探蝶逍遥記

山梨のオオムラサキ(7月8日&10日)

 北海道遠征記はちょっとお休みして一般記事です。管理人はタテハフリークなので、夏場にゼフの金緑色の輝きを見なくても我慢できますが、オオムラサキの翅音を聞かないまま夏が過ぎていくことには耐えられません。丁度♂の適期と判断し、2日間をかけての探索です。

 この時期のオオムラサキについては10年間程度継続観察をしておりますが、今年はオオムラサキの当たり年なのか、♂個体数は相当なものでした。寄生蜂の発生が抑制されたのでしょうか?樹液吸蜜集団のスナップ。                                                                                 ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D7K-34、ISO=1000、F10-1/800、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:7月10日、11時54分

 ざっと15頭ほどの集団です。一頃、オオクワガタブームで樹洞に発煙筒を焚く輩の影響で樹液発生クヌギが激減し、このような集団を見ることが久しくできなかった状態が続きました。樹液ポイントの数は現在もそれほど多くはないので、オオムラサキが少ない樹液を求めて、密集するのでしょう。それと例年に比較して♂発生の時期が早かったようで、殆どの個体は既にスレておりました。観察初日(7/8)、♂飛翔を狙っていると、バサバサと大きな音がして林道上に何かが落ちてきました。何と交尾ペアでした!
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D5K-85VR、ISO=400、F10-1/320、-0.7EV、撮影月日・時刻:7月8日、14時01分

 管理人は本種の求愛行動について何回も観察例がありますが、交尾ペアに遭遇したのはこれが初めて。素直に興奮しましたよ。きっと、樹上で愛の営みの最中、♂にちょっかいを出されて林道上に落ちてきたのでしょう。♀前翅の鈍い紫色幻光も久し振りに拝むことができました。縦位置広角でその状況を示します。
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GXR@5.1mm、ISO=100、F9.1-1/100、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影月日・時刻:7月8日、14時03分

 この♀(左側)のサイズは♂並に小さな個体でした。道路の真ん中では車に轢かれる可能性があるので、道路脇に寄せようとしたら途中で交尾が解けてしまいました。結果的にペアには申し訳ないことをしました。既にスレ始めている♂ですが、羽化直個体もいました。未だ飛べずにエノキの葉上で開翅休止しているこの個体に別の♂が誤求愛するシーンも観察されました。
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D90-34、ISO=640、F8-1/320、-0.7EV、撮影月日・時刻:7月8日、15時02分

 右が羽化直個体。左から迫る♂はアンテナでしきりに右の♂をタッチして♀であるか?確認しているようでした。迫られた♂は逆に迷惑そうにアンテナを後方に反らした独特なポーズをしています。この後、諦めた?♂は飛び去り、それから暫くして羽化直個体もヨロヨロと初飛行しておりました。2日目(7/10)には♀の羽化が増加したと思われ、複数回の求愛行動が観察できました。その中で最も嬉しかったのが求愛飛翔シーンを撮れたこと。少し大きめの画像でのご紹介です。
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D7K-1855@18mm(トリミング)、ISO=800、F5.6-1/4000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:7月10日、10時00分

 このシーン、♂が♀を追跡するのではなくて、モンキチョウの求愛飛翔と同様に♂が♀を先導しています。♂♀の順番が逆、つまり正常な追跡シーンも観察できましたので、このような♂先導パターンがどのような意味を持つか(性フェロモンを撒き散らす?とか)興味のあるところです。因みに♀飛翔シーン撮影成功もこれが初めて。二重の意味で嬉しいショットでした。このペアは結局交尾には至らず、♀個体は恐らく別の♂にまた追跡されてウメの枝上で睨めっこ状態に。
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D90-85VR、ISO=800、F9-1/200、-0.7EV、内蔵ストロボ、撮影月日・時刻:7月10日、10時03分

 この♂も結局♀にフラれてしまいました。♂を振った♀のマクロ画像を狙いましたが、彼女は逃げ足が速く、これには失敗(^^;  ♀は林間に潜り込んだり、とにかく♂に目立たないような行動が顕著です。好天に恵まれた2日目は広角飛翔三昧でした。最初は♂の至近距離ショット。
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D7K-1855@18mm(トリミング)、ISO=640、F6.3-1/4000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:7月10日、8時51分

 丁度、♂前翅上に木漏れ日が当たり、紫色の色調が部分的に変化している絵になって、お気に入りの画像になりました。お次は意図的にカメラ目線を下げて、裏面から探♀飛翔を撮影。
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D7K-1855@18mm(ノートリ)、ISO=800、F3.5-1/4000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:7月10日、9時12分

 相当に暗い空間を飛翔する雰囲気が出せたと思います。♀は樹林内に潜んでいることも多いので、このような♂の探♀行動も一理あることになります。空バックの飛翔シーンも撮りました。
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D7K-1855@18mm(トリミング)、ISO=800、F5.6-1/4000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:7月10日、10時00分

 夏空とオオムラサキのツーショットはいつも狙う構図ですけど、♂の紫色が潰れて上手く表現できませんね(^^; 管理人が熱中症をケアするほど暑かった2日目。♂も暑さを避けて時折、草むらに潜り込んで吸水する場面がありました。潜り込む直前の♂を追跡していると、急に右旋回してカメラに飛び込んできました。
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D7K-1855@18mm(トリミング)、ISO=800、F5.6-1/4000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影月日・時刻:7月10日、12時34分

 大型のタテハにしては、物凄く身のこなしが素早いもんですね。さて、広角飛翔とは別に望遠飛翔も撮りました。実は3年前から林道脇の開けた空間に着目しておりました。ここはエノキを見下ろすことのできるポイントで、探♀滑空飛翔する♂の紫色を表現するには絶好の撮影ポイントと目論んでいたからです。ただ300mmだとあまりにもリスクが高く、かと言って85mmでは迫力が出ないので、どうしたものか?とプランを練りました。そこで結論したのが、85mmに2倍テレコンをつけて合計170mm望遠レンズとする作戦。300mmに比較すれば短いけれども、銀塩換算で255mmの望遠ですから♂を捕捉するのは結構苦労しました。結局アウトプットイメージに近い構図で撮れたのが次のショットのみでした。
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D90-85VR-X2TC(トリミング)、ISO=640、F3.5-1/2500、-0.7EV、撮影月日・時刻:7月10日、8時08分

 背景をボカして滑空する♂の紫色が何とか表現できました。ただこのポイント、開けた空間内に植林された針葉樹が急速に成長していて、あと数年で恐らく目的の撮影ができなくなるのが心配です。毎年、熱中症をケアしながらのオオムラサキ三昧。常にペットボトルで給水しながら甲府盆地の夏を楽しみました。
by fanseab | 2011-07-11 21:28 | | Comments(10)
Commented by clossiana at 2011-07-12 16:30
同じオオムラサキを撮るにしても10年連続されているだけあって素晴らしいショットばかりですね。この蝶は美しいのですが大きいので出会うと、ついドアップの写真となってしまいます。♀の前を♂が飛ぶことは仰られていますようにモンキで時々見られますが、モンキの場合は単に♀の行く手をはばんでいるのだと何かの本で読んだ気がします。オオムラサキはどうなんでしょうね?
Commented by ヘムレン at 2011-07-12 20:41 x
お見事ショット満載ですねっ!素晴らしいです。
大きなオオムラサキ・・・バシッと決まると、本当に美しくて豪華な感じですね。
あのバサバサって・・羽音が聞こえてきそうです(^^)
Commented by fanseab at 2011-07-12 21:30 x
clossianaさん、思い入れのあるタテハだけにどうやって、このタテハの魅力を写し留めるか?試行錯誤でやっています。まぁ、簡単に言えば、ライフワークみたいなもんです。確かにサイズがでかいので、時々触覚が画面からフレームアウトしたり、失敗はしょっちゅうありますね。
♂の先導行為、なるほど単純な物理的妨害の考え方は頷けますね。なるほど、なるほど。
Commented by fanseab at 2011-07-12 21:32 x
ヘムレンさん、毎夏、汗だくになって、このタテハを追いかけるのが小生の恒例行事になっております。思い描いた通りの絵が撮れると、帰宅してからのビールも旨いですよ!ただ、紫色の表現はムチャ難しいです。今回もどうも見た感じの表現には到達しておらず、永遠の課題ですね。
Commented by 虫林 at 2011-07-13 07:39 x
オオムラサキは身近にいるので、ついついおろそかになってしまいがちですが、毎年1回は撮影しなければと思っています。でも、その時期の甲府は暑いのが難点です。
樹液は気がつかない場所(木の上)で結構出ているように思いますが、以前のように大集団での吸汁がなかなか見られなくなったように思われます。
↓の北海道遠征は大成果だったようで、楽しく拝見しています。
Commented by kmkurobe at 2011-07-13 20:45 x
今年はこちらもオオムラサキの久しぶりの当たり年の感じがします。松本の公園では開けた空間とエノキがたくさんあるため、テリを張る空間が無いほど沢山発生していました。
私も1回だけ交尾を観察したことがありますが、すさまじいバサバサという羽音で気がついたことがおもいだされました。
Commented by fanseab at 2011-07-13 22:34 x
虫林さん、いつも貴殿のテリトリーで撮影させて頂いております。暑さはこの地域の風物詩ですが、今年も含め最近は梅雨明けが異常に早いので、余計体に堪えます。ご指摘のように、樹液は道路から見えない場所にもあって樹液ポイントの見落としがあるかもしれませんね。ただ、道路沿いのポイントが激減したことは事実です、
Commented by fanseab at 2011-07-13 22:37 x
kmkurobeさん、そちらでも個体数が多いのですか?数が多いと占有空間を争う♂同士のバトルが激しくなって、見物ですね。そのバトルも写しとめようと試みましたが、失敗しました。交尾個体は殆ど飛ぶ能力がなさそうで、道路上でバサバサもがいている状態でした。
Commented by ダンダラ at 2011-07-15 10:22 x
青空背景の広角飛翔がたまりませんね。
今年はオオムラサキが多いのですか。私も久しぶりに観察することができました。
一つに狙いを絞って撮影しないと良い写真は撮れませんね。
お見事です。
Commented by fanseab at 2011-07-17 21:50 x
ダンダラさん、毎年飛翔に使用するレンズ系をあれこれ変えて撮影しておりますが、今年は貴殿も使用している標準ズームを試してみました。オオムラサキにも丁度置きピン位置が嵌って、歩留りは良い方でした。この時期、このポイントで狙うのはオオムラサキに絞れるので、あまり浮気をしないで撮影に専念できますね。
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