探蝶逍遥記

長野のヒメギフチョウ(4月28日)

 管理人は銀塩時代の10年前、岩手県でヒメギフを撮影したことがあります。デジタルでも何とか撮影してみようと長野県の既知ポイントに出かけてみました。大型連休での高速道の渋滞が嫌なので、平日での遠征です。前日からの大雨が上がり、空気はムチャ澄んでいますが、ちょっと風が強いのが気がかり。現地8時着。ほどなくヒメギフが飛び始めましたが、個体数が少なく苦労します。もうちょっとマシなポイントはないのだろうか?と一旦、ここを離れ、新規ポイント開拓でウロチョロしてみました。しかし、強風の影響もあって、結局新規ポイント発見には至らず、最初のポイントに戻りました。ちょっと風が弱まった頃、運よくカタクリ吸蜜画像がゲットできました。                                                                          ++横位置画像はクリックで拡大されます++
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D90-34、ISO=200、F10-1/640、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時00分

 この個体、恐らく♂だと思いますが、2本の尾状突起が取れたスレ品でした。どうやらこのポイントでの♂の適期は1週間ほど早かったようです。まぁ、しかし、デジタル一眼でのヒメギフデビュー画像としては御の字でした。完品での絵はこれからの楽しみに取っておきましょう(←これ、はっきり言って負け惜しみですね)。このポイントのカタクリ密度は結構なもんですが、こちらの開花盛期も過ぎており、萎んだ花弁が多くてガッカリしました。そのうち♂にしてはやや飛翔が緩いなぁと思って注目していた個体が舞い降りて開翅日光浴してくれました。
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D90-34、ISO=400、F10-1/1250、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時28分

 前翅の形状から判断して恐らく♀でしょう。ギフと違って胸の襟巻状毛の色で雌雄区別ができないので、ヒメギフの雌雄同定はちょっと苦労しますね。この日は低気圧が通過した直後に寒気が入り込んでいるせいか、天気が安定せず、11時過ぎからお天気雨状態に(^^; 仕方なく、ビニール傘を差しながらの撮影になりました。↑の♀個体はフレンドリーで、何回も開翅日光浴をしてくれ、85mmマクロの射程距離にも舞い降りたので、慎重に撮影。
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D5K-85VR、ISO=200、F11-1/500、-0.7EV、撮影時刻:11時47分

 薄曇り状態だったので、ヒメギフの地の色であるベージュ色の微妙な発色が出せました。こうしてマクロ画像を見てみると、ギフと違って、後翅肛角から外縁側にかけての色彩は大変デリケートなグラデーションがついていて、ギフよりエレガントな印象を受けます。それに後翅の縁毛もかなり幅広くて、ベージュの縁毛がダブルで外縁部を飾っています。まるで上質なレース編みのような美しさがありますね。図鑑だとベージュ色の縁毛が背景色に紛れて消えてしまうので、このあたりの美しさはやはり、生態写真でないと表現できないと思いました。

 さて、俄雨も止み、天気が安定して気温が上がってくると、♀は活動が活発になり、カタクリと混生しているウスバサイシンへの産卵行動を開始しました。この時の様子を300mmで狙いました。最初は今回撮影した飛翔画像で一番のお気に入り。
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D90-34(トリミング)、ISO=400、F7.1-1/3200、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時03分

 少し萎れたカタクリ花弁、食草のウスバサイシンを背景に優雅に舞う♀がいい感じでフレームに入ってくれました。ほぼジャスピンで♀腹部のスフラギス(交尾嚢)もきっちり写って大満足です。お次は急旋回するシーン。
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D90-34(トリミング)、ISO=400、F5.6-1/4000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時16分

 蝶の飛翔シーンで急旋回場面はいつも動感タップリとなることが多いのですが、急旋回するだけにジャスピンはなかなか期待できません。この絵もややピン甘ですが、雰囲気はよく出てくれました。3枚目はウスバサイシンの株上を飛行する♀。
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D90-34(トリミング)、ISO=400、F4-1/4000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時49分
 
 このポイントでのウスバサイシンの植生密度は結構高いのですけど、開ききった葉が多くて、♀が産卵に好む株は意外と少なく、しつこく探していた♀もストレスが溜まるのでは?と他人事(他蝶事かな?)とは言え、気になりました。一方、開翅日光浴と思って撮影した個体がもぞもぞ動いていたので、そのまま観察していると、どうも産卵行動だったみたいです。
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D90-34(トリミング)、ISO=400、F11-1/1000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:11時05分

 開きすぎた株も好みではないけれど、逆にこの♀が産卵しようとした全く開いていない新芽も駄目なようです。それに新芽の高さが低すぎて、地面の枯れ枝が後翅を邪魔して折りたたむこともできず、♀の産卵態勢を取り辛いことも影響しているようでした。(※ダンダラさんのご指摘でこの新芽はウスバサイシンでない可能性があります。恐らく前脚で新芽をタッチして食草かどうか判定している最中の画像かもしれません。ダンダラさんコメント有難うございました。)
 カタクリが適期を過ぎていたことは既に述べましたが、逆に桜は満開状態でした。運よく♂が吸蜜に来たので、パチリ!
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D90-34(トリミング)、ISO=400、F8-1/4000、-0.7EV、外部ストロボ、撮影時刻:12時34分

 距離が遠いので少しトリミングしてあります。カタクリ同様、どうして絵になる画像に来る個体はスレ品なんでしょうね(涙)。次回は春らしい絵に相応しい完品での撮影意欲が湧いてまいりました。何はともあれ不安定な天候に悩まされながら、デジ一でヒメギフを堪能できて満足できる遠征となりました。
by fanseab | 2011-04-29 22:08 | | Comments(20)
Commented by Noreen05 at 2011-04-30 05:39
fanseab さん、新潟のヒメギフ素晴らしいですね!カタクリはちょっと時期を過ぎてしまっているようですが、桜でのシーンは素敵です!!
飛翔写真も羨ましいです。さぁ~次は fanseab さんのようは飛翔を狙いますって無理ですね(爆)。
Commented by 霧島緑 at 2011-04-30 06:52 x
ヒメギフ撮影おめでとうございます。
♀の後翅赤紋は赤城姫以上に発達していて美しいですね。カタクリ、サクラでの吸蜜も狙って撮れるものではないと思います。見事です。今年は発生期を読むのも難しいようですし、連休渋滞も気になって中々遠征の決心がつきませんが、刺激されますね。
Commented by ダンダラ at 2011-04-30 11:37 x
ヒメギフ撮影おめでとうございます。
ギフと違って清楚な感じがしますが、変異に乏しいこともあってかギフほどには騒がれませんね。
300での飛翔は見事です。なかなかピントが合いませんが、置きピンでしょうか。
それと、ヒメギフの来ている新芽はウスバサイシンでは無いように思いますけど、どうでしょう。
よくこんな感じで出始めの新芽に来ることがあります。
Commented by 6422j-nozomu2 at 2011-04-30 13:32
カタクリの旬とヒメギフの旬、マッチングは難しいですね。ラストのサクラヒメギフは圧巻です。素晴らしい写真です。
Commented by thecla at 2011-04-30 23:36 x
私も先週末にヒメギフの撮影にいつもの中信に行きましたが、曇りがちで大した写真が撮れずに終わりました。カタクリはまだ綺麗だったのですが・・・・。
飛翔の一枚目は交尾嚢もばっちりで♀らしい飛翔画像ですね。
Commented by kmkurobe at 2011-05-01 17:36 x
安曇野は結構季節が進んでいるのですね。
我が家の近くはカタクリのつぼみが伸びて、春の日差しを待っている状態です。次の晴れ間には一斉に咲き始めるでしょう。
今年もねらっていますが、順光での桜とヒメギフいいですね。
Commented by ヘムレン at 2011-05-01 20:24 x
信州でも、ヒメギフの発生が早いところがけっこうありますね。
南安曇~白馬まで、時期がずれてくれるので長い間見ることができて嬉しかったのを覚えています。
赤も見事に上がっていて、すばらしいですね。
Commented by naoggio at 2011-05-01 22:56 x
2~3枚目の♀は、見事に赤斑の現れたきれいな個体ですね。
同じ場所で、どうしてこんなに個体変異があるのでしょう。
4枚目の飛翔は見事に撮られましたね。300mmで・・・
すごいです。
Commented by maeda at 2011-05-02 17:54 x
赤城ヒメギフみたいに赤紋の発達した個体が見られていますね。
これはすばらしいです。新潟の混生地ですか?
Commented by kenken at 2011-05-02 21:37 x
3枚目の赤上がりは素晴らしく綺麗な個体ですね。
胴体の一番下がつるっとしていて体毛が見られないことから♀で間違いないと思いますよ。
飛翔写真、どれも周囲の雰囲気が出ていて生態写真ならではの表現す。えぇなぁ~
Commented by fanseab at 2011-05-02 22:16 x
Noreenさん、何とか小生もヒメギフ撮影できました。北海道のフィールドでも撮影してみたくなりましたね。飛翔の件、なんのなんの、広角での素晴らしい画像を拝見しましたよ!小生も次回は是非広角飛翔を狙ってみたいもんです。
Commented by fanseab at 2011-05-02 22:18 x
霧島緑さん、コメント有難うございます。後翅の赤紋の状態は、標準図鑑を参照すると、赤城以外でもある地域では発現するようです。サクラヒメギフは何とか撮影できてよかったです。
Commented by fanseab at 2011-05-02 22:21 x
ダンダラさん、コメント有難うございます。
お蔭様で小生もヒメギフデビューを飾ることができました。300の飛翔は基本置きピンで、マニュアルフォーカスで追尾もしているコマもあります。7枚目のコマについては、ご指摘の通りかもしれません。自信がないので、修正しておきます。
Commented by fanseab at 2011-05-02 22:24 x
ノゾピーさん、ご指摘の通り、カタクリとの時期のマッチングはギフでもヒメギフでも難しいですね。でも今回はデビュー戦なんで、あまり贅沢は言えませんでした。次回以降、少し拘ってマッチングを期待したいと思います。桜にギフは撮影に失敗したので、今回は素直に嬉しかったです。
Commented by fanseab at 2011-05-02 22:26 x
theclaさん、お蔭様で何とかデビュー戦を飾ることができました。この時期は気温の変化が読みにくい上に、今年は季節の進行も読みにくくて苦労しますね。個体数がもう少し多い場所で余裕をもって再チャレンジしたいと思っております。
Commented by fanseab at 2011-05-02 22:29 x
kmukurobeさん、コメント有難うございます。
貴殿の観察地でも撮影したい意欲が湧いて参りました。次回は新鮮な個体とカタクリのコラボを是非撮りたいと思っております。お世話になる際はまた、よろしくお願いします。
Commented by fanseab at 2011-05-02 22:32 x
ヘムレンさん、ご指摘の通り、長野は、東西・南北に広く、また標高差もあるので、ヒメギフのシーズンも長いのですね。ご体験からのコメント実感がこもっております。皆さんコメントされているように、赤の上がりは確かに美麗だと思いました。
Commented by fanseab at 2011-05-02 22:35 x
naoggioさん、後翅紅紋の個体差は遺伝的な発現要素なのかもしれませんね。あと信州でも特定の地域には出やすいのかもしれません。300mmの飛翔は香港で不規則に飛ぶキシタアゲハ撮影で練習?しておりましたので、まずまずの歩留りで撮影できました。
Commented by fanseab at 2011-05-02 22:38 x
maedaさん、赤紋ですが、赤城姫のように外縁部が全体に滲んだように発現するのではなく、破線状に並んでおり、並列する青紋とのコントラストで、極めて艶やかに見えますね。ただこのポイントは混生地ではありません。放蝶ギフとの混血の可能性も先ずないと思います。
Commented by fanseab at 2011-05-02 22:41 x
kenkenさん、コメント有難うございます。
赤上がりの部分も含め、ギフとは異なる美しさを今回改めて発見したように思います。飛翔画像、貴殿が「月刊××」の表翅を飾ったようなアウトプットイメージで撮ってみました。♀の産卵挙動の途中での蝶道の軌跡が比較的読みやすいので結構歩留りは高かったですよ。
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