探蝶逍遥記

アオスジアゲハの終齢幼虫は何処に?

 最近、アオスジアゲハの蛹探索をしております。きっかけは7月に実施したミカドアゲハの蛹探索。拙ブログの記事で述べたように、ミカドは食樹のオガタマノキの葉裏に蛹化する際、頭部を葉端側に向けるのに対して、アオスジは逆に頭部を葉柄側に向けます。この時はコンデジで撮ったアオスジ比較画像を提示したのですけど、デジ一で撮り直しをしたくなって、8月になってからちょっと本気で近所のクスノキの植え込みで探索しておりました。

 ここはマンションの敷地内のため、じっとクスノキを見上げる管理人に向けられる、訝しげな住人達の視線に晒されながら、頑張ってみました(^^; その甲斐あって、ようやく1頭を発見。しかし、撮影はいつでもできるから・・・と放置したのが敗因。おっとり刀で出陣した時には既に羽化済で、蛹殻だけが寂しく葉裏に残っておりました。因みに蛹の背面は南向き。位置は約3mの高さ。                                                ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-34、ISO=400、F13-1/200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:8月28日、13時54分

 この蛹、26日の夜には未だ羽化しておらず、翌日27日あたりに羽化したのでしょう。27日は多摩川セセリ探索で草臥れて、アオスジの蛹撮影まで手が回らなかった事情もありました。「覆水盆に帰らず」ではなくて、「羽化蝶蛹に帰らず・・・」。これ以上粘っても仕方ないので、作戦を変更し、終齢幼虫(5齢)を探し、こいつが蛹になった時点で撮影すればいいや・・・と、今度は必死に終齢幼虫探索です。これも通常結構大変な作業なんですが、この時はついていて蛹殻撮影から僅か10分後に目的物を発見。
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D7K-34、ISO=400、F10-1/200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:8月28日、14時06分

 摂食後、新しい台座を作成途中だったようです。アオスジの終齢幼虫はご覧のように、胸背部に鮮やかな黄色線が体軸に垂直に入っています。この後、向きを変えて台座での標準的な静止姿勢になりました。幼虫の右隣りの葉に食痕が認められます。
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D7K-34、ISO=400、F10-1/200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:8月28日、14時06分

 さて、恐らく数日内に蛹化するはずだろう・・・と推測して夜毎状況をチェックすることにしました。で、翌日の夜、懐中電灯で台座あたりを伺うと姿が見えません。その周辺をかなり丹念に探しても姿を消しておりました。念のため翌早朝、さらには9月3日にも徹底的に捜索しても行方は分かりませんでした。またまたガッカリです。実はこんなこともあろうかと、保険の意味で別の終齢幼虫もクスノキ葉上で発見しており、この個体の動向も随時追っていたのですが、9月3日まで追跡できた個体が翌日4日には、これまた行方不明になりました。

 アゲハ類の終齢幼虫が蛹化する際、食樹から降りて別の植物上や人工物(建物の壁等)まで長距離移動し、そこで蛹化することが知られています。ある観察記録によると、ナミアゲハでは約30mも水平移動するとのこと。アオスジと同属のミカドも休眠蛹(越冬タイプ)は特に食樹から離れるらしいのです。すると、アオスジも同様にクスノキから降りて他の場所で蛹化した可能性もあります。もちろん、丸々と太った終齢幼虫が野鳥の餌食になったことも考えられますが、管理人は直感的に移動蛹化説を支持していて、必死に蛹化場所を特定したくなったのです。しかし、2個体共に行方不明になったので、さて、どうしたものか? これから折に触れて終齢幼虫もしくは蛹探索をやってみようと思います。

 アオスジと言えば、跳ねるように飛ぶ敏速な飛翔が特徴。台風の影響もあって、土日は遠征を控え、近所でアオスジの幼虫・蛹探索と並行して、飛翔撮影にもトライしてみました。マクロで撮ってもつまらないので、今回は対角魚眼(10.5mmにX1.4テレコン装着)で、置きピン位置を極限まで接近させてみようとの試み。ブログ仲間のmaedaさんは管理人とほぼ同じレンズ系で、置きピン位置5cmで頑張っておられますが、管理人は流石にそこまでは無理で今回は8~10cmに設定。それでも、この置きピン位置はレンズを蝶にぶつける感覚で撮影しないとジャスピンが来ません。しかもアオスジはレンズの気配に敏感で、ムチャ歩留りが低い! 2日間粘って、以下に紹介する2枚がやっとの有様でした。
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D7K-10.5-X1.4TC(トリミング)、ISO=640、F6.3-1/4000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:9月4日、11時06分
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D7K-10.5-X1.4TC(ノートリ)、ISO=640、F6.3-1/4000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:9月4日、11時54分

 一枚目は「ジャスピン画像、画面端の法則」に則った悔しい画像。ほぼ理想的な置きピン位置に来たのだけれど、シャッターを押すタイミングが僅かにズレたのか、画面左端に来てしまいました。因みにこの個体は探♀飛翔中の♂です。対角魚眼で彼らを捕捉可能なのは、♂がクスノキ探索から一旦降下して来て、丈の低い灌木探索に移行する途中に限定されます(路上吸水の状況でもOKかもしれませんが・・・)。一方、2枚目は産卵中の♀。♂に比較して飛翔スピードが緩んだため、奇跡的にど真ん中に個体が位置し、ノートリでご紹介できました。しかし、こんな時に限って翅は水平(^^; 翅が立っておるか、打ち下ろした状況ならなぁ~と暫しパソコンの前で悶える?管理人でした。
by fanseab | 2011-09-07 21:25 | | Comments(4)
Commented by naoggio at 2011-09-09 15:30 x
アオスジアゲハの蛹探索ご苦労様です。fanseabさんの熱意にはいつもながら頭が下がる思いです。ミカドアゲハと蛹の天地が逆とは面白いですね。どうしてでしょう?
「羽化蝶蛹に帰らず」「ジャスピン画像画面端の法則」共に真理を言い当てた諺と法則ですっかり気に入りました。
またこういうためになる諺お願いします。今度はポジティブな諺(珍蝶は忘れた頃にやってくる、的な)もいいですね・・・
Commented by fanseab at 2011-09-09 21:09 x
naoggioさん、蛹ネタにコメント有難うございます。蛹化の向きはこの両者だけで考えても、向きの揃え方について、結論が出ないでしょう。Graphium属全体の蛹化挙動を調べてみる必要がありますね。
また、つまらぬ諺、造語ですが、悔しさを紛らわすため、ちょっとひねって考えました。ポジティブな諺は難しいですね。オフネタにとっておきましょうか(笑)
Commented by chochoensis at 2011-09-10 18:56 x
fanseabさん、=この記事凄い!=です。アオスジの蛹化、ミカドアゲハの蛹化・・・しっかり、頭に記憶させました、ありがとうございます。自宅では、色んなチョウを飼育しますが防虫ネットを掛けないとかなり遠くで蛹が見つかります、是非頑張ってください!期待します・・・。
Commented by fanseab at 2011-09-11 23:11 x
chochoensisさん、アゲハの蛹化は移動が激しくて苦労します。タテハでも結構移動しますからね。実はアオスジは何とか蛹を発見できました。これは別途記事にいたします。
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