その小鳥を狙ってハブが木に登るの
     じゃ。しかし最近はドングリがあまり実らないから、そうでもなくなった
     のじゃけれど・・・」
管理人:「なるほど、ドングリですか?では現在、他にどんな場所がヤバいのですか?」
古老: 「まぁ、サツマイモ畑も危ないな!秋口になってサツマイモの収穫時になると
     野ネズミがやってきてイモを食べるのじゃ。その野ネズミを狙ってハブが
     サツマイモ畑に潜んでおる」
管理人: 「なるほどねぇ、色々と勉強になります。有難うございました。因みにおじいさんは
      ハブの被害に遭われたことがありますか?」
古老: 「あるよ。わしは昭和6年生まれじゃが、若い頃右太もものこの辺をやられたんじゃ。
     当時はハブ血清を置いてある病院も少なくて、難儀じゃった。結局18日間も入院して
     農作業の働き手をなくして家族に迷惑をかけたなぁ。」

 遠い昔話を語ってくれた古老に丁重に挨拶して別れました。実は古老に出会う直前、リュウキュウムラサキの幼虫でもおらんか?とサツマイモ畑の回りをウロチョロしておりましたので、流石に冷や汗が流れたのでございました。ハブ対策については遠征する前から注意しており、今回も以下のような装備で下半身を防護して臨みました。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F3.6-1/125、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影時刻:9時31分

 常用している膝当てと登山靴の間を厚手のロングスパッツで防護するスタイルです。まぁ、ここまで防護しても、谷あいの湿った草地にいきなり飛び込む勇気はありませんでしたね。持参した一脚を常に行先の草むらに当てながら、慎重に歩きました。実は東南アジア諸国にはハブ以上の猛毒を持つ毒蛇が一杯いるはずですが、あちらでは「知らぬが仏・・・」でどんどん草叢に飛び込んでいくので、管理人も能天気な性格でございます(笑)。

 さて、11時頃から空模様が俄かに怪しくなってきました。どうやらスコールの予感(^^; ちょっと撮影モードを中止し、探索モードで林道の奥深くに車を進めました。ガードレールをフト見ると、見慣れない直翅目が。
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D7K-34、ISO=400、F9-1/400、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時08分

 マツムシ科のマダラコオロギ(Cardiodactylus guttulus)♂でした。東南アジアに広く分布する種らしいですけど、海外も含めて初見のような気がします。とにかく、その触覚の長いこと!そのうち、ポツリポツリと雨滴が・・・。原生林に入ると見ることのできる有名なヒカゲヘゴも撮影。
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GXR@6.9mm、ISO=100、F9-1/15、-0.7EV、撮影時刻:11時35分

 この絵を撮った直後、堰を切ったように物凄いスコールが降り始めました。辿っている狭い林道も途中何カ所か崖崩れの後があり、山奥で孤立するリスクを回避するため、2日目にイワカワシジミを目撃した場所まで戻り、ここで雨宿りをすることにしました。車内で手足を伸ばし、菓子パンを齧りながら、暫しゆっくりと休みました。<まだまだ続く>
by fanseab | 2011-10-22 12:09 | | Comments(10)
Commented by nomusan at 2011-10-22 17:11 x
奄美のハブは沖縄以南のハブに比べて攻撃性が高いという話しを聞いたことがあります。
名瀬に泊まったとき、小料理屋さんで呑んで話しを聞いたのですが、夜になると対象物の体温を察知して攻撃してくるとか・・・。
なので、「夜、酔っぱらって草むらで立ちショ○なんかやってたら大変なことになるよ。」って・・・・すみません品位を損なうようでしたら削除ください・・・m(_ _)m。
Commented by fanseab at 2011-10-22 20:12 x
nomusan、そのような攻撃性の比較議論は初めて耳にしました。ただ対象物の体温を検知するのは夜だけでなく、日中でも可能なようです。ですから気温が下がる秋口あたりはヤバいのかもしれませんね。
小用云々の議論はマジで注意が必要でしょう。最良のトラップだからと言って、○○を撒き散らす等もっての外ですね。アッ、このコメントこそ問題発言で削除すべきかな(爆)
Commented by himeoo27 at 2011-10-22 20:30
白いセンダングサに吸蜜するナガサキアゲハ♀良い雰囲気ですね!この光景私も写したいです。
クワガタ採取の時のトラップを仕掛けますが、奄美アカボシは苦戦の連続ですね!
Commented by fanseab at 2011-10-22 22:06 x
himeooさん、南西諸島であれば、どの土地でもナガサキとセンダングサの組み合わせが見られると思います。ただハイビスカスよりも好みかと言われると良くわかりません。たまたまハイビスカスに来た個体はボロで掲載するに値しませんでした。トラップは色々と苦労しますが、まぁ、想定内です。
Commented by 6422j-nozomu2 at 2011-10-23 23:14
ハブだけは注意をしないと楽しい撮影行が台無しになってしまいます。下半身の防御も万全ですね。南国の蝶が一杯見れて至福の時を過ごされたようですね。羨ましいです。
Commented by thecla at 2011-10-23 23:30 x
ハブはやっぱり怖いですね~。サツマイモ畑にもいるとなると結構ビビります(笑)
↓奄美のアカボシ、赤星が本当に綺麗ですね。前翅もゴマダラっぽいし、一度お目にかかりたくなりました。でもハブは嫌や~。
Commented by fanseab at 2011-10-23 23:33 x
ノゾピーさん、ハイ、遠征先で怪我をすれば、色々な方に迷惑をかけますから。ハブについては、細心の注意を払いました。やはりネット上の知見ではなく、現地の方の経験談は説得力がありました。お蔭様で南の蝶を十分に楽しむことができました。
Commented by fanseab at 2011-10-23 23:36 x
theclaさん、もちろん本土でのマムシも怖いですが、毒性とかを考えるとやはり怖さが違います。今回の遠征でも雨降りが多く、草地や森も湿っていましたので、そこらじゅうに潜んでいるような気がして・・・、ビビりながらの探索でしたよ。まぁ、ヒメシルビアの探索だけが絶対大丈夫と読み切って芝草上のフィールドを駆け回っておりましたが。アカボシの紅紋は晴れた青空に本当に映えて綺麗でした。
Commented by naoggio at 2011-10-25 15:26 x
すごいナメクジですね。ビビりました。
奄美のハブは獰猛と聞きます。
芋畑で遭遇しなくて良かったですね。
ハイビスカスとツマベニ最高、やっぱり王道セットです。
コオロギも面白いですね。
Commented by fanseab at 2011-10-25 22:51 x
naoggioさん、南に行くと蝶のみならず、色々な生物相が変化して楽しいし、ビックリしますね。ハブはやはり怖いです。幸か不幸か一度も目撃できませんでした。まぁ、幸運なのでしょう。ハイビスカスで待機していると次々とツマベニはやってきて時間の経つのを忘れてしまいますね。
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